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38話 京都観光-2
しおりを挟む「ま、迷子になった…」
私はバス停の横にあったベンチに座り込みボーとバスに乗り込む人達を眺めていた。
ほんの数分前、私はある一点をずっと見つめていたせいで萩君達と離れてしまった。そして手元には千円と電源の切れたスマホ…。
「お姉さんって馬鹿だね」
「あんたのせいよ」
私は隣に座る男の子にツッコミを入れた。そう、私はこの不思議な男の子の行動に気を取られ迷子になったのだった。
「というか、君妖なんだよね?」
「…一様、お姉さんも妖なの?」
「違うよ。正真正銘の人間だから」
「…ふーん。そうだ、ちょっとだけ付き合ってよ…どうせ暇でしょ」
「別に暇って訳じゃ…」
すると男の子は私の手を取ると丁度来たバスに乗らされた。よく見ると普通のバスでは無かった…中に乗ってるのは妖だけだ。
人間が入ってきたもので妖達は少しざわめいた。
「お、お邪魔します」
「お嬢ちゃん。これから何処へ?」
私たちにニコニコと笑顔で話しかけてきたのは翁の面をつけたおじさんだった。
妖なんだと分かるぐらい長い頭…何処かで見た事のある妖のような。
「えっと…」
「裏伏見稲荷だ!」
「そうかそうか、ならお嬢ちゃんにはちと辛いだろうからこれを持っていきな」
「あ、ありがとうございます…」
私は淡い紫色のお守りを受け取った。まるで手作りのようで所々縫い目がほつれている。
「…これおじいさんが作ったの?」
「やっぱり分かるかね。昔から不器用でね」
「でも、気持ちがこもってる…ありがとう、大事にするね」
「そうしてくれると嬉しいよ」
そんなこんな話しているといつの間にか裏伏見稲荷に着いた。
裏が着くのだからきっと普通では無いのだろうなと思っていたが、全く同じだった。ただ違うのは観光客が全員妖怪という事だけ。
「そうだ。お姉さん、鏡鳥居には気をつけてね」
「鏡?」
「中が鏡になっていて鏡の住人がうじゃうじゃ居るんだ」
「鏡の住人って?」
「有名なのは雲外鏡かな」
「雲外鏡…聞いたことあるかも」
私が記憶を辿りながら歩いていると男の子はニヤッと笑って私の手を引いた。さっきからずっと思っていたのだけど…誰かに似てる。
「まさか、馨恵さんが迷子になるなんて…」
「今ここでジッとしていても何もならな手分けして探そう」
「そうだね…じゃあ手分けしよう」
そうして俺達は各自別れたのだが…この広い京都で見つかる訳もなく、ただひたすら走り回るだけだった。
「どうしたものか…」
「酒呑童子」
「ぬらりのおっさんじゃないか」
呼びかけられ振り返るとそこには頭が妙に長いおっさんがいた。こいつは最強と謳われたくせにタダ飯という雑魚なイタズラを繰り返す妖怪ぬらりひょん。
ぬらりひょんは百鬼夜行の頭領として有名だな、ぬらりひょん自体は強くないが仲間が強いため最強と言われているだとか…色々と訳ありな奴だ。
「何か捜し物をしているようだな」
「捜し物っていうか…探し人だ」
「人を探して…そう言えば、裏伏見稲荷行きのバスに若い人間の女の子が乗っていた様な」
「それは本当か?!」
「あ、そう心配しなくとも大丈夫だろう。お守りを渡しておいた、あっちの空気には当たらんだろう」
「そうか…ありがとう。もし仲間に会ったらこの事を伝えていてくれ」
「仲間なんてそんな大まかな…あれ…もう行ってしまった。相当大事な人間の娘なのだろうな」
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