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社畜時代の終わり 3
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『あ、いや……ありがとう、ゴザイマス』
先程我々は褒め合っても事実を告げても平行線だと実感し合ったばかりだ。ツーシーもそれを思い出したのか、それ以上謙遜することはなかった。
「そうですね……なら、ツーシーさんはこの洞窟をどうやってマギを収集しながら踏破します?」
俺は辺りを見渡し、手頃な岩を見つけるとそこに向かいながらツーシーを手招きする。
プロになるために頑張ると決め、ツーシーがスライムを燃やしてくれたおかげで少し休む時間もできた。
ならば、これからすべきなのは俺とツーシーのできることの確認ではないだろうか。
互いの強さについては相違が見られ、意見が合わず平行線を辿ってしまったが、できることについては建設的な話ができるはずだ。強さと違って、ただできることをいって貰えばいいだけなのだから。
俺が岩に座ると後ろに居たツーシーがフライングディスクを操作して側に来てくれた。
『燃やし尽くして』
この洞窟内のスライムを燃やすのは、ツーシーが先にいったように正攻法として知れ渡っている。それこそ、攻略サイトにも載っていた。
もちろん、攻略法はそれだけではない。俺がやっていたように他の方法でも洞窟は踏破できる。
「他は?」
『燃やさないなら……吹き飛ばす、貫通させる、まとめて押しつぶす……』
ツーシーがさらっとだしただけでも三つある。どれもこの洞窟では厄介だといわれるスライム対処法だ。スライムだけではなくスライムに流されたり、スライムの中を泳いだり、スライムを避けながらやってくるモンスターにも対処できる方法なので、落ち着いていれば怪我をすることもないだろう。
「力押しをしないなら?」
『核を切り刻む、もう何人か用意する、アイテムを使う』
さて、ツーシーがだした方法は魔術で力押しをした場合、有効な方法だ。では、魔術を限られた力で使わなければならない時はどうするか。
ツーシーの答えは簡潔だ。核を切り刻む……マギの消費が少ない魔術を使って対処する、何人か人手を借りて洞窟を攻略する、スライム用のアイテムあるいは魔術アイテムを使う。
これらも有効であるし、力押しより準備しやすいかもしれない。
「一人で」
『罠や安全な道を用意する』
ここまできたら十分であったが、少し意地悪をした。
しかし俺の意地悪など、ツーシーはものともしない。これまで上げた方法の中にも一人でできることはあったのに、違う答えを出してくれた。
「では、罠や安全な道はどうやって用意するんですか?」
『罠はアイテムを買う、道は風か氷の魔術で』
ツーシーが違う答えを用意してくれたことだ。俺は喜んで口元を緩めながら、さらに詰めてもいいだろう。素直な気持ちで尋ねると、ツーシーはやはりすらすらと答えた。
「手持ちにアイテムがない場合」
『……道を用意するのが楽』
フライングディスクでくるくるその場を周り、ツーシーは少しだけ考えたようだ。どうすればいいかを考えたのではなく、罠を使うか道を使うか、迷ったように聞こえた。
「罠も作れないことはない感じですね」
『落とし穴や接触発動系の魔術、あと遅延系の魔術も悪くない。マギさえあれば発動するんだ。最小限のマギで発動させて、マギを食わせて自壊の繰り返しでスライムはいける。巻き込まれた生き物にはこちらが手を出せば……』
魔術の組み合わせを考えているのか、フライングディスクをぴたりととめて、ウサギは上を見たまま鼻を動かす。
いってることはわりと物騒なのだが、ウサギはただ可愛い。その上欲しい答えまでくれるから俺は手を叩いて喜んだ。
「それが面白い発想で、手数で、魔術の巧みさだと俺は認識しています」
先程我々は褒め合っても事実を告げても平行線だと実感し合ったばかりだ。ツーシーもそれを思い出したのか、それ以上謙遜することはなかった。
「そうですね……なら、ツーシーさんはこの洞窟をどうやってマギを収集しながら踏破します?」
俺は辺りを見渡し、手頃な岩を見つけるとそこに向かいながらツーシーを手招きする。
プロになるために頑張ると決め、ツーシーがスライムを燃やしてくれたおかげで少し休む時間もできた。
ならば、これからすべきなのは俺とツーシーのできることの確認ではないだろうか。
互いの強さについては相違が見られ、意見が合わず平行線を辿ってしまったが、できることについては建設的な話ができるはずだ。強さと違って、ただできることをいって貰えばいいだけなのだから。
俺が岩に座ると後ろに居たツーシーがフライングディスクを操作して側に来てくれた。
『燃やし尽くして』
この洞窟内のスライムを燃やすのは、ツーシーが先にいったように正攻法として知れ渡っている。それこそ、攻略サイトにも載っていた。
もちろん、攻略法はそれだけではない。俺がやっていたように他の方法でも洞窟は踏破できる。
「他は?」
『燃やさないなら……吹き飛ばす、貫通させる、まとめて押しつぶす……』
ツーシーがさらっとだしただけでも三つある。どれもこの洞窟では厄介だといわれるスライム対処法だ。スライムだけではなくスライムに流されたり、スライムの中を泳いだり、スライムを避けながらやってくるモンスターにも対処できる方法なので、落ち着いていれば怪我をすることもないだろう。
「力押しをしないなら?」
『核を切り刻む、もう何人か用意する、アイテムを使う』
さて、ツーシーがだした方法は魔術で力押しをした場合、有効な方法だ。では、魔術を限られた力で使わなければならない時はどうするか。
ツーシーの答えは簡潔だ。核を切り刻む……マギの消費が少ない魔術を使って対処する、何人か人手を借りて洞窟を攻略する、スライム用のアイテムあるいは魔術アイテムを使う。
これらも有効であるし、力押しより準備しやすいかもしれない。
「一人で」
『罠や安全な道を用意する』
ここまできたら十分であったが、少し意地悪をした。
しかし俺の意地悪など、ツーシーはものともしない。これまで上げた方法の中にも一人でできることはあったのに、違う答えを出してくれた。
「では、罠や安全な道はどうやって用意するんですか?」
『罠はアイテムを買う、道は風か氷の魔術で』
ツーシーが違う答えを用意してくれたことだ。俺は喜んで口元を緩めながら、さらに詰めてもいいだろう。素直な気持ちで尋ねると、ツーシーはやはりすらすらと答えた。
「手持ちにアイテムがない場合」
『……道を用意するのが楽』
フライングディスクでくるくるその場を周り、ツーシーは少しだけ考えたようだ。どうすればいいかを考えたのではなく、罠を使うか道を使うか、迷ったように聞こえた。
「罠も作れないことはない感じですね」
『落とし穴や接触発動系の魔術、あと遅延系の魔術も悪くない。マギさえあれば発動するんだ。最小限のマギで発動させて、マギを食わせて自壊の繰り返しでスライムはいける。巻き込まれた生き物にはこちらが手を出せば……』
魔術の組み合わせを考えているのか、フライングディスクをぴたりととめて、ウサギは上を見たまま鼻を動かす。
いってることはわりと物騒なのだが、ウサギはただ可愛い。その上欲しい答えまでくれるから俺は手を叩いて喜んだ。
「それが面白い発想で、手数で、魔術の巧みさだと俺は認識しています」
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