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ヒトとセイ、そしてアイ。
しおりを挟む私の目には、アナタが美しく映る。
そんなアナタの唯一無二になりたいと願った。
アナタを初めて見たのは、雪解け水に足元を濡らされる時期の朝だった。
雪は無くても吹き付ける風はまだ寒さを捨てきれずにいるようだ。
お陰様で足の指先は冷えきって、じんじんと痛む。
駆け込むようにいつもの建物の中へ入ると、動き始めたばかりの暖房が必死に仕事をしていた。
一晩かけて冷え切った空気と、暖房が暖めた空気が混じり合って、ぬるい。
歳に似合わず息を切らしながら、数十段ある階段を上りいつもの部屋を目指す。
この時間にはまだ誰もいないからと、優雅な一日の始まりを小さく喜ぶ。
まだ冷たいであろう部屋に入る。
残念ながら、どうやら先客がいるようだ。
誰も居ないはずの部屋が暖かい。
私よりも早く来るとは物好きだな、なんて思いながらその物好きの姿を探す。
私の視線が誰かの影を捉えた時だ。
暖かいはずの空気が、一瞬で冷たくなったように感じた。
現実の残酷さを知る。
生まれて初めての衝撃だった。
目の前のソレに目を奪われる。
悲しい程に、悔しい程に、私の視線が捕らえたソレは一言にただただ美しい。
直感的にそう思った。
纏う空気や、その視線。
ソレを形成するもの全てが美しい。
穢れた私とは何もかも違う、その美しさは暴力的で、絶対的だった。
ソレが私に目を向ける。
本当に美しいものを見ると、人は恐怖感すら覚えるものなのか。
目を逸らしたくても逸らせず、その場から動きたくても動けない。
言葉を発しようにも何を話せばいいのか。
無駄に多い引き出しの中から言葉を探るが、何一つらしい言葉が浮かばない。
呼吸の仕方も忘れてしまったのか、脳に酸素が行き渡らない。
そんな私を見兼ねたのか、ソレは綿菓子のように甘く柔らかな笑みを浮かべて立ち去った。
甘さだけを残して、消えたのだ。
何が起こったのか、脳が悲鳴をあげたために未だ状況が飲み込めずにいる。
取り憑かれたようにただ一点を見つめていた。
アレの姿が私の脳を占領する。
正気に戻ったのはそれからしばらく経ってからだった。
私にとっては至って普通の日常だった。
アナタの存在が非日常的で、非現実的だったのだ。
全く困ったことに、それ以降アナタを無意識に意識している。
本当に取り憑かれているのかもしれない、とすら思うようになった。
雪解け水が桜の花びらに変わった。
あれからというもの、アナタを目で追う日々が続いている。
お陰様で観察日記でも付けられそうなくらいだ。
書き綴る内容は、見え隠れするアナタの内面と、それを見続ける私の自己嫌悪。
それでも観ることを止められない。
私が抱いた第一印象はいとも簡単に崩れた。
あの柔らかな笑みは見間違いだったのだろうか。
私が感じた柔らかさは、アナタの中をいくら探しても見当たらなかった。
あるのは不気味な冷たさを帯びた刃。
その刃を懐に隠して、柔らかさという衣を羽織っていた。
老若男女問わず、全てのものがアナタの美しさの前では無力と化す。
この人間社会で、私もアナタもひとつの要素でしかないはずなのに、アナタは私と明らかに違う。
私は所詮、鵜飼の鵜でしかない。
けれどアナタは鵜飼なのだ。
やはりこの世に平等などないのだろう。
皆の見た目が違うように、皆の中身も、取り巻く環境も違うのだから。
そしてそれらは、自分で選ぶことなど出来ない。
なんて、無情。
人は不平等を抱えながら生きていくしかないのか。
選ばれる者、与えられる者は最初から決められているのだから。
幼い頃はそれを知らずに、自分には無限の可能性があると思い込み生きていた。
そしてある日、気付く。
自分の可能性が有限であることと、己の無力さを。
努力で補える部分などどれほどあるか。
0を1にすることと、5を6にすることとでは、そもそもの立ち位置が違うじゃないか。
1つの数字を上げる行為は同じはずなのに、出てくる数字の大きさは同じではない。
アナタとその他では立ち位置が違う。
だからこそ、人に頼らずともある程度の事が出来てしまう。
それ故なのか、アナタが他人を見る目はいつもどこか冷たい。
期待を裏切られ続けたからだろう。
下手な期待はするものじゃない。
アナタが望んでも、それを叶えられる人はきっと誰もいない。
アナタはもう、期待することをとうの昔に止めている様だ。
それどころか、誰も相手にしていないようにさえ見えた。
相手にはアナタでなければならなくとも、アナタにとってはそうではない。
だって、いてもいなくても同じだから。
その冷酷さは、何故か他人を魅了した。
時には縋られ、時には崇められる。
そして私もその中の一人になってしまったという訳だ。
アナタには誰も適わない。
圧倒的な美しさは他を凌駕する。
そう、身をもって感じた。
最初のうちはアナタを見ているだけで良かった。
花を愛でるように、私の視界を彩ってくれるならそれで良かった。
美しいものを美しいと思い鑑賞することは、私の心と日常を潤し、輝きを与える。
ただ、生き物は感情を持つ。
そして、人間は欲深い。
人間として十数年生きてきた私にも欲が芽生え、やがてふっくらとした蕾を付ける。
もう少しだけ、アナタに近づいてみたい。
触れられなくて構わないから、もう少しだけ。
アナタと話してみたい。
アナタを知りたい。
アナタに知られたい。
もう少しだけ。
アナタの心に近づきたい。
足元の花びらは消え、鉄板のように暑い地面が現れる。
上空から照りつける太陽が私を焼く。
電子レンジの中みたいだなと思いながら、滲む汗を拭う。
家を出た頃は涼しかったはずなのに、今となってはもう暑い。
駆け込むようにいつもの建物の中へと入ると、動き出したばかりの冷房が悠々と仕事をしていた。
ひんやりとした空気が私の身体を包み込む。
相変わらず息を切らしながら、数十段ある階段を上りいつもの部屋を目指す。
あの日以来この時間に来てもアナタに会うことはない。
また今日も優雅で穏やかな一日の始まりを喜ぶこととしよう。
冷たい空気に包まれた部屋に入る。
どうやら先客がいるようだ。
部屋に見覚えのある人影が見えた。
私よりも早く来る物好きなんて、一人しか思い当たらない。
嫌な汗が私の頬を伝う。
身体が小刻みに震え始めた。
この部屋はこんなにも寒かっただろうか。
現実は小説より奇なり。
目の前のアナタに目を奪われる。
アナタは私に向かって、あの笑みを浮かべる。
本当によく出来た仮面だ。
その仮面の下から覗く冷酷さが、息を呑む程美しい。
その暴力的で絶対的な美しさが、私を更に震えさせる。
アナタが私に声をかけた。
初めて私に向かって声を発した。
達成感にも似た感動と、畏怖の念。
たかが挨拶でも、こんな感情になるものかと自分自身に驚く。
震えを堪えて捻り出したか細い私の声が、部屋の中に反響する。
こんな頼りない挨拶があっていいのだろうか。
心の中で自分を嗤う。
そんな私の声に比べて、アナタの声は心地が良い。
出来るならずっと聴き続けていたいと思った。
私は少ない話題を捻り出し、なんとか会話を続けようと試みる。
もっと、もっと、もっと。
アナタの声を聴かせて。
アナタの話を聞かせて。
取り留めのない話を続けているうちに、慌ただしかった脈は自然と整い、嫌な汗は引いていく。
今日の帰りに一緒にご飯を食べに行こうと、アナタが思い立ったように言った。
唐突な申し出に戸惑うが、身体は馬鹿正直に首を縦に振っていた。
私の脳みそは本能に忠実なのだ。
考えることは二の次である。
アナタはまたも優しく微笑み、その場から立ち去る。
アナタは私との会話をどう思っていたのだろう。
私と話している間、アナタは終始衣を羽織っていた。
冷たく光る刃を懐に隠して、いつでもその刃を振りかざせるよう身構えていた。
私を窺っているのか?
だったらそれは無意味なことだ。
私はもう、分かっているのだから。
その冷たさを帯びた眼差しの中に、他者への怯えがあることを。
私だけは、気づいている。
私だけが、知っている。
私の中で、欲の蕾が少しずつ開き始めていた。
アナタと二人きりで過ごした時間は何とも有意義だった。
そして、自分の醜さと穢れを突きつけられた。
アナタの言葉で印象に残ったものがあった。
"何の努力もしていない者が、努力しているものと対等になどなれるものか。"
選ばれる者、与えられる者は最初から決まっている、努力で補える部分はどれほどあるか、という私の考えは尽く否定されてしまった。
アナタのその美しさは、アナタ自身の努力故なのか。
そうか、生まれつきではないのか。
与えられたものを、生かすも殺すも自分なのか。
ああ、そうだよな、当然だよな。
こんな簡単なことを、私は考えられていたかった。
完璧になろうと、美しく在ろうと、アナタは常に人知れず努力をしていた。
だから他者に一線を越えさせないのか。
いや、越えさせないのでは無く、誰も越せないのか。
本当に美しい人間とは、既に完璧な人間か?
私はもう、そうは思わない。
完璧になろうと努める人間が、真に美しいのではなかろうか。
完璧を纏うアナタ。
その中にまだ曖昧さを含んでいるアナタ。
他者への怯えを隠し続けるアナタ。
観念しよう。
私はもう、アナタからは逃れられそうにない。
そして、アナタに捧げよう。
私の中の何もかも全てを。
アナタの唯一無二に私はなりたい。
そう、願った。
誰に?
そんなの、決まっている。
私に、私自身にだ。
私の中で欲が蠢きだす。
最初はただ見ているだけのはずだったのに。
それでは事足りず、やがて話してみたいと思うようになった。
話せるようになると、アナタのことをより深く知りたいと思うようになった。
より深く知ると、アナタの全てをものにしたいと思うようになった。
ただ、どうしたらアナタの全てをものに出来るのかが分からなかった。
アナタの全てとは一体なんだ。
心か、身体か、時間か、一生か。
分からないけれど全てが欲しい。
アナタを創り出す全てを。
私だけが知っていたい。
私だけが。
アナタを想う程に、私は穢れていく。
穢れて醜くなっていく。
もう、終わりは既に、私に向かって歩み始めていた。
足元の鉄板は冷め、黄色の絨毯が広がっている。
世界を彩り朽ちた命は人々に踏まれ、もう元の形がよく分からない。
私はそんな屍の上を歩く。
美しいアナタの隣を歩く。
綺麗だね、屍の上を歩くアナタ。
穢れた私とは、全く違う。
私はやはり、アナタに相応しい者では無い。
だからそこ、私の手で穢してしまおうと思う。
美しいアナタがまみれていく様を鑑賞したい。
私に穢されていくアナタを。
ただ何となく、ただ茫然と。
幼い頃は残酷だったろう。
人は誰しも通るであろう道。
水を汲んだ虫かごの中、溺れて息絶える蟻を眺めていた。
生き物の命を小さな手で潰した。
死に様を何となしに見ていた。
それがただただ面白かった。
無様だと、滑稽だと嗤った。
好奇心は残酷だ。
そして今、その好奇心が私を掻き立てている。
アナタはどのように溺れて魅せるのか。
その様はきっと何よりも美しく、何よりも無様で滑稽なのだろう。
私は反芻するように、無様で滑稽なアナタを頭の中で創り上げた。
ただ、現実のアナタはどうしようもないほど高潔だ。
穢れた私と時間を共にしていても尚、美しいまま。
何故そんなにも、穢れに犯されず生きていられるのだろう。
アナタのその美しさで、私の穢れを拭ってはくれないか。
そんなことを願ってみても、アナタのその美しさは私の穢れを明るみに出すだけだった。
私の欲は満たされず、私の願いは叶わない。
叶えられない願いを抱き続ける苦しみに、私はいつまで耐えなければならないのか。
苦しみによって彩られる日々が、私を足元から蝕んでいく。
終わりが私のすぐ近くまで来ている。
自己嫌悪と自己陶酔。
人はいつでも、心に矛盾を飼っている。
相反する感情の狭間で、踠きながら生きる。
そんな、面倒な生き物。
私はそう思っている。
私は私の穢らわしさが、醜さが、大嫌いで、愛おしい。
自己嫌悪をしては自分に失望し、涙を流して肯定した。
何が悲しくてこんな風に生きているのか。
日常に漂う虚無感を吸って、肺を満たしていた。
こんなにも醜い私が、今アナタに耽溺している。
私はアナタを穢したい。
そうすることで、私がアナタの唯一無二になれると信じている。
アナタはもう、ただの慕情や安い敬意には飽きただろう。
だから私は、穢したい。
穢すことで、私と同じになるから。
私を知ってもらえるから。
受け入れてもらえると思っているから。
他人とは別の形で、アナタを想うことにする。
歪んでいて、不格好な形。
私にしか出来ないだろう?
自分の全てを肯定して、自信に身を包み生きていきたい。
そう思っていた過去の私。
過去にしたのはアナタだ。
肯定の仕方はどこかズレている。
けれど、これでいい。
私は穢れて醜いから、美しさを語れない。
美しさを失わないアナタのようにはなれない。
だから、その美しさを壊してみせよう。
アナタの衣を剥ぎ取ってやろう。
なんでこんなにも強気なんだ、私。
あまりの面白さに涙が出そうだ。
いや、もう、泣いているのか。
これはなんの涙だろう。
欲の華は遂に満開を迎えていた。
ごめんなさい、と声にはならずに涙となって零れた。
私は欲に侵食され続ける。
そんな中、あることを考えていた。
友達の定義と許容範囲。
私はあなたにどこまで許されているのだろう。
自分以外の人間なんて、全員他人だと言うのに。
何故人と人との関係上に、曖昧な名称を付けたのか。
家族も恋人も友達も、結局は他人でしかないのに、名称を付ける意味はどこにあったのか。
名称一つにこんなにも考えさせられるなんて、心底馬鹿馬鹿しい。
馬鹿馬鹿しいとは思いつつも、私はアナタの友達でいいのかなんて考える。
私はアナタの友達でいたいのか。
それよりももっと深い関係になりたいのではなかったか。
友情よりも深く、濃密に。
では、私とアナタの関係性に、どんな名称を付けるのが正しいのだろう。
名称になんてこだわらずに生きていけたら、きっと少しは楽になれたのだろうか。
ただ一つ言えることは、アナタとこの先の人生を生きていきたい。
アナタ以外の人間は要らない。
穢れを吸ったアナタと、穢れを吸った私との濃密な日々を夢見る。
私が求めるのはアナタ一人だ。
アナタさえいてくれるなら、何も要らない。
周りの人間に疎まれようとも。
私はアナタを思い続けよう。
終わりが私の後ろに立った。
季節は巡る。
足元に広がる、薄汚れた白。
純白だったはずのものは、街の穢れに染められた。
アナタと出会ってから、あと数ヶ月で一年になる。
一年という長く短い月日を経て、今の私たちの関係がある。
今のアナタに、私はどう映っているのだろう。
私にとって、アナタは今も美しいままだ。
穢れに染められることを知らない。
でも、ごめんなさい。
私はもう、限界だ。
いつもの様にアナタの家へ行く。
太陽は真上から私を見下ろしていた。
インターホンを押す指は毎度震える。
この無機質な音にはまだ慣れない。
返事も無いまま唐突に扉が開く。
5cm程度開いて、閉まる。
これが許しの合図。
自分の手で扉を開き、中へと入る。
いつ来ても落ち着く空間だ。
アナタの匂いで満たされた部屋。
芳香剤のような作られた匂いではなく、アナタ自身の匂い。
部屋の中はとてもシンプルで、最低限の物しかない。
無駄な情報を許さない空間。
部屋は心の表れなんていう言葉もあるけれど、それはあながち間違ってないように思う。
この部屋は、アナタの心そのものだ。
広々としていて、最低限のものだけを揃えて、使わなくなれば迷うことなく捨てる。
そうして守られる平穏。
私はここにいることを許された。
かつての願いは大分叶ったね。
夢のようで、現実味がない。
でも、未だ叶わぬ願いが一つ。
それを今日、手に入れる。
私はアナタとベッドの上に、並んで腰を掛ける。
日が落ち始め、カーテンを閉めた部屋には微かな光しか届かない。
アナタの匂いで満たされた部屋は、私の思考を鈍らせる。
おかしい、こんなはずではなかった。
アナタに、呑まれる。
私を射止めるアナタの瞳が、薄暗い部屋の中で光る。
私の身体はもう動くことが出来なかった。
ベッド上に手をついて身体を支えていた私の右手に、無機物のように冷えたアナタの手が触れる。
ソレは次第に私の右手から腕へと上り、耳を捕らえる。
アナタの指がするすると、耳の輪郭をなぞる。
腰骨が疼き、身体が微かに震え始める。
私は思わず目を閉じて、アナタの指の感覚を追った。
不意にその手は離れ、私のうなじを支えるように優しく触れた。
布が擦れる音がして、アナタの息が私の唇を掠める。
少し薄いアナタの唇から、アナタの体温を帯びた舌が私の口内に捩じ込まれる。
脳みそを痺れさせるような背徳感と罪悪感が、私のナカを駆け巡る。
その痺れはやがて脊髄を経て、身体の末端まで震わせた。
身体の芯から熱を帯び、漏れる息や交わす視線までもがじっとりと濡れている。
じわじわと、とろとろと、脳みそはもう自らの働きを忘れてしまったらしい。
ああ、苦しくて堪らない。
アナタはもう、とっくに穢れを知っていたのか。
呼吸を忘れる程に流し込まれるアナタを、受け止め切れずに視界が揺らぐ。
感情が堰を切るように溢れ出てしまい、私は無力と化した。
ただ、目の前のアナタに身を任せるだけの存在。
絶対的なアナタの前では、誰もが無力だ。
途切れそうな意識の糸を握りしめ、アナタを感じる度に私の身体から押し出される声を聴く。
目の前のアナタは、信じられないほど人間味を帯びていた。
知らなかったよ、私。
アナタのこと、何も分かっていなかったのか。
私を見つめる目は潤み、身体は熱を持って、触れる手は私と同じ様に微かに震えている。
アナタも、人間なのか。
なんて無様なんだ。
穢れを纏うアナタ。
なんて滑稽なんだ。
私を必死に求めるアナタ。
そうか、こんなものなのか。
アナタと言えども、こんなものなのか。
溶け出た二人の体液。
混じり合っては濡れる。
生々しい音。
快楽に支配される。
喘ぐように息をする。
心拍数が上がっていく。
吐き出したくなるような、泣き出したくなるような気持ちを、アナタと舌を絡めることで掻き消す。
アナタはもう、私の友達ではなくなった。
では、アナタにとっての私は?
いや、もう、どうでもいいか。
私とアナタは対人間として繋がった。
これで良いだろう。
私達の関係に相応しい名称なんてない。
名称なんてもう必要ない。
ただアナタと繋がってさえいればいい。
アナタと共にいられたらいい。
私に残された一生を、アナタと過ごして終えたい。
私はアナタの唯一無二になりたいと願った。
ああ、そうか。
きっとこれが愛。
応援ありがとうございます!
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