前世が特殊災害指定生物でしたが今世は平凡に生きたいです。

シア風

文字の大きさ
35 / 67
今世 第一章 平凡に生きるまでの非凡 

キオクノノゾキミ(後編)

しおりを挟む
先程の光はどこに行ったのかと思うほど、そこは暗い監獄であった。そこら中に苔が生え、どこかでピチョンと水の落ちる音が聞こえてくる。捕まえないと目を覚ませないと言われたけれど、クリスタはすでに来たことを後悔していた。

「ふ、雰囲気あるなぁ……足元は滑りそうな苔石レンガ出し……」

……ピチョン

「ひゃっ!……もう…あの水の音が凄く……怖い……」

そう思いながら歩いていると、あからさまに破られた檻が見えてきた。どうやらここにいた記憶が逃げ出したようだ。……記憶が逃げるってどういうことなのかな……。クリスタは今になって分からなくなり悩むが、悩むだけムダだと思い、捜索を開始した。


少しして、ここがたいした大きさではないことを知った。ただし、一周、二周してもさっぱり見つからないのである。

「……あれ?もしかして……対象って……小さい?」

そう思ったため、目を凝らして三周目、見つけることができた。まるで猫のようだった。丸まり、岩に擬態していた。こんな猫みたいな記憶を本当にあんな大きな牢に収まっていたのかと違和感を覚える。見た感じだと、隙間から通り抜けてしまいそうだ。

(まぁ、これで解放されるなら、楽なものだね。)

そう思い記憶を抱き上げる。そして、とりあえず牢まで連れていくと、記憶は急に抵抗し出した。

「うわわっ!に、逃がさないよ!」

無理矢理牢に入れると急に檻が修復され、記憶は大きく膨張した。唖然としていると、檻の隙間から頭を引っ掻かれてしまった。

痛みはなかったが、記憶の一部を見ることになってしまう。またもクリスタの意識は飛んでいった。


一筋の光が差し込む。どうやら夢?を見ているようだ。クリスタは自身の身体がどうなっているのかさえ分からないままその光を見ていた。

「……罪無き人を傷付けた罪、甘んじて受けなさい。」

光の中から声が聞こえる。目を凝らして見てみると、高台と思われるところに、天輪に翼の生えた天使が二人いた。片方は剣のような十字架を持ち、もう片方は縄で縛られ拘束されていた。

「……なんで……あの人間は……多くの人を傷付けた罪人なの……。貴女ならわかるはずでしょ!?」

縛られた天使は必死で説得しているようだった。しかし、十字架をもつ天使は十字架を掲げる。

「待って……ねぇ、やめてよ……三人で神の試練突破するって言ったじゃない!」

悲しそうな顔で縛られた天使は説得を続けるしかし、

「…………神になれるのはごくわずか。天使は他の天使を蹴落とし偉くなるの。貴女ならわかるでしょ?」

十字架を持った天使は小声で呟き、ニコリと笑うと十字架をそのまま降り下ろした。

「か……はっ……」

天使の命手綱とも言える天使の輪を砕かれ、頭を強打した。鮮血が飛び散りその場に屈する。挙げ句、

「……翼も切ってしまいましょう。……っよし。これで競争からは脱落。貴女が欲しがってた自由よ。良かったわね、リュミエル。」

十字架を持った天使はリュミエルと呼ばれた天使を高台から蹴落とし、嗤っていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

エルティモエルフォ ―最後のエルフ―

ポリ 外丸
ファンタジー
 普通の高校生、松田啓18歳が、夏休みに海で溺れていた少年を救って命を落としてしまう。  海の底に沈んで死んだはずの啓が、次に意識を取り戻した時には小さな少年に転生していた。  その少年の記憶を呼び起こすと、どうやらここは異世界のようだ。  もう一度もらった命。  啓は生き抜くことを第一に考え、今いる地で1人生活を始めた。  前世の知識を持った生き残りエルフの気まぐれ人生物語り。 ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバ、ツギクルにも載せています

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 2月15日付で、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。 ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。 引き続きよろしくお願いいたします。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

処理中です...