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21.精霊の至玉。
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飛び出した淡い光に吸い寄せられるように、薄暗い闇の向こうから、小さな光がいくつも集まってくる。
その光をよく見ると、羽の生えた小さな人間が光って飛んでいた。
「え、これって……精霊じゃなくて妖精?」
「うわっ!俺、初めて見たよ!」
妖精たちを見ていると、今度は色の違う6つの大きな光が、レムリアさんの周りを囲むように現れた。
その光が収束していき、中から人が現れる。
青・赤・緑・茶・黄・黒を1人1色ずつ纏っているようだった。6人が属性ごとに色が分けられているとしたら、6属性。
青と緑と黄が女性で、3人ともすごく美しく、長い髪をたなびかせて豪華なドレスをまとっていた。
赤と茶と黒が男性で、こちらもとても整った顔立ちをしていて、髪が長く、赤の人はズボンで剣を腰に差していたけど、茶と黒の人は豪華なローブを纏っていた。
「え、もしかして……あの人たちが精霊なの?」
「光の玉から出てきたってことは、そうなるよな」
6人の精霊達は驚いたようにレムリアさんを見ると、戸惑ったように互いの顔を見た。やがて1人ずつ、膝を地面につき頭を下げ始めた。
まるで主君に忠誠を誓うよな光景に、今更ながら本当に精霊師なんだと思った。
「天華さん、クレス。これで納得しましたか?」
「さすがにそれを見たら、納得するしかないわ」
「あー、ごめん!疑って」
レムリアさんが手を水平に流すと、6人の精霊達は光の玉となって天高く昇って消えた。消える瞬間に、それぞれが雫のような小さな光の玉を落とした。
その光の雫は、レムリアさんの手の平へと落ちると、落ち着くように輝きを失っていく。
いつの間にか妖精たちも消えていて、静かな夜の空間だけがそこに残った。
「それ、精霊の雫か?いや、これは……雫どころか、至玉か?」
「どうやら属性が混じり合ってしまったようですね」
レムリアさんの手の平にあるらしい至玉を覗いてみると、オパールのような虹色の輝きをもつ、3センチほどの小さな玉が転がっていた。
透き通るような透明感の中に、6色の色彩豊かに輝いている。まるで、水晶の中に色を閉じ込めたような不思議な輝きだった。
「すごく綺麗……」
「ああ、ちょどいいですね。天華さんの髪飾りにしましょう」
レムリアさんは、どこか楽しそうに近づいてくると、虹色の水晶玉を耳の少し上に飾るようにあててくれた。
そこは前に紫水石を飾っていた位置で、まるで紫水石の代わりにと言っているようにみえた。
「ええ?!いや、おいレムリア!そんな簡単に決めていいのか?」
「私には必要ありませんし……」
クレスさんの慌て方を見ていたら、それがすごく高級な物だとわかる。そんな高級そうな物、さすがに受け取れない。
「あの、レムリアさん。それ、かなり高級なアイテムよね?そんな高級な物をもらっても……」
「高級?いえ、自然に発生したものなので、タダ同然ですよ」
たしかにそうだけれど、でもそれは高級なアイテムで、簡単に人にあげるような物じゃないように思える。それに、クレスさんも驚いた顔でこちらを見ているし。
「私が持っていても、あまり意味がありません。それにこれには、精霊の加護が宿っています。ですから、天華さんに」
「意味がない?」
「こんな物に、頼る必要が無いということですよ。私から見れば、綺麗な石にしか見えません」
そういえば、レムリアさんは物凄く強かった。
もしかして、本当に精霊の至玉はレムリアさんにとっては不要な物なのかもしれない。少し考え込んでいるうちに、レムリアさんはクレスさんの方へと向かった。
「クレス、少し相談なのですが……あちらで話しましょうか?」
「あ、ああ。かまわないよ」
レムリアさんはクレスさんを連れて、離れた場所で何か話し始めた。
それほど時間をかけずに戻ってくると、クレスさんはすごく嬉しそうな笑顔を浮かべいた。
「テンカさん、話がまとまったよ!俺、魔道具師として腕を振るうよ!」
「クレスさん、魔道具師だったの?」
「ええ、そうですよ。ちょうどクレスが居たので、さきほど加工を依頼しました」
仕事の依頼が入ってきたことで上機嫌なクレスさんを見ていると、ここで断るのが可哀想に思えてくる。
クレスさんは精霊の至玉をレムリアさんから受け取ると、それを大切に小袋に入れて、懐にしまった。
それを診ると、余計に断りにくくて、結局は諦めた。
「そろそろ、寝ましょうか」
「そうだな、あと少しでアルテアースだしな」
周りを見渡しても、平原と山脈しか見えないのに、もうずいぶんと近いらしい。いったいどこにあるのか不思議に思って聞いてみた。
「あと少しって、どれくらいなの?」
「あの山脈を超えた先にあるよ。山と海に囲まれた国なんだ」
クレスさんは、薄暗い中、月明かりで照らされた山々を指差した。
朝から歩けば、夕方までには到着していそうな距離だった。
「天華さん、寝ますよ」
「あ、うん。すぐに行くわ」
いつの間にかレムリアさんが寝床を用意してくれていて、そこに入り込んだ。
ちょうどレムリアさんの隣が空いているから、クレスさんもテントに呼ぼうとしたら、クレスさんに全力で拒否された。
結局はいつもの通り、レムリアさんと寄り添って眠って、クレスさんは焚き火の傍で寝ることになった。
その光をよく見ると、羽の生えた小さな人間が光って飛んでいた。
「え、これって……精霊じゃなくて妖精?」
「うわっ!俺、初めて見たよ!」
妖精たちを見ていると、今度は色の違う6つの大きな光が、レムリアさんの周りを囲むように現れた。
その光が収束していき、中から人が現れる。
青・赤・緑・茶・黄・黒を1人1色ずつ纏っているようだった。6人が属性ごとに色が分けられているとしたら、6属性。
青と緑と黄が女性で、3人ともすごく美しく、長い髪をたなびかせて豪華なドレスをまとっていた。
赤と茶と黒が男性で、こちらもとても整った顔立ちをしていて、髪が長く、赤の人はズボンで剣を腰に差していたけど、茶と黒の人は豪華なローブを纏っていた。
「え、もしかして……あの人たちが精霊なの?」
「光の玉から出てきたってことは、そうなるよな」
6人の精霊達は驚いたようにレムリアさんを見ると、戸惑ったように互いの顔を見た。やがて1人ずつ、膝を地面につき頭を下げ始めた。
まるで主君に忠誠を誓うよな光景に、今更ながら本当に精霊師なんだと思った。
「天華さん、クレス。これで納得しましたか?」
「さすがにそれを見たら、納得するしかないわ」
「あー、ごめん!疑って」
レムリアさんが手を水平に流すと、6人の精霊達は光の玉となって天高く昇って消えた。消える瞬間に、それぞれが雫のような小さな光の玉を落とした。
その光の雫は、レムリアさんの手の平へと落ちると、落ち着くように輝きを失っていく。
いつの間にか妖精たちも消えていて、静かな夜の空間だけがそこに残った。
「それ、精霊の雫か?いや、これは……雫どころか、至玉か?」
「どうやら属性が混じり合ってしまったようですね」
レムリアさんの手の平にあるらしい至玉を覗いてみると、オパールのような虹色の輝きをもつ、3センチほどの小さな玉が転がっていた。
透き通るような透明感の中に、6色の色彩豊かに輝いている。まるで、水晶の中に色を閉じ込めたような不思議な輝きだった。
「すごく綺麗……」
「ああ、ちょどいいですね。天華さんの髪飾りにしましょう」
レムリアさんは、どこか楽しそうに近づいてくると、虹色の水晶玉を耳の少し上に飾るようにあててくれた。
そこは前に紫水石を飾っていた位置で、まるで紫水石の代わりにと言っているようにみえた。
「ええ?!いや、おいレムリア!そんな簡単に決めていいのか?」
「私には必要ありませんし……」
クレスさんの慌て方を見ていたら、それがすごく高級な物だとわかる。そんな高級そうな物、さすがに受け取れない。
「あの、レムリアさん。それ、かなり高級なアイテムよね?そんな高級な物をもらっても……」
「高級?いえ、自然に発生したものなので、タダ同然ですよ」
たしかにそうだけれど、でもそれは高級なアイテムで、簡単に人にあげるような物じゃないように思える。それに、クレスさんも驚いた顔でこちらを見ているし。
「私が持っていても、あまり意味がありません。それにこれには、精霊の加護が宿っています。ですから、天華さんに」
「意味がない?」
「こんな物に、頼る必要が無いということですよ。私から見れば、綺麗な石にしか見えません」
そういえば、レムリアさんは物凄く強かった。
もしかして、本当に精霊の至玉はレムリアさんにとっては不要な物なのかもしれない。少し考え込んでいるうちに、レムリアさんはクレスさんの方へと向かった。
「クレス、少し相談なのですが……あちらで話しましょうか?」
「あ、ああ。かまわないよ」
レムリアさんはクレスさんを連れて、離れた場所で何か話し始めた。
それほど時間をかけずに戻ってくると、クレスさんはすごく嬉しそうな笑顔を浮かべいた。
「テンカさん、話がまとまったよ!俺、魔道具師として腕を振るうよ!」
「クレスさん、魔道具師だったの?」
「ええ、そうですよ。ちょうどクレスが居たので、さきほど加工を依頼しました」
仕事の依頼が入ってきたことで上機嫌なクレスさんを見ていると、ここで断るのが可哀想に思えてくる。
クレスさんは精霊の至玉をレムリアさんから受け取ると、それを大切に小袋に入れて、懐にしまった。
それを診ると、余計に断りにくくて、結局は諦めた。
「そろそろ、寝ましょうか」
「そうだな、あと少しでアルテアースだしな」
周りを見渡しても、平原と山脈しか見えないのに、もうずいぶんと近いらしい。いったいどこにあるのか不思議に思って聞いてみた。
「あと少しって、どれくらいなの?」
「あの山脈を超えた先にあるよ。山と海に囲まれた国なんだ」
クレスさんは、薄暗い中、月明かりで照らされた山々を指差した。
朝から歩けば、夕方までには到着していそうな距離だった。
「天華さん、寝ますよ」
「あ、うん。すぐに行くわ」
いつの間にかレムリアさんが寝床を用意してくれていて、そこに入り込んだ。
ちょうどレムリアさんの隣が空いているから、クレスさんもテントに呼ぼうとしたら、クレスさんに全力で拒否された。
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