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第一章
第7話 入学式
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「先生おはようございます」
「お、おうおはよう・・。君は、グランだったな。」
「俺の名前をもう覚えていらっしゃるんですね。ありがとうございます。」
「お、おう・・・」
「———————彼、いきなり気分が悪くなってしまったようでして・・・」
「なに?それは良くないな!!すぐに保健室に連れて行こう!君、大丈夫か?むっ、ずいぶんと苦しそうだな・・」
「それは大変だ!きっと物凄く体調が悪いんでしょう」
「とりあえず俺が保健室に運んでおくから、他の生徒は席に着いてなさい。」
(ふぅ、一件落着)
「こら!グラン、嘘ついちゃめっ!」
その時、俺の後ろから声が聞こえた。
俺は目を見開いて声を発したアバズレ女の方を振り返る。もし擬音をつけるならギギギギだろうか。
「おい、おまっ、まさか・・・・!!」
「先生、実はですね!」
(こ、このバカ女、なんてことしやがる・・・!!!!)
今日は楽しい楽しい入学式!!!
新入生は合格の嬉しさと新しい出会いにワクワクしながら正門をくぐり、
入学式の後はみんなで楽しくオリエンテーション、上級生が考えたプログラムとパフォーマンスで入学生を楽しませるのだ!
なーんてものは俺には無縁だった・・。
今、俺は校庭のど真ん中で正座だ。
足の下には座布団が数枚重ねられている。
ご丁寧にどうも。
だが、今考えても自分が特に何かしたとは思えない。というか、仮にも俺は貴族の息子なんだが?いや本当に仮だけど・・・
あの教師、頭おかしいんじゃないか?
しかもここは体育館への通路から丸見えのため、恐らく入学式とオリエンテーションのために体育館へ行くのだろう同級生が俺へ好奇の視線を向けてくる。
(か、完全に変人扱いだ・・・。あっ)
その時、俺に赤っ恥をかかせた憎き金髪の女と俺は視線を絡める。
(後で覚えてろよ・・・)
「にぃ・・・・」
あ”んっ?
あの女の口の端が吊り上がり、こちらを小馬鹿にしたような視線で見る。
覚えてろよ
体育館への通路を通る人の数は徐々に減り、今はもう完全にゼロだ。
「馬鹿馬鹿しい。なんで俺がこんな所でずっと座ってなきゃいけねぇんだ?アホか。」
俺は立ち上がると、座布団を地面に思い切り叩きつけ、校舎に戻る。
「あー何しよっかなぁ?・・適当に見て回ろ。」
オリエンテーションが終わるまでに戻ってくればどうせバレる事はないだろうとたかを括り、俺は校舎内を探索する事にしたのだが————
校舎側からこちらに歩んでくる一つのシルエットに、近づいて来るまで全く気付かなかった。
歳は自分と同じ位だろうか、小柄な女である。
髪は炎の如く赤く、顔は幼いながらもその鋭利な視線と自信に満ち溢れた表情は誰かを彷彿とさせる。
その女は俺から数メートルの距離まで近づくと立ち止まると、じっと俺の顔を見つめてきた。
「・・・なに?」
「おぬしこそ。もうすぐ入学式が始まるのじゃぞ?ここで何をやっておる?」
「何をやっているのかなんて俺が聞きたい位だ。と言うか何だ?さっきからジロジロと不躾に」
「おおー、すまんすまん。じゃが・・・ふっふーん、おぬし、今まででピカイチじゃな!」
気持ち悪い。まず抱いたのはそんな感情だった、なぜかこいつは俺を値踏みしてやがる。
何様のつもりなんだこいつ、だがそんな事はどうでも良い、俺が気になったのはただ一つだ。
———————こいつ、強いな。
「お前、魔力隠してるな?」
「!!!」
女は目を見開くと、その眼光は更に鋭さを増す。
こいつを見るに、さっきまでのクラスメイトや俺は魔力がダダ漏れの状態、個々の魔力の量の差はあれど、それらが流れ出るのを止められない状態だ。
だがこいつの魔力は流れるどころかこいつの体の周りを循環している、しかもその量が恐ろしく少ないのだ。
俺は今まで多くの人間を見てきた、その中には当然強い奴もいればそうでない奴もいる。
その一挙手一投足を見れば大体その強さが分かる。こいつは強い、間違いなく。なのに恐ろしい位に魔力が少ないのだ、それが気持ち悪いと思った原因だ。
「・・・こう、違うな・・・こうか?・・これも違う・・・」
「おぬし何をやっておる?ほれほれ、式に戻らんか」
女の手がこちらへ伸びたその時、
ズズズズズッ
「こうか。よし」
辺り一体に立ち込めていた魔力が一気に消え去る。
「—————ふう。お前なかなかやるな。こんなに魔力を無駄にしてたなんて知らなかったぞ。」
「ん?は?」
「これでまた一つ、あいつに差をつけた・・。お前、見どころあるな。褒めてやろう。」
「ぷっ、アッハハハハハハ!!!!面白い!!面白いぞおぬし!!!!こんなに魔力操作の上手いやつはそういない!!!しかもわしに対してのその態度、気に入ったぞ!!!!」
「お前上級生か?同学年とは思えんが・・」
「それを教える前にちぃとやりたい事ができた!」
「ん?」
「わしと模擬戦をしよう!」
「お、おうおはよう・・。君は、グランだったな。」
「俺の名前をもう覚えていらっしゃるんですね。ありがとうございます。」
「お、おう・・・」
「———————彼、いきなり気分が悪くなってしまったようでして・・・」
「なに?それは良くないな!!すぐに保健室に連れて行こう!君、大丈夫か?むっ、ずいぶんと苦しそうだな・・」
「それは大変だ!きっと物凄く体調が悪いんでしょう」
「とりあえず俺が保健室に運んでおくから、他の生徒は席に着いてなさい。」
(ふぅ、一件落着)
「こら!グラン、嘘ついちゃめっ!」
その時、俺の後ろから声が聞こえた。
俺は目を見開いて声を発したアバズレ女の方を振り返る。もし擬音をつけるならギギギギだろうか。
「おい、おまっ、まさか・・・・!!」
「先生、実はですね!」
(こ、このバカ女、なんてことしやがる・・・!!!!)
今日は楽しい楽しい入学式!!!
新入生は合格の嬉しさと新しい出会いにワクワクしながら正門をくぐり、
入学式の後はみんなで楽しくオリエンテーション、上級生が考えたプログラムとパフォーマンスで入学生を楽しませるのだ!
なーんてものは俺には無縁だった・・。
今、俺は校庭のど真ん中で正座だ。
足の下には座布団が数枚重ねられている。
ご丁寧にどうも。
だが、今考えても自分が特に何かしたとは思えない。というか、仮にも俺は貴族の息子なんだが?いや本当に仮だけど・・・
あの教師、頭おかしいんじゃないか?
しかもここは体育館への通路から丸見えのため、恐らく入学式とオリエンテーションのために体育館へ行くのだろう同級生が俺へ好奇の視線を向けてくる。
(か、完全に変人扱いだ・・・。あっ)
その時、俺に赤っ恥をかかせた憎き金髪の女と俺は視線を絡める。
(後で覚えてろよ・・・)
「にぃ・・・・」
あ”んっ?
あの女の口の端が吊り上がり、こちらを小馬鹿にしたような視線で見る。
覚えてろよ
体育館への通路を通る人の数は徐々に減り、今はもう完全にゼロだ。
「馬鹿馬鹿しい。なんで俺がこんな所でずっと座ってなきゃいけねぇんだ?アホか。」
俺は立ち上がると、座布団を地面に思い切り叩きつけ、校舎に戻る。
「あー何しよっかなぁ?・・適当に見て回ろ。」
オリエンテーションが終わるまでに戻ってくればどうせバレる事はないだろうとたかを括り、俺は校舎内を探索する事にしたのだが————
校舎側からこちらに歩んでくる一つのシルエットに、近づいて来るまで全く気付かなかった。
歳は自分と同じ位だろうか、小柄な女である。
髪は炎の如く赤く、顔は幼いながらもその鋭利な視線と自信に満ち溢れた表情は誰かを彷彿とさせる。
その女は俺から数メートルの距離まで近づくと立ち止まると、じっと俺の顔を見つめてきた。
「・・・なに?」
「おぬしこそ。もうすぐ入学式が始まるのじゃぞ?ここで何をやっておる?」
「何をやっているのかなんて俺が聞きたい位だ。と言うか何だ?さっきからジロジロと不躾に」
「おおー、すまんすまん。じゃが・・・ふっふーん、おぬし、今まででピカイチじゃな!」
気持ち悪い。まず抱いたのはそんな感情だった、なぜかこいつは俺を値踏みしてやがる。
何様のつもりなんだこいつ、だがそんな事はどうでも良い、俺が気になったのはただ一つだ。
———————こいつ、強いな。
「お前、魔力隠してるな?」
「!!!」
女は目を見開くと、その眼光は更に鋭さを増す。
こいつを見るに、さっきまでのクラスメイトや俺は魔力がダダ漏れの状態、個々の魔力の量の差はあれど、それらが流れ出るのを止められない状態だ。
だがこいつの魔力は流れるどころかこいつの体の周りを循環している、しかもその量が恐ろしく少ないのだ。
俺は今まで多くの人間を見てきた、その中には当然強い奴もいればそうでない奴もいる。
その一挙手一投足を見れば大体その強さが分かる。こいつは強い、間違いなく。なのに恐ろしい位に魔力が少ないのだ、それが気持ち悪いと思った原因だ。
「・・・こう、違うな・・・こうか?・・これも違う・・・」
「おぬし何をやっておる?ほれほれ、式に戻らんか」
女の手がこちらへ伸びたその時、
ズズズズズッ
「こうか。よし」
辺り一体に立ち込めていた魔力が一気に消え去る。
「—————ふう。お前なかなかやるな。こんなに魔力を無駄にしてたなんて知らなかったぞ。」
「ん?は?」
「これでまた一つ、あいつに差をつけた・・。お前、見どころあるな。褒めてやろう。」
「ぷっ、アッハハハハハハ!!!!面白い!!面白いぞおぬし!!!!こんなに魔力操作の上手いやつはそういない!!!しかもわしに対してのその態度、気に入ったぞ!!!!」
「お前上級生か?同学年とは思えんが・・」
「それを教える前にちぃとやりたい事ができた!」
「ん?」
「わしと模擬戦をしよう!」
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