177 / 291
第零章 先代編(中編)
成年舞踏会
しおりを挟む「陛下」
「フレデリク。二人はどうした」
「勇者さま方と一緒に。少々お話が」
玉座に戻ったフレデリクは警備に着いているイヴへと先に頭を下げ、周りには会話が聞こえないようミシェルに近づく。
「勇者さま方がご挨拶はどうしたらよいかと」
「挨拶?」
「爵位がないので名乗りが出来ないと迷っていたようです」
「そうか。たしかに」
特級国民ではあっても勇者たちには爵位がない。
勇者として人前に出る時は名前だけで充分だが、正体を隠して貴族家の舞踏会に参加しているとなると困るのも当然だった。
「やはり爵位を授けるべきですな」
「そうしよう。与えるに相応しい功績はある」
四人はオリビンボアを討伐したりこの世界に異界の知識を広めてくれたりと、国に貢献してくれている。
春雪に関しては別件で他国との話し合いが進んでいるが、勇者一行の三名も同時に爵位を授けた方が良さそうだ。
「勇者方には挨拶は不要と伝えて欲しい」
「承知しました」
「マクシムたちとは会ったか?」
「はい。みんな勇者さま方の所に居ます」
「みんな?」
珍しい。
強制的に参加する行事で揃うことはしても、兄妹で集まることなど今までなかったと言うのに。
「そうか。存分に楽しむといい」
「ありがとうございます」
珍しく父上が穏やかな笑みを。
兄妹が揃うことを喜んでくれているのだとフレデリクも嬉しくなって笑みで感謝を伝える。
「では失礼いたします」
最後に母の三妃をチラと見たフレデリクは、あのあと父上から注意を受けたのだろうと表情を見て気付きつつも見て見ぬふりで離れた。
「勇者方のお蔭で関係性が良い傾向になりつつありますな」
「ああ。年の瀬に喜ばしい報告を聞けて良かった」
王位継承権を持つ者同士とあって仲睦まじくとは難しいことだと分かっているが、今までは他人のようだった兄妹が命じられることもなく集まっていることは大きな変化と言える。
勇者方に感謝せねば。
・
・
・
『…………』
ひと足先に来ていたマクシムとグレース。
ひと足遅れて来たセルジュとドナ。
四人は無言で固まる。
「殿下方へご挨拶申し上げます」
ドレスを摘みフワリと姿勢を低くしてみせた春雪。
時政と柊と美雨もフレデリクの時と同じく春雪に続いて丁寧に挨拶をする。
「勇」
「春雪さまなの!」
「メッ!」
春雪を見てつい口にしそうになったマクシムを双子が止める。
「そ、そうだったな」
動揺しながらマクシムは双子の頭を撫でる。
「春雪さまお美しいですね。どなたか分かりませんでした」
「ですよね!そういう反応になりますよね!」
「美雨。まだ挨拶中」
ほうっと見惚れるグレースに、グレースと親しくなった美雨は笑いながら言って柊から咎められる。
「こちらこそすぐに返せず御無礼を」
マクシムが胸に手をあて挨拶を返し、グレースとセルジュとドナも遅れて挨拶を返した。
「グレースさん、やっぱりそのドレスも似合ってる」
「美雨さまもよくお似合いです。悩んだ甲斐がありましたね」
早速グレースに話しかける美雨。
金色宮殿で今日と明日のドレスをああでもないこうでもないと悩みに悩んで決めたとあって、二人によく似合っている。
「お待たせしました」
少し早足で戻ってきたフレデリク。
「やはりご挨拶は不要とのことです」
「左様ですか。お手数をおかけしました」
「お役にたちましたなら光栄です」
不要と聞いてホッと胸を撫で下ろす四人。
さすがに不敬になるのではと悩んでいたため、フレデリクが確認に行ってくれて本当に助かった。
「兄さんたちとドナはどうしてそのような遠くに?」
『いや』
グレースは既に美雨の隣に居るのに何故か距離を置いているのを見てフレデリクが聞くと、三人は同じ返事を返す。
「分かります。複雑な心境になりますよね」
独り三人の気持ちが分かって拳を握る柊。
男性なのに美し過ぎる春雪に複雑な心境になるのは分かる。
ただし同じ心境なのはセルジュだけで、春雪が半陰陽と知っているマクシムとドナは単純に春雪を美しいと思っている。
「春雪さま、ダンス踊ろ?」
「私も踊る!キラキラする!」
大人の云々など双子には知りもしないこと。
オペラグローブをしている春雪の手を掴み両側から引っ張る。
「ロザリーとリーズは春雪さまが大好きですのね」
「私も少し驚いている。話したことがないはずなのに」
微笑ましく見ながら言うグレースにフレデリクは首を傾げる。
晩餐会で顔は合わせたもののそれ以降は特に接触もなく、懐くような会話すらもする機会がなかったと言うのに。
「春雪さま綺麗なの」
「金色キラキラで綺麗なの」
それを聞いたマクシムとセルジュとドナはハッとする。
その『金色のキラキラ』に思い当たる節があって。
双子も眼を持っているのではないだろうか。
「春雪さん、ここはダンスの練習の成果を発揮する時」
「小さな子とのダンスなんて習ってないし」
「大丈夫!天使ちゃんが絡めば何でも微笑ましくなる!」
「「なる!」」
「ぎゃぁぁ可愛いぃぃ!」
サムズアップした美雨を真似た双子とその可愛さにメロメロの美雨を見て柊や時政は苦笑する。
けれどその普段と変わらない美雨の明るさが場の空気を良いものにしていることは間違いない。
「駄目?」
「ダンス嫌?」
「分かりました。では私に教えてくださいますか?」
「教えるー!」
「わーい!」
くりくりの大きな目で見上げられた春雪は根負けして苦笑し、双子から手を引かれる。
「春雪さま、ご迷惑では」
「いえ。初めてのダンスのお誘いですので光栄です」
「初めてがロザリーとリーズで申し訳ございません」
申し訳なさそうに謝るフレデリクに春雪はクスっと笑った。
「なにかあったのか?」
「騎士は動いておりませんが」
演奏は続いているのにダンスを辞める者が見受けられる。
その者たちの顔が同じ方向を向いていることに気付きミシェルもその方向を見て口に運びかけていた銀杯を止める。
「あれは」
「まあ。ロザリー、リーズ」
ダンスフロアで踊る双子と女性。
双子は女性の手をとりクルクル回ったりリズムを刻んだり。
「ほう。これはまた愛らしい」
そう言って髭を撫でたイヴ。
なにかあったことは間違いないが、そのなにかは悪いものではなく愛らしい双子と女性を微笑ましく見ている視線だった。
「どちらのご令嬢だったかしら」
「あのご衣装は春雪さまですな」
「……勇者さまですの?」
イヴから聞いて驚く三妃。
勇者がどのような衣装で参加しているかは三妃はもちろん国王のミシェルも知らなかったこと。
挨拶も不要と断ったため春雪がドレス姿なことを今知った。
「勇者さまは女性だったのですか?」
「勇者については王妃殿下にもお教えすることは出来ません」
春雪にドレスを着させたのはイヴの企み。
治療で子を成すことが出来るのならば、春雪が選んだ相手次第で女性としてでも男性としてでも王家に迎えることが出来る。
願わくばミシェルを選んで欲しいと思うが、そればかりは強制することが出来ない。
全ては未来を見据えてのこと。
ミシェルと春雪がどの道にも進めるように。
天地戦に行けば二度と帰ることはないイヴからの、ミシェルと春雪にできるせめてもの置き土産。
「みな楽しんでいるのに止めて雰囲気を壊さぬようにな」
扇で口許を隠し傍に控えている侍女に耳打ちしていた三妃をミシェルは顔を見ることもなく先読みして止める。
「固さのあった成年者たちも緊張が解れたようだ。今日の舞踏会は成年者を祝うために開かれたもの。主役は彼らだ」
作法に則ったダンスではなくとも幼い子供たちが楽しそうに踊っているのだから、ダンスを間違わないようにと緊張していた令嬢や子息たちも肩の力が抜けた。
「フレデリクもロザリーもリーズもあのように楽しそうにしている姿を初めて見た。母ならば自分の都合で子の行動を制限させ笑顔を奪うような真似はせずに見守ってやったらどうだ?」
ミシェルから咎められて三妃はギリっと歯を食いしばった。
「みんなも踊るの?」
「うん!せっかく習ったからね!」
「みんなと一緒!」
眺めていた兄や姉や勇者たちも加わって双子は大喜び。
柊と美雨が組み、グレースは時政と組む。
「みんな交換ね。春雪さんはまず殿下方と踊ってね」
「美雨さま」
「ん?」
「男性の春雪さまに女性パートは無理なのでは」
コソッと美雨に耳打ちしたグレース。
男性と女性では踊りが違うのにどう踊るのかと。
「あ、大丈夫だよ。春雪さんは私たちの先生だから」
「先生?」
「どちらも覚えてるから私たちの練習に付き合ってくれたの」
「まあ。ダンスの講師のようですね」
「そうそう。だから誰とでも踊れる」
美雨から聞いてグレースは感心する。
女性式の挨拶もダンスも美雨の練習を見て覚えたもの。
真似るのが得意な春雪の特技とも言える。
「ロザリー、リーズ。少し春雪さまを借りても良いかい」
「いいよ!私はドナ兄さまと踊る!」
「私はセルジュ兄さまと踊る!」
楽しそうな双子の頭を撫でたマクシム。
「兄さまはドナ兄さまの後ね!」
「私も踊らないといけないのか」
「一人だけ逃げるのは狡いだろう。兄さんも双子と踊るのに」
「振り回さないよう頼みます」
「力加減くらいは弁えている」
セルジュとドナとフレデリクの会話にみんなクスクスと笑う。
それを見上げている双子の表情も嬉しそう。
兄妹が集まってこのように和やかな時間は初めてのこと。
機会を与えてくれた勇者方に感謝しなくては。
「では改めて春雪さま。まずは私と踊ってくださいますか?」
「光栄です」
跪いて手を差し出したマクシムに春雪は微笑して手をとる。
見目麗しい王太子と見目麗しい令嬢のその姿はまるで絵画のようで、成年者たちも美しいその光景に見惚れていた。
「春雪さま、ありがとうございます」
「え?」
オーケストラの演奏に合わせて踊りながらお礼を言ったマクシムに春雪は小さく首を傾げる。
「愛らしい踊りで緊張が解けて成年者も楽しそうです」
「それは私ではなく姫殿下に。この通り私は無愛想ですので」
マクシムの手を取り綺麗なステップで踊る春雪の顔は真顔。
たしかに表情だけ見れば無愛想とも言えるが、だからこそ時々見ることの出来る笑みに惹かれる。
「これが双子と春雪さまだったから和んだのです。もし今のようにセルジュと踊っていたら反応に困ったでしょう」
そう言われてチラとセルジュを見て春雪はクスっと笑う。
「不器用な方ですからね。本当はお優しい方なのに」
それを聞いて複雑な心境になるマクシム。
セルジュに抱いていた印象は自分の偏見だったのではないかと思えるくらいには少しセルジュに歩み寄れた気がするが、春雪がセルジュを褒めるのは面白くない。
「はぁ」
「踊りが間違っておりましたか?」
「いえ。自分の器の小ささを嘆いただけです」
不思議そうな表情の春雪にマクシムは苦笑する。
春雪が半陰陽と知らなければセルジュとドナと春雪の関係性に嫉妬することなどなかったのだろう。
「ありがとうございました」
「こちらこそ」
曲が終わり名残り惜しく手を離したマクシムは美しいボウアンドスクレイプをして、春雪もカーテシーで返す。
生まれた時から貴族家の令嬢として育ったと錯覚するような見事なカーテシーを見たマクシムは『そうであればどんなに良かったか』と温もりのなくなった自分の手をぎゅっと握った。
「お疲れではないですか?」
「大丈夫です」
「では私とも一曲お願いします」
「光栄です」
間髪入れずのダンスになる春雪を気遣い確認したセルジュに、春雪は笑みで答えて手を取る。
勇者だけで練習した時にも三人の相手を務めていたためまだ余裕はある。
「性格が出ますね」
「性格?」
踊り出して少しすると春雪がクスクス笑う。
「マクシム殿下はダンスのお手本のように丁寧でしたけど、セルジュ殿下は動きが大きくて荒々しい」
「踊り難いですか?」
「いえ。幸いにも身長はあるので加減していただかなくともまだ付いていけますよ」
可愛らしい挑発にセルジュも口許を笑みに変える。
たしかに春雪の手足の長さであれば貴族家のご令嬢のように気遣わずとも付いてきてくれそうだ。
「ではお言葉に甘えて」
「はい」
そっと掴んでいた手のひらを固く掴み直したセルジュ。
遠慮することなくステップを踏んでもしっかりと合わせてくる春雪に嬉しくなる。
「このように加減なく踊ったのは初めてです」
「女性とは今まで通り優しく踊ってくださいね」
「そうしましょう」
そう話して二人は笑いあった。
「春雪さまとセルジュ兄さま凄いの」
「キラキラなの」
マクシムの時とは打って変わって迫力のあるダンス。
フレデリクやマクシムと踊っている双子は興奮気味。
セルジュのリードの上手さと大きな動きに合わせられる春雪の技術があってこそのもの。
「セルジュ兄さんはダンスが得意だったのですね」
「私も知らなかった」
「いつもは相手に合わせて加減してただけです。昔は一緒にダンスの練習を受けていましたから上手いことは知ってました」
驚くフレデリクとマクシムにそう話してドナは苦笑する。
「ドナ兄さまもお上手ですよ?」
「ありがとう」
パートナーになっているグレースからのフォローにドナはまた苦笑した。
「休憩を挟んだ方が良いのでは」
セルジュの次はフレデリク。
女性のグレースを抜いた王位継承順。
「数分の間は挟んでますので大丈夫です」
一曲終えたあと次の曲に入るまで数分間の間があく。
その間に踊る人や踊り終えた人が移動したり出来るように。
「私より姫殿下の体力が底なしかと」
「若さですかね」
「フレデリク殿下もまだ十七なのに」
移動の必要がない春雪とフレデリクは休憩しつつ、まだまだ元気いっぱいの双子を微笑ましく眺める。
「時政さんと柊と美雨が見知らぬ人と居る」
「子息や令嬢たちも入り乱れてますので」
「いつの間にか人混みに」
パートナーが決まっていて順に踊っている春雪が今更気付いて驚いた様子を見せてフレデリクはクスクス笑う。
「毎年この舞踏会は王家全員が参加するのですが、今年は昨年までとは違って成年者たちが楽しそうなのがホッとします」
「いつもは違うのですか?」
「王家の前で踊るのは緊張するのでしょう。そのうえ王子や王女と踊らせようとするご両親が後ろに控えておりますので」
「納得しました」
裏事情を話すフレデリクも聞く春雪も苦笑。
成年を祝う舞踏会は一生に一度しかないのに、親の企みに左右されてしまう子息やご令嬢も大変だ。
「そういう訳で、今年は私たちも春雪さまが踊ってくださって助かっております。どうぞ私とも一曲お付き合いを」
「喜んで」
丁寧に挨拶を交わしたフレデリクと春雪も手を重ねた。
「今年は素晴らしい舞踏会になりましたわね」
「ああ。子供たちが心から楽しんでいるのが伝わる」
成年したばかりの我が子を見守る両親。
今日は大人の企みなど子供に押し付けるべきではなかった。
成年を祝う舞踏会で主役が楽しまなくては意味がないと、楽しそうに踊る子供たちを見て両親たちもそれに気付いた。
「ところで陛下は今年誰と踊るのかしら」
「マリエル妃と踊るのではないか?」
「毎年アルメル妃と踊っていたからマリエル妃は初めてね」
「そう言われてみれば私も見たことがないな」
「でしょう?楽しみね」
「ああ」
国王と王妃が踊るのは毎年のこと。
二妃と一曲踊るのが恒例で、王城の舞踏会でしか見ることのない見目麗しい国王のダンスを楽しみにしている成年者も多い。
ただ今年は二妃が体調不良を理由に欠席。
そうなると必然的に三妃が踊るのではという結論になるのも当然の流れだった。
王家の王子とのダンスも最後。
王位継承権第五位のドナ。
王家の男児の中で一番継承権の低い王子。
研究にしか興味がなく、身形に無頓着で長い前髪に白衣姿。
気弱で無口で頭脳以外は全てが平均値。
容姿端麗で存在感のある王家の中で唯一印象に残らない王子。
それが国民たちの印象……だった。
「春雪さま」
オペラグローブの上から令嬢の手に品よく口付ける第五王子。
いつもは垂らしている長い前髪を留めた第五王子は美形。
二妃よりも深く濃い紅色の瞳も美しい。
その容姿にも初めてまともに顔を見せたことにも人々は驚く。
「今日もお美しい」
「そう言われると複雑です」
眉を下げた春雪にドナはくすりと笑う。
「どのような姿の春雪さまでも愛おしいです」
そう耳打ちされて春雪はほんのり顔を赤らめる。
ああ、これは。
二人を見ていて多くの者が察する。
見目麗しい令嬢は第五王子のイイヒトだったのかと。
ご令嬢の前だから素顔を見せるのかと。
ドナと春雪に交際している事実はない。
だからこれはドナの牽制。
自分のものだということを人々へ植え付けるために。
「春雪さま、一曲踊っていただけますか?」
「光栄です」
手を重ねた春雪の手の甲にドナは再び口付けた。
舞踏会を眺めるミシェルの視線は一点に向かったまま。
まるで恋人同士のように親しげな様子で踊るドナと春雪に。
「陛下と王妃殿下は踊らないのですかな?」
ミシェルの視線の先に気付いて声をかけるイヴ。
「光栄なお話ですが、脚が痛むので今回は辞退いたします」
「おや、そうでしたか。回復をおかけしましょうか」
「いえ、式典疲れだと思いますわ」
「朝からお忙しかったですからな。拝見できず残念です」
実は三妃はダンスが得意ではない。
プライドが高い三妃が苦手分野を知られることは避けたいだろうから断るだろうと最初から分かっていて言ったのだか。
ダンスに関してだけは二妃の方が得意で、毎年この日にはミシェルと二妃が踊ることが恒例になっていた。
「しかし王妃殿下が踊れないとなると困りましたな。そうするものと考えておりましたのでパートナーをご用意しておりません。この舞踏会で陛下が踊ることは毎年のことですので、自分たちの年だけないのかと成年者たちはガッカリするかと」
三妃は何かと理由をつけて踊らないと分かっていたために今年は踊らずに居る予定でいたが……イヴめ。
春雪にドレスを着るよう促したのはお前か。
「急遽になりますが、どなたかお誘いしては如何でしょうか」
「陛下が民をお誘いするなど」
「礼儀には反しませんぞ?既婚者であっても舞踏会のダンスは嗜みであると教養のある王妃殿下であればご存知でしょう」
ダンスは上流階級の嗜み。
三曲以上同じ相手と踊れば礼儀に反することになるが、既婚者であっても嗜みとして妻や夫以外の異性と踊ることは何らおかしいことではなく、それは国王も例外ではない。
「落ち着いてから誘うことにしよう。今は邪魔をしたくない」
「ええ。そうした方がよろしいかと」
例え仲睦まじいドナと春雪の様子に複雑な心境を抱いていようとも、楽しそうな成年者や愛児の邪魔はしたくないと言うのもミシェルの本音だった。
双子との戯れ含め連続で踊った春雪は一旦戦線離脱。
日頃の訓練の賜物か体力的には問題ないが、慣れないヒールで踊ったために脚が痛い。
「レディ。お飲みものは如何ですか?」
「えっと」
「鑑定はかけてございますのでご安心を」
「……ああ。ありがとうございます。いただきます」
コソッと言ったボーイをよく見れば騎士団の団員。
ボーイを装って護衛をしているのだと分かって安心した春雪は冷たいスパークリングワインを受け取る。
「脚を痛めましたか?」
「いえ。ヒールで踊って少し赤くなっただけです」
「王宮医療院で治療を」
「大丈夫です。治まらなければ美雨に回復をかけて貰います」
「各所に護衛がおりますので何かあればお声がけください」
「はい。ありがとうございます」
軽く頭を下げた団員に春雪も軽く会釈で返した。
参加している人に必要以上の威圧感を与えないよう配慮しているのか、普段の騎士の鎧を着ている団員とボーイに扮した団員に分かれてしっかり警護されている会場。
年末年始関係なく働いている騎士たちには頭が下がる。
休憩しながら眺めるみんなは楽しそう。
いや、殿下たちは大変そう。
ご令嬢たちと話したり踊ったりで。
自分だったらあのように囲まれては堪えられそうにない。
あれ?また前髪をおろしたのか。
ダンスの邪魔になるから留めたのかと思ったのに。
ご令嬢とダンスを踊っているドナを見て再び前髪がおりていることに気付いた春雪は独り首を傾げる。
勇者の四人には前髪を止めているドナの方が見慣れている。
何故なら勇者と王子が顔を合わせる機会は晩餐会や今回の舞踏会のように軍人が動く行事くらいのものだから。
個人ではなく王子として人前に出るのに髪はそのままなどと言うことがあるはずもなく、しっかりセットされている。
ただ、普段から親交のある春雪は半々。
宮殿で会った時には前髪をあげていて、ギルドで依頼を受けたりと宮殿から出る時にはおろしている印象。
あまり顔を出したくないのだろうと思う。
研究者になるため自分の能力も隠しているような人だから、あえて顔が見えにくいようしているのも目立たないためだろう。
春雪の前では分かりやすい求愛をするドナ。
恋愛沙汰に慣れていない春雪は度々焦らされているが、真っ直ぐに好意の伝わるそれが嫌ではない。
この人は敵ではないと肩の力を抜いて接することができる。
友愛と恋愛の狭間。
いや、ゆっくりながら恋愛寄りになりつつある。
尤も春雪本人はそのことに気付いていないが。
「春雪さん、ただいまー」
「おかえり」
ドナの牽制で子息たちが声をかけ難くなったお蔭でゆっくり休憩していると、みんなも戻って来て賑やかになる。
「皆さまお飲みものは如何ですか?」
「いただきます!あ、お酒?」
「果実水はこちらに」
ダンスを終えて集団で戻って来たみんなにボーイに扮した騎士二名が飲み物を配って回る。
その高貴な雰囲気漂う集団を遠巻きに見る人々。
王家の王子や王女が公務以外で集まっているのを見るのは貴族家にとっても初めてのことで、つい見てしまうのも仕方ない。
「王家と親しいあちらの方々はどなたなのかしら」
「あら。私もお見かけしたことがないと思っておりましたの」
そう話すのはご令嬢。
「この場に居るのだから一般国民と言うことはないと思うが」
「招待状がなくては入れないからな」
一緒に居る子息も不思議そうに話す。
「貴方がたはお話ししてらしたわね。何かお聞きになって?」
「お名前だけは教えてくださいましたけど、家名や爵位名は伏せさせて欲しいとのことでした」
「私も同じ解答だった」
ダンスを踊って話した令嬢や子息も聞き出せず。
それもそのはず。
名前を聞かれたらそう言って誤魔化そうと勇者四人で話し合って決めたことだった。
「明かせない事情があるとなれば賢者のご親族では」
『ああ!』
子息の一人が言ってみんなもハッとする。
姿も名も偽り生きている賢者の親族だから王家と親しく、家名や爵位名を名乗ることができないのだと考えると辻褄が合う。
「となると特級公爵家ですわね」
「どうしましょう。気軽にお話ししてしまいましたわ」
「それはお許しくださるだろう。お優しい方々だった」
「ああ。気さくに話してくださる方々だった」
特級国民なのは賢者本人だけで、家族は上級国民の公爵家。
ただ貴族位は同じ公爵家だったとしても特級国民の賢者を伴侶や親に持つ一族はやはり特別な存在であり、貴族間では賢者の親族を『特級公爵家』や『賢者公爵家』と分けて呼んでいる。
尤も賢者本人はもちろんその家族も素性を隠し公爵家として生活していることが殆どで、滅多に知り合う機会はないのだが。
「賢者のご親族とお話しできたとはよい経験になった」
「私も踊っていただけたことを忘れませんわ」
「羨ましい。私ももっとお傍に行けば良かった」
実は賢者の親族と親交するより貴重な体験をした令嬢と子息。
精霊族の宝である勇者一行と親交を持ったことを本人たちが生涯知ることはない。
舞踏会も中盤。
オーケストラが交換するためダンスも暫し休憩。
「春雪さん、化粧直しに行こ?」
「え?俺も?」
「だってお化粧してるでしょ」
「取れてる?」
「飲んで食べてしてるんだから口紅が薄くなってる」
「そっか」
誘ったのは美雨。
春雪の化粧はダフネが元より薄化粧で済ませたため目立ちはしないが、中盤のこの時間が男性も女性も身形を整える時間となるため今のうちに直す必要がある。
「私が同行しては御無礼になりませんか?」
「ええ。私たちは貴族家とは別室になりますので」
「そうですか。では問題ないのであれば」
「私どもも今の内に身形を整えに参りましょう」
「「はい」」
時政と柊はマクシムたちと王家の男性用控室に。
春雪と美雨はグレースや双子と女性用控室へ行く事になった。
・
・
・
「あら?」
控室が隣同士のため全員で向かうと男性用控室の前にはイヴ、女性用控室の前には侍女と護衛騎士が付いていてグレースが声を洩らす。
「父上のお支度中でしたか」
「どうぞご入室を。来たら入室させるよう言われております」
「ではお言葉に甘えて」
男性用控室の方はミシェルが先に指示してあったためすんなりと話が進む。
「マリエル妃がお支度中ですか?」
「ええ。終わるまでお待ちください」
「わかりました」
女性用控室の方は侍女から入室を止められる。
「私の記憶違いだろうか。そこはマリエル妃個人の控室ではなかったはずだが姫殿下や勇者方をお待たせするとは何事だ?」
様子を見て口を挟んだのはイヴ。
国王のミシェルが王子や勇者方の入室を許可しているのに、王妃の方は独占して王女や勇者方を待たせるなど言語道断。
「ミシオネールさま、私たちはお待ちしますので」
「グレース。ただ指示に従うことが美徳ではない。専用の控室ではないのに拒むことが無礼だからミシオネールさまが注意をしている。王家の王女であれば正しい判断を心がけるよう」
「申し訳ございません」
マクシムに注意されてグレースはスカートを摘み頭を下げる。
そんなにキツく言わなくて良いのにと思う美雨とは反対に、少し距離感が改善されているなと思った春雪。
以前のマクシムであればイヴに任せて自分の口でグレースに注意をすることはなかっただろう。
「なんの騒ぎだ」
「「父上」」
扉が開いて姿を見せたミシェル。
シャツを着替えている最中だったために正礼装の上を脱いだラフな姿をしているミシェルに双子が駆け寄り脚にしがみつく。
「二妃の支度が終わるまで待つようにとのことです」
「侍女。それは個人の判断か?それとも二妃の判断か?」
「参られましたらお伝えするようにと」
国王から問われて少し青ざめ話す侍女。
それを聞いたミシェルは大きな溜息をつく。
「護衛。隣の空き部屋をグレースたちの専用控室に」
「はっ。確認して参ります」
「侍女は中に居るグレースたちの侍女へ移動するよう伝えろ」
「陛下」
ミシェルが指示をしていると隣の部屋の安全確認に行った護衛騎士が呼ぶ。
「騎士さま如何なさいましたか?」
「エステルさん」
「美雨さま?」
中からひょこと顔を見せたのは美雨の召使のエステル。
「何故そちらの部屋に?」
「陛下。ご挨拶申し上げます」
「ああ。それより何故そちらの空き部屋に居る」
「王妃殿下のお支度が終わるまでこちらで待機するようにとの指示を受けましたので」
ミシェルがエステルに事情を聞いていると扉が開いて女性用控室から三妃の侍女が顔を出す。
「どうぞお入りください」
男性用控室に居たミシェルに届いたのだから女性用控室にも声は筒抜けで、出て来た侍女はバツが悪そうに話す。
「言い訳くらいしてはどうだ?」
「王妃殿下は入室を禁じておりません。侍女個人の判断です」
「グレースたちの侍女を隣室に追いやっておいてか?いつから王妃の侍女が王女や勇者の侍女に命令できる立場になった?」
なんと頭の悪い言い訳なのか。
男性陣はミシェルや三妃の実の息子のフレデリクも含め、外で待機していた侍女に責任を押し付ける王妃の狡さに呆れ顔。
責任を擦り付けられた侍女や言わされている侍女の顔は真っ青になっていて不憫なほど。
「私に知られた途端に侍女に責任を擦り付けるとはそれが国母のやることか。もっとマシな言い訳を考えろと伝えておけ」
ミシェルはそうピシャリ。
どうやら国王と三妃の仲はあまりよろしくないようだと勇者の四人はそっと察する。
「美雨殿の侍女、エステルと申したか。すまないがそちらの部屋を女性用の控室に変更した。支度はそちらで頼む」
「承知いたしました」
侍女ではなく召使ですが。
余計なことは言わず姿勢を低くして答えたエステル。
エステルたちにとってはその方がありがたいことだった。
「春雪殿」
「はい」
声をかけて目が合った春雪にミシェルは息を飲む。
ダンスホールに居た時は距離があってよく見えなかったが、近くで見るとその美しさについ声を失う。
「話がある」
「私にですか?」
「ああ、頼みがあるのだが先に支度を済ませてからにしよう」
冷静を装って話を続けたミシェル。
「承知しました。では後ほど」
「どこへ行く?」
「え?支度に」
「そちらは……」
ああ、そうか。
今日はドレスを着て化粧もしているから女性用控室に。
「時間がないのに引き留めてすまなかった。後で話そう」
「はい」
支度の時間は限られている。
それでなくとも三妃が控室を占領して時間が押したのに、ゆっくり話している時間はない。
王子や勇者を先に控室に入らせたミシェルは可哀想にも青ざめている三妃の侍女たちを見て再び溜息をついた。
19
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
世の中は意外と魔術で何とかなる
ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。
神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。
『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』
平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。
詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~
Gaku
ファンタジー
「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」
病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。
気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた!
これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。
だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。
皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。
その結果、
うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。
慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。
「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。
僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに!
行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。
そんな僕が、ついに魔法学園へ入学!
当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート!
しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。
魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。
この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――!
勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる!
腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる