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遅すぎる答え合わせ3
しおりを挟む意識が浮上する――
研究室の自室にいるのがわかり、もぞもぞと身体を動かすが違和感を覚える。
「起きたか?」頭上から声がかかり、意識が覚醒しノアに抱き締められたままなことを理解する。
「おっお、起きた……」
「ん、体は?……キツくないか?」
手の甲で優しく頬をくすぐられ、ノアの冷んやりとした感触に体が熱っぽいことに気付く。
「あ、の、私……」
「少し苛めすぎた。でも、謝らないからな。気持ちよかっただろ?」
耳や首筋を優しく撫でながら、したり顔で顔を覗き込まれる。
「――っもう!ノアっ!!」
ポカポカと胸を叩き、体を捻って抜け出そうと試みるが回らされる腕はびくともしない。
ノアはクツクツと笑って私の手を取り指先にキスを落とした。
「ロゼッタが可愛すぎて」
体を揺らし笑うノアに力が抜け、ふぅと大きく息を吐いた。
見上げると、目を細めて私を覗き込む深い青の瞳。
引き寄せられるように、ちゅっ、リップ音を鳴らし柔らかくキスをして、額を合わせて囁く。
「…………ノア……好きだよ……」
ノアの体がピクっと揺れ、私を抱きしめる手に力が入った。
首に顔を埋め、唸りながらぐりぐりと額を擦り合わせてくる。
「……ずっと前から好きだった、好きだ……ロゼッタ」
ぎゅっと私を抱きしめ肩に顔を埋めたノアは「好きだ」と繰り返し言葉にした。
何度も、何度も。だから私も応える。
そして私たちは、何度も何度も、キスをした。
――――
「えっ!? 本当に!! ……っ!!」
驚きで思わず立ち上がった際に机の角に足をぶつける。
ノアと気持ちを確かめ合い両思いになった。
煽情的な雰囲気が落ち着いた頃、評議会の件で話したいことがあったとノアが話し始め、今に至る。
「おい、大丈夫か!?」
「いててっ、うん、大丈夫、ありがとう。っで、本当なのその話……」
ノアの話は私がすっかり忘れていた十五年前の幼い私に出会っていたことから始まり、私の養父たちの件も知っていて黙っていたと。
今年の評議会が開かれる前から研究内容が注目されていて、私の存在を煩わしく思う人たちが出てきたらしい。
裏で私の出自について調査されたり、少し穏やかでない状況になってきたと。
「まだ行動に移していないが、ほぼ黒だ。大方検討はついてるんだが……万が一にも、お前の出自が明らかになったら何をするかわからない……できるだけ自衛して欲しい」
「うん、わかった……ブレスレットは外さないほうがいいよね?」
ノアは眉に皺を寄せ、少し悲しそうに嘆く。
「それを外すのは……無いことを願う。ロゼの命が危なくなるまでは使うな。誰がどうなろうとも……落ち着くまで家には帰らず、実家に帰って欲しい。閣下にも話はつけてある」
その不穏な発言に息を呑む。
「……そんなに危険なの……?」
私の不安に気付き、優しく頬を撫で慈しむようにノアが覗く。
「不安にさせたな……大丈夫だ、ロゼ。ただ俺たちは、お前の命の方が何よりも大事なんだ。殿下も閣下も……そのことでロゼが気を揉むことはない」
大きな掌で髪をすくい上げキスを落とす、そのまま抱き寄せられ安心させるように背中を優しく撫でてくれた。
得体のしれないものが私たちを取り巻く。
平々凡々と過ごせるわけがないと理解はしている。
ノアの横に立つと言う事はそういうことだ。
彼らのそばに立つと言う事も。
自分が逃げた俗物的な世界に戻らなければならない。
それでも私はノアのそばにいたい。
胸を張り堂々と彼の横に立ちたい。
ともに戦いたいと願う。
「私だってノアが大事。何よりも。でもノアがいないと意味がないんだからね。命なんてかけないで、お願い。一緒に生きて」
ぐぅと喉を鳴らす音が耳元に響き、回された腕に力が入る。
「ノア?」
クツクツと肩を揺らし、顔を埋めながら笑うノアを仰ぎ見る。
「プロポーズお受けいたします」
「え゛っ!!あっ!ち、ちがう!!そういう意味じゃなくて、あっ、や、違う!!もう!!ノア意地悪だよ!!」
揶揄いながらも満面の笑顔を返してくれる。
――あぁ、やっぱり好きだな。
これからのことはわからない。
それでも私はノアと共に生きたいと思った。
二人こうして笑い合いながら。
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