青春覚書

ながい としゆき

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10代のつぶやき

男心

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肩に落ちてくる雨だれが
別れの時を知らせてくれる
あばずれなおまえの面影が
涙の向こうに見えた

ひとり 一人きり雨の中で
心 心だけが乾いているぜ
おまえが手絡ませた首筋が
いやに重たいのは何故だろう


人影もまばらな裏路地で
流行(はやり)のjazzが流れて
よたよたと歩く男が
今の俺の姿に似ている

ひとり 一人きりで夜の空
雨がいやに冷たく感じるぜ
おまえの紅く化けた唇が
いやに恋しいのは何故だろう


暗い 暗い道をうつむいて
おまえ おまえだけが目に浮かぶ
お前を強く愛したあの夜が
俺の心に焼きついて

【Em】
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