2 / 2
崩龍のハナシ
穏やかな龍、崩龍。
しおりを挟む
その龍、西の森に居る。その地は穏やかな風の吹く居心地のよい所だったが、龍の存在が人々の足を踏みとどまらせた。
世界には五匹の龍がいた。
一、ブレスや魔法よりも脳筋戦法を好む剛龍。
二、魔法に特化し、蛞蝓のように這いずる軟体な魔龍。
三、空を駆け回りブレスに特化した飛竜。
四、人龍とも呼ばれ、魔石を使い、龍となる星龍。
五、『触らぬ龍に祟りなし』の格言の張本龍、崩龍。
その地にいたのは五番目の龍、崩龍だ。崩龍は別名『歩く災害』と呼ばれた。何百年も前に崩龍を怒らせた人物がいた。愚者ケンザブロウ。彼はたった一回、崩龍を怒らせただけで生涯愚者と呼ばれることになった。
そんな龍にも強さの階級が存在し、崩龍は未知と言うことでランク外であった。
何せ、崩龍が生涯に行った攻撃はたった一回。ケンザブロウが宿泊するはずだった街に放った一本のレーザーのようなブレス。そこはその一発だけでクレーターになった。
ケンザブロウはその街に居なかったことで当たらずにすみ、色々な人にその事実を伝えた。恐らくすべてを話さなければ愚者と呼ばれることもなかったのだが、それは別のお話。
いつしか、人々を蔑む三体の龍と、人々に寄り添う人龍、無干渉で傍観する崩龍で別れてしまう。人龍は今日も訪れていた。
「やぁ、今日も来ましたよ!」
『……またか、何度来たって人間に手は貸さんぞ?無論お前にもな。』
近々人間と三龍の戦争が始まるであろうと聞いていた。三龍の方も、崩龍の元へ訪れていたが、
『ワタシの力など不要であろう?人間ごときに遅れをとるのか?』
と言ったら納得して去っていった。……と言うのに。
「むぅ……貴方が他の三匹に手を貸さないか心配なんだよ。」
『おお、心配と言ったら最近胸の辺りが物理的に痛いぞ?』
そうはぐらかすと更に頬を膨らまして怒る。三龍の方が物分かりが良いと言うのに。
「ったく、大丈夫なんですか?」
『なにがだ?』
「その痛みに決まってるじゃないですか!」
やけに心配性。そりゃ人々の味方するわな。そう思い、呆れた崩龍は少しだけ力を貸すことにした。
『………』
「どうしました?何か……」
『サドミックと言う街にドラゴンキラーとなる武器を作る人の鍛冶職人が居る。……予言の結果だ。行ってみるがいい。』
「!サドミックのどこに、」
『自分で調べろ。』
予言。崩龍に使える力の一つ。目の前に居る相手が次どうするべきかを感じとる力。居場所まで教えたら手伝いになるかもしれんが大雑把になら自分達で見つけられたと言ってもバレないだろう。
「ありがとう!やっぱり崩龍はやさしいな!」
『さっさと行け。そこで隠れてるお前らもだ。』
草木の影に身を潜めて何らかの魔法でバレないようにコーティングしても分かる。しかし、それ以上に眠いのにうるさい。と言うことが崩龍は嫌なのだ。
『……安心しろ、龍は負ける。』
予言の通りであればそう出ていた。崩龍はそれだけ告げると猫とように丸くなり、惰眠を貪り始めた。人龍はその姿を見て、
「ありがとう。」
静かにそう言うと、待っていた人たちとともに森を後にした。
世界には五匹の龍がいた。
一、ブレスや魔法よりも脳筋戦法を好む剛龍。
二、魔法に特化し、蛞蝓のように這いずる軟体な魔龍。
三、空を駆け回りブレスに特化した飛竜。
四、人龍とも呼ばれ、魔石を使い、龍となる星龍。
五、『触らぬ龍に祟りなし』の格言の張本龍、崩龍。
その地にいたのは五番目の龍、崩龍だ。崩龍は別名『歩く災害』と呼ばれた。何百年も前に崩龍を怒らせた人物がいた。愚者ケンザブロウ。彼はたった一回、崩龍を怒らせただけで生涯愚者と呼ばれることになった。
そんな龍にも強さの階級が存在し、崩龍は未知と言うことでランク外であった。
何せ、崩龍が生涯に行った攻撃はたった一回。ケンザブロウが宿泊するはずだった街に放った一本のレーザーのようなブレス。そこはその一発だけでクレーターになった。
ケンザブロウはその街に居なかったことで当たらずにすみ、色々な人にその事実を伝えた。恐らくすべてを話さなければ愚者と呼ばれることもなかったのだが、それは別のお話。
いつしか、人々を蔑む三体の龍と、人々に寄り添う人龍、無干渉で傍観する崩龍で別れてしまう。人龍は今日も訪れていた。
「やぁ、今日も来ましたよ!」
『……またか、何度来たって人間に手は貸さんぞ?無論お前にもな。』
近々人間と三龍の戦争が始まるであろうと聞いていた。三龍の方も、崩龍の元へ訪れていたが、
『ワタシの力など不要であろう?人間ごときに遅れをとるのか?』
と言ったら納得して去っていった。……と言うのに。
「むぅ……貴方が他の三匹に手を貸さないか心配なんだよ。」
『おお、心配と言ったら最近胸の辺りが物理的に痛いぞ?』
そうはぐらかすと更に頬を膨らまして怒る。三龍の方が物分かりが良いと言うのに。
「ったく、大丈夫なんですか?」
『なにがだ?』
「その痛みに決まってるじゃないですか!」
やけに心配性。そりゃ人々の味方するわな。そう思い、呆れた崩龍は少しだけ力を貸すことにした。
『………』
「どうしました?何か……」
『サドミックと言う街にドラゴンキラーとなる武器を作る人の鍛冶職人が居る。……予言の結果だ。行ってみるがいい。』
「!サドミックのどこに、」
『自分で調べろ。』
予言。崩龍に使える力の一つ。目の前に居る相手が次どうするべきかを感じとる力。居場所まで教えたら手伝いになるかもしれんが大雑把になら自分達で見つけられたと言ってもバレないだろう。
「ありがとう!やっぱり崩龍はやさしいな!」
『さっさと行け。そこで隠れてるお前らもだ。』
草木の影に身を潜めて何らかの魔法でバレないようにコーティングしても分かる。しかし、それ以上に眠いのにうるさい。と言うことが崩龍は嫌なのだ。
『……安心しろ、龍は負ける。』
予言の通りであればそう出ていた。崩龍はそれだけ告げると猫とように丸くなり、惰眠を貪り始めた。人龍はその姿を見て、
「ありがとう。」
静かにそう言うと、待っていた人たちとともに森を後にした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
〈本編完結〉わたくしは悪役令嬢になれなかった
結塚 まつり
ファンタジー
「返しなさい! その体はわたくしのものよ!」
ある日ルミエラが目覚めると、転生者だという女に体を奪われていた。ルミエラは憤慨し、ありとあらゆる手を尽くして己の体を取り戻そうとする。
これは転生者に人生を奪われたひとりの少女のお話。
ドアマットヒロインって貴族令嬢としては無能だよね
みやび
恋愛
ドアマットにされている時点で公爵令嬢として無能だよねっていう話。
婚約破棄ってしちゃダメって習わなかったんですか?
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/123874683
と何となく世界観が一緒です。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる