異形の魔術師

東海林

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事の始まり編

第4話

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 あれだけ身を焦がす熱さと痛みが引いていくのが判る

 判るけれども

 判るけれども…

 判らない

 視界も白くぼやけてよく見えない

 なんとなく何かが前に居るのは判る

 ここは何処だろう?

 立ってるのか?座ってるのか?寝てるのか?

 自分は何をしていたんだっけ?

 誰かが話している

 怒鳴っている?

 判らない

 まるで水の中に居るみたいだ

「※※※※※※※※※※※、※※※※※※※※※※※※※※※※※※※」

 誰かが命令をしている

 何だろう?

 進めば良いのかな?

 足を動かす

 何故か違和感がある

 何だろう?

 進んでるのかな?

 ぼんやりと人の姿が見えてきた

 男性と女性…奥に何かある?


 ゆっくりと歩く


 少しずつ見えるようになってきた

 見覚えのある顔

 誰だっけ?

 親しい人だった気がする

 奥にある物も見てくる

 物だと思ったら人だった

 しかも3人

 1人は2人の前に庇うようにしている

 とても高貴な人だった気がする
 
 なんだろう?

 大切な事を忘れてる気がする

 立ち止まる

 何故か怒られた気がした


 ココハ何処ダ?

 自分ハ何ヲシテイタ?


 後ろで大きな魔力が集まるのが判る

 攻撃魔法?

 魔法阻害結界があるのに、この魔力の集まり方はマズイ
 かなりの威力のはず

 魔法阻害結界?
 あれ?自分は…

 目の前の人がシールドを展開する
 きっと後ろの魔法に対抗する為だ
 でも弱すぎる、阻害されて満足な強度にならないんだ
 必死な表情を浮かべるデライズ様に泣きそうなスーネリア様
 悲壮感が滲み出るエルントス殿下と気絶しているアンネローゼ様

 後ろから魔法が迫ってくる

 助けないと!

 体の感覚がおかしすぎていつものようには行かないけど…

 やるしか無い!
 
 振り向いて右手を突き出し、迫ってくる火球に狙いをつける
 火属性を少し混ぜた魔力弾を撃ち放つ
 火球の中心に当たり、中にめり込むと弾け魔力を散らす
 狙い通り魔法の形が保てなくなり霧散する

 驚愕するばーさんが見える
 火球はあのばーさんが放ったのか?
 何故か確信が持てた

 拳に魔力を集めばーさんに向かって一気に距離を詰める
 あれ?
 身体強化無しでこんなに速く走れたっけ?
 疑問も一瞬、拳をカチ上げるようにして寸止め
 寸止めの瞬間集めた魔力を板状に展開
 見えない壁が行きよい良く、しかもカチ上げ方向にぶつかってくる状態
 ばーさんは綺麗に吹き飛んで、数秒空中に漂ったあと、落ちて動かなくなった
 うーん、狙い通り…

 直後目の意識が暗闇に沈んでいった
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