ゲームの世界に転移したら美形王子に溺愛されてるんですが!?

krm

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42.元の世界に戻ってきたんですが!?

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いよいよ、元の世界に行く時が来た。
転移魔法陣でやって来たソウタと魔王に合流する。

魔王は以前見た時よりもずっと落ち着いて、威圧感や禍々しさがすっかり無くなっていた。
角も消して人間っぽく姿を変えているということもあるが、やはりソウタと恋に落ちて変わったのだろう。
とはいえ、がたいが良くて強面なので、人間としては怖がられそうではあるが……。

「魔王さん、こんにちは……」
「ああ、この間は悪かったな。魔王としてあのように振る舞わなければいけないと思っていたものでな……」
俺は、ゲーム通りのセリフを喋っていた魔王を思い出す。
あの時は威厳のある雰囲気だったが、今はとても普通だ。
「いえ、気にしないでください。魔王さんの事情は分かったので……。今日はよろしくお願いします」
「ああ、それでは行くぞ……」
魔王が転移の魔法陣を発動させる。いよいよだ……。
俺とソウタは、この世界に来た時に着ていた服に、王子と魔王は、俺達の世界でも浮かない程度のシンプルな服装を選んだ。これなら、変に思われることもないだろう。王子は美形過ぎて注目されてしまうかもだけど……。
「さあ、この魔法陣の上に乗ってくれ」
「はい」
俺達が魔法陣に乗ると、眩い光が辺り一面を包み込んだ。あまりのまぶしさに目を閉じる。

光がおさまり目を開けると、俺が働いていた会社のビルの前にいた。
「「うわっ、会社か……」」
ソウタと俺の声がハモる。
「え?ソウタもこのビルで働いていたのか?」
「ミノルも?」
お互いに顔を合わせて驚く。まさか、こんな偶然があるとは思わなかった。

このビルには複数の会社が入っている。俺達は会社こそ違うが、なんと、同じビルで働いていたのだ。
話しているうちに、2人とも同じ日の夜中に残業していたことが判明する。
「たまたま同じ時間にここにいた俺達が召喚されたって感じだったのかな……」
「多分そうだね……」

「まあ、無事に戻って来れて良かったよ!」
「うん!本当に良かった……」
俺達はこれからのスケジュールを確認した。
せっかくこっちの世界に来たので、王子と観光などもしたかったが、魔王の転移魔法陣が3日程しか持たないらしい。
つまり、3日以内に色々と処理しないといけないのだ。
明後日にまた落ち合う約束をし、ソウタと魔王の2人とはいったん別れた。

俺はまず、働いていた会社に退職届を出しに行く。急病で入院し、連絡ができなかったということにしておいた。
療養のため退職することを伝えると、みんな心配してくれる。しかも、有給休暇が残っていたので、その分もお給料が出るらしい。有難い……。この会社、全然ブラックじゃなかった。カフェオレだな。

次に、住んでいたアパートを引き払う。
もともと帰って寝るだけの生活だったので、最低限の電化製品くらいしか置いていなかった。荷物は業者に頼んで処分してもらう。
部屋のあまりの狭さに、王子が驚いていた……。
急遽引っ越さないといけなくなったと大家さんに話し、無事に解約が完了した。

最後に、王子と新幹線に乗って、実家に向かう。魔法が無いのに移動する乗り物に、王子がはしゃいでいた。可愛いな……。
数時間後、実家に到着する。久々の帰省だ。
俺は大学入学時に上京してきていたので、もともと実家へは年に一度くらいしか顔を出していなかった。
「ただいま……」
母は、急に帰って来た息子に驚いていたが、事情を話すと真剣に聞いてくれる。
家族には本当のことを話そうと決めていたが、母はすんなりと信用してくれた。
これからは異世界で暮らすということも納得してくれる。たまに帰って来ることもできそうなので、今までと何も変わらないね、なんて言っていた。

その後、仕事から帰ってきた父には、王子が「息子さんを私にください!」と言い出して、一騒動あった。
「ふむ、君はみのるの婚約者なのか……。うちの息子が迷惑かけてないか?」
「とんでもないです!ミノルにはいつも助けられています」
「そうか……。ふつつかな息子ですが、みのるをよろしく頼みます」
「はい!お義父様、ミノルを必ず幸せにしてみせます」
こんな、ドラマでしか見ないような会話が目の前で繰り広げられるなんて……。恥ずかしすぎる……。
色々な意味で寛容な両親で、助かった。

その日は実家に泊まり、次の日は王子と観光をする。
思っていたよりもスムーズに色々な処理が終わったので、余裕ができたのだ。
王子が俺の育った場所を見たいと言うので、地元をふらふらと散歩した。
「ミノルはここで生まれたんだな……。私は、ずっと城で育ってきたから、こういう景色は初めて見た」
王子は感慨深げに街並みを眺めていた。

夜は、せっかくなので地元の温泉旅館に泊まることにした。
シーズンオフの平日なので、俺達の他に宿泊客はおらず、貸切状態だ。
部屋に着いて、浴衣に着替える。王子の浴衣姿は新鮮だった。
「綺麗だな……。アルベールは和服も似合っていて素敵だよ」
「ミノルも似合っているな……。可愛い……。私だけのものにしたい……」
「もう……、俺はアルベールだけのものだよ……」
「ミノル……!そんなことを言われたら我慢できない……!」
王子は俺にキスしてきた。舌を入れて濃厚になっていく。そのまま押し倒されそうになった。
「ちょっ……ちょっと待って……。これから夕飯を食べて、温泉にも入りたいから……!」
「そうだな。では、続きは後にしよう……」
王子は残念そうな顔をしている。俺だって本当はしたいけど、今は我慢だ。

夕食後、俺達は一緒に露天風呂に入った。
「はぁ~気持ちいいな……」
「ああ……。最高だ……」
2人で湯船に浸かる。疲れた身体に染み渡るようだ。2人きりということもあって、ちょっとだけくっついてみる。すると、優しく抱きしめてくれた。
「ミノル……」
「ん?」
「私のこと、好きか?」
「ふふ、好きだよ……」
「もっと言ってくれないか……」
「アルベール、大好き……愛してる」
「私も愛している……」
そんなやり取りをしながら、2人でのんびりと温泉を堪能する。

部屋に戻ると、布団が敷かれていた。迷わずそこに直行する。
浴衣はわざわざ脱ぐまでもなく、自然とはだけてしまい、すぐにお互い全裸になった。
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