俺が聖女なわけがない!

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番外編

【番外編】共鳴!?三日三晩の愛の試練①

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王国中が祝福してくれた結婚式から数ヶ月――。
穏やかな日々が続いていたある日、俺と王子は王国の重臣たちから召集を受けた。
広間に集まった面々は、どこか厳粛な表情を浮かべ、重々しい空気をまとっている。まるで国の命運がかかっているかのような雰囲気に、俺も自然と身が引き締まる思いがした。
「アルティス王子、ルセル様」
重臣の一人が声を落とし、重々しく話し始める。
「これまでの聖女の歴史を調査したところ、特定の時期ごとに『共鳴の儀式』を行い、聖女と王家の絆をさらに強める必要があると記されていました」
「共鳴の……儀式?」
俺は思わず王子の方を見上げた。王子も驚いた様子で、少し眉をひそめて重臣たちに目を向けている。真剣な光がその瞳に宿っているが、どこか戸惑いも見え隠れしていた。王子もこの話を初めて聞いたらしく、俺と同じく説明を待っているようだ。
重臣たちは一度視線を交わし合い、さらに話を続けた。
「実はこの『共鳴の儀式』、ここ数代の聖女や王の代では、ずっと行われていなかったのです。平穏な時代が続いたため、省略されてきた儀式だったのですが……」
重臣は一瞬、言葉を探すように沈黙し、表情を引き締める。
「でも、今は違う……ということですか?」
王子が重臣を見つめ、少し身を乗り出しながら問いかけた。その眼差しには、王子としての責任感と真剣さが滲んでいる。
「はい。最近になって王国周辺の魔力の流れに乱れが生じているのです。そこで、共鳴の儀式を行い、お二人の愛の絆を再び強めることで、魔力の安定を図る必要があるのです」
「あ、愛の絆……?」
俺は顔が熱くなるのを感じながら、小さく呟いた。
重臣たちは一斉に真剣な眼差しで頷き返し、儀式の重要性について次々と語り始める。その表情には、まさに国の未来がかかっているという覚悟が滲み出ていた。彼らの口から「愛の絆」という言葉が飛び出してくるたびに、俺はどんどん居心地が悪くなっていく。重臣たちが真剣な顔で愛について語っていて、しかもそれは、王子と俺が愛し合うという話で……。

でも……愛の絆なんて、今さら何を言っているんだろう、という気持ちも胸の中で膨らんでいく。
儀式なんてしなくても、俺と王子はもう十分すぎるほど愛し合っているのに……って、いやいや、いったい俺は何を考えているんだ。

ちらりと隣の王子を見ると、彼もどこか照れたような顔をしているのが分かり、少し安心する。気まずさを紛らわせるために、俺は王子に向けて、小さく呟いた。
「ま、まあ、俺たちならどんな儀式でも大丈夫ですよね……?」
王子は微笑みを浮かべて、やさしく頷き返してくれる。
「そうだね、君となら、どんな試練でも乗り越えられる気がするよ」
その一言に、俺の胸はじんわりと熱くなった。周囲の重臣たちの真剣な視線がこちらに注がれているのを感じながらも、王子と俺の間にはどこか穏やかな空気が流れていて、その一瞬がとても温かく感じられた。

しかし、重臣たちは少し困ったような顔を見合わせ、さらに説明を続けた。
「……共鳴の儀式とは、神聖な洞窟で三日三晩愛を誓い続けるものなのです」
「三日三晩……!?」
俺は思わず声を上げてしまう。まさか、そんなに長い儀式だとは思わなかった。本当に三日三晩もの間、ずっと愛を誓い続けるのだろうか……。
王子に視線を向けると、彼も同じように驚いた顔をしていたが、すぐに落ち着いた表情で重臣たちに向き直った。
「……それはまた、ずいぶんと長い儀式ですね」
王子が穏やかに言うと、重臣たちは真剣に頷く。
「はい、過去の記録によると、二人の愛が深まるほど、王国全体に強力な魔力が満ち、民の暮らしも豊かになるとされています」
俺は改めて重臣たちの顔を見渡してみるが、彼らの眼差しは真剣そのものだった。三日三晩愛を誓い続けるなんて、どう考えても気恥ずかしいし、正直なところ想像すらつかない。だけど……国の未来がかかっているなら、ここで照れているわけにはいかないのだろう。
「ルセル。僕たちならきっとできるさ」
王子が俺の手をそっと握りしめ、優しく微笑む。その温かい眼差しと言葉に、不安が少しだけ和らいだ気がした。
「そ、そうですね……やりましょう」
少し照れながらも、俺は覚悟を決めて王子の手を握り返す。王子の手の温もりが、心にじわりと勇気を染み込ませてくれた。

こうして、俺と王子は「共鳴の儀式」に臨むことが正式に決まった。
とはいえ、正直なところ「二人の愛を確かめ合う」ということであれば、そんなに大ごとではないだろうと、どこか気楽に考えていた。そう、儀式が始まるその時までは――。
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