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銃話 六月十三日 金曜日
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絶叫。
耳をつんざくような、夜の校舎を震わせるような、悲鳴。
「らああああああああああああん!!」
倒れた蘭の元に駆け寄る凛。意識を取り戻させようと体を揺するものの、左胸からとくとくと溢れる赤い水は勢いを弱めず、蘭の体はみるみるうちに青白くなっていった。
「なに……何が起こってるの?」
「実夜ちゃんー。君が殺したんだよー」
「わ、私が?」
「鏡を見てみなよー」
鏡はどこにもなかったため、実夜は教室の窓の反射を利用し自分の姿を確認した。
「……!?」
そこに映っていたのは、とても信じ難いものだった。
実夜の顔はそのままに、首から下、両手両足胴体全てが金属製の機械に変化していて、その様相は、人間というよりはロボットの方が当てはまる。
右腕の肘から先は、エアガンのような機構が露出していた。
この右手が、蘭を撃ったのか。
「蘭ちゃんを撃つ直前、実夜ちゃんは一瞬でこの体に変形したんだよー。いやーびっくりしたなー」
「……変形?」
「うん、実夜ちゃんの皮膚に亀裂が入って、それぞれが裏返って、内側の金属がさらけ出されたんだよー」
「うそ、信じられない。なんなの……? これ」
自分の体が、自分の体ではなくなっている。
その事実を実夜は受け入れることが出来ない。
「きっとそれこそが銃なんじゃないかなー? 実夜ちゃんの」
「私の……銃?」
実夜の銃は三日前、凛のデストロイによって家もろとも破壊されてしまった、と考えられていた。しかしそれには確固たる証拠があった訳ではなく、実夜の銃が見当たらないことに対する説明として、そう思われていただけだった。
最初から実夜は銃を所持していた。
実夜の体は銃であっただなんて、誰も気づきやしなかった。
「こ、こんなロボットみたいな体にされたなんて、私も知らなかったよ? そもそも、そんなこといつされたっていうの?」
そのとき、教室の外で隠れていた美香が、あることを思い出し、口を開いた。
「そういえば……実夜とあたしが手紙を拾う前、実夜は道路の真ん中で寝てたよな。お前、『気がついたらここで寝ていた』って言ってなかったか? そのときに改造された……と考えるのが妥当か」
放課後、実夜と美香が会う前、実夜は何者かに『改造』され、体を作り替えられた。その瞬間、実夜は銃を所持し、銃になった。
それがバトルロワイヤルの本当の始まり。
そして物語の始まり。
「これでやっとモニターの四人全員の銃が判明したってことか……」
美香のハリケーン。
凛のデストロイ。
クレアのヴァンガード。
そして、
「私の……サイボーグ」
実夜は呟いた。
まるで、メモリの奥底に刻み込まれていたデータを呼び戻すかのように。
「っ……あははっ」
実夜は何がおかしいのか突然吹きだした。
二日前、凛と対峙したときは、優しすぎて凛を殺すことができなかった実夜が、何の罪もない少女を撃ち殺し、直後に罪悪感の欠片をも感じない笑顔を見せている。
まるで、皮膚が裏返って実夜の体がサイボーグに変形したかのように、実夜の人格はまるっきり裏返ってしまったようだった。
たまらず美香は言う。
「実夜、お前自分が何をしたのかわかってるのか?」
「わかってるよ。美香ちゃん。私は、無関係の蘭ちゃんを殺すという最低の行為をしてしまった。無意識に撃ってしまったとはいえ、許されないことだよね」
「……だったらどうしてそんなに平気でいられるんだ。正直、お前が本当に実夜なのか信じられない」
「気持ち良いって、思っちゃったんだ。蘭ちゃんを殺したとき。私、生き物を殺すっていう行為をしたのは初めてでさ……こんな感覚なんだね。人殺しって」
美香は、気持ち悪いと思った。
人を殺して気持ちが良いと思ってしまう実夜が、だ。
そんな快楽殺人鬼のようなセリフを、実夜から聞きたくない。
「やっぱり実夜ちゃんはクレアちゃんと似てるよねー」
クレアがしみじみと言った。
美香はっとする。
昨日クレアは、ほとんどさっきの実夜とほとんど同じことを言っていたと。
凛は相変わらず妹の死体の横で静かに涙を流している。凛の、生気を失ったような背中が悲しい。
「一目見た時から、実夜ちゃんと戦いたいって思ってたんだー。殺すことに快楽を覚えた殺人鬼との殺し合い。欲望のぶつかり合い。それをするために生きてきたと言っても過言じゃないねー。もちろんこの勝負、受けてくれるよねー?」
クレアは答えは要らないとばかりに、ヴァンガードを発砲する。
銃弾は実夜の頭をめがけて一直線に発射される。
実夜はそれを、一瞬で上体をそらすことでかわした。
常人には再現することなど到底出来ない、反射神経と運動能力。
それもそのはず。
実夜の体は、常人どころか人ではない。
GZCの開発した銃、サイボーグ。
実夜は攻撃に移ろうとするが、すでに教室にはクレアはいなかった。隙を見て、逃げたのか。
「クレアちゃん、また逃げるんだね。まずは……銃をぶっ壊してから、殺してあげるとしようか」
実夜は感情の無い冷たい声で言った。
実夜は廊下にいるヴァンガードの射撃を、反復横跳びのような素早い動きでかわしつつ接近する。
そして至近距離から、右手のエアガンを発射する。
完全に捉えた。
が、ヴァンガードの第二形態。四本の刃の回転により、弾丸を弾き飛ばす。美香のハリケーンに有効だったそれは、実夜にも同様のようだった。
『これはどうかなー!』
と、ヴァンガードから聞こえる電子音声。
ヴァンガードは、第二形態ならではの攻撃手段。己自身が銃弾となって回転刃の突進をしかけてくる。
「う、うわぁ」
実夜は距離を詰めたことが仇となった。至近距離からの突撃を、サイボーグの超人的な機動力を持ってしても避けることはできない。
ヴァンガードが切り裂いたのは、実夜の右肩だった。
頑丈な刃は金属の表層をもろともせず、一瞬の内に傷を深くし、実夜が一つ瞬きをする頃には、実夜の右腕は床に落下していた。
ゴト。という音を立てて落ちた右腕。蘭の心臓を穿ち殺めた、忌々しき右腕。
実夜は足元に落ちたそれを見下ろす。
そして踏みつけた。
「こんなもの、私の体じゃない。無くなったところで、何も痛く無い」
精神的にも痛覚的にも、二つの意味で痛くない。
次の瞬間。
実夜の胸に描かれた、円形の紋様がほのかに光り、そこから高熱の光線が発射された。
その光線はまるで凛のデストロイ。射線上のもの全てを焼き付くし、破壊する。破壊のための光線。
「さよなら」
光線はヴァンガードの防御力すらものともせず破壊し、その勢いのまま校舎の壁に風穴を開けた。灰すら残すことなく、焼き尽くした。
「さすがにデストロイ程の威力は出ないけど、ヴァンガード相手にはこのくらいで十分だったね」
連射力のハリケーン。
破壊力のデストロイ。
防御力のヴァンガード。
そして、その三つ全てをある程度兼ね備えた、全能の銃。サイボーグ。
性能だけで見ればサイボーグは最強の銃だが、一つ致命的な弱点を持つ。
サイボーグを使用するには、使用者の頭以外の全身の改造が必要となる。常人であれば、その事実を受け入れることが出来ず、絶望してしまう。
常人であれば。
「手紙に書かれてた『査定の結果、露樹様は今回の調査のモニターにふさわしいと判断されました。』って一文はそういうことだったんだね」
実夜は本人も知らぬ内に、サイボーグの所有者足り得る人材かどうかを査定されていたのだ。
それはきっと、実夜だけではないだろう。
モニターに選ばれた四人。
実夜。美香。凛。クレア。
四人全員が過去に何らかの不和を抱えており、戦う理由があった。この四人だったからこそ、ゲームが成立したのだ。
ヴァンガードが破壊され、つまり武器を失い、ただの非力な女子高生に成り下がったクレアは、屋上にいた。
「あー負けちゃったー。実夜ちゃん強いねー」
「クレアちゃんもなかなか強かったよ。右腕を切断しちゃうだなんてねすごいよ」
「あははー。結局クレアちゃん、誰も人を殺さずに生涯を終えるんだねー。なんだか皮肉だねー」
これまで自分のために人を殺そうとしてきたクレアは、誰も殺さず殺される。
「最後に言い残すことはある?」
「実夜ちゃんに、ありがとうって言いたいかなー。クレアちゃんの最後の望みを叶えてくれて、ありがとう」
クレアは笑った。
少し欠けた月が、クレアの金髪を照らして美しく輝く。
「こちらこそありがとう」
実夜はそう言って、瞬時にライフルに変形した左手をクレアに向けた。
美香は実夜を追い、屋上へと上がった。屋上の鍵は、凛の言っていた通りに壊れていた。
「おい、実夜」
右腕の無い実夜は、飛び降り自殺を試みようとしているのかと思えるほど儚げな顔で、手すりに寄りかかっていた。実夜の足元には、血塗れのクレアが横たわっていた。
やはり実夜はクレアを殺したらしい。
「あ……美香ちゃん」
実夜はこちらに気づき、気まずそうな顔をする。
「なあ、実夜。これからお前、どうするつもりだ?」
「……ごめん」
「誰も命を落とすことなく終わらせるとか、お母さんに謝りに行くとか、全部嘘だったのか?」
「それは嘘じゃない……それだけは信じてほしい。私が私の裏側を知ってしまったとき、私は私じゃなくなった。だから、今の私は、そのときの私とは別物で、そのときの私は本心でそう思ってた」
「…………」
「いや、違う。今もそう思ってる。誰も殺したくない。誰も殺したくないんだけど、それ以上に、私の黒い欲望が勝ってしまうってことなのかな」
実夜は、涙を流す。
「美香ちゃんを傷つけたくない……だけど、殺してみたい」
「……意味わかんねーよ」
相反する二つの感情が、実夜の中でせめぎ合う。
「美香ちゃん、私を殺して」
「無理だ」
「私に、殺されて」
「それも……無理だ」
突然、実夜の背中が開き、左右に巨大な機械の羽を生やす。その羽には何千もの銃口がぎっしりとならんでいて、尋常ではない殺意を美香に向けていた。
飛ぶためではなく、殺戮のための羽。
屋上のような広い場所でのみ発動出来る、サイボーグの最終形態。
「どうかな、美香ちゃん。かっこいいでしょ」
「いいや実夜。これからの時代、もっとスマートじゃなきゃだめだぜ」
「もう今更、スマートになんて生きられないよ」
実夜は自虐するように苦笑した。
「あたしはさ、実夜がどれだけ人を殺した大罪人になろうと、実夜と一緒にどこまでも逃げ続けてやる覚悟はあるんだぜ?」
「無理だよ。美香ちゃんが隣にいる限り、私は美香ちゃんをきっと殺そうとしてしまうから」
「なら、あの世で会おうか」
「会えるといいね。でも、私は地獄に堕ちるんじゃないかな」
と、翼の生えた堕天使は言った。
「お前が地獄に行くなら、あたしもそうするさ。神だとか仏だとか閻魔だとか知らないけど、あたしは殴り倒して地獄に行ってやる」
美香は両手の銃を実夜に向けた。
「ありがとう。美香ちゃん。大好きだよ」
先に待っててね。
実夜の羽に、エネルギーが集中していくのを美香は感じた。次の一秒後には、羽の無数の銃口が火を吹いて大量の銃弾が飛び出すことだろう。それらは美香を貫いて、無惨な姿に変えるだろう。
ああ、あたしはもうすぐ死ぬんだな。
やり残したことは、思い返せばたくさんあったような気がする。お母さんにもう一度会って話がしたかった。実夜とまだ楽しい日々を過ごしたかった。
しかしまあ、実夜に殺されるというのなら、それはそれで良いのかもしれない。あたしの中にあったのは、実夜だけだった。その実夜を最後の瞬間まで見届けることが出来るのだ。なんだ、最高の最期じゃないか。
こちらこそありがとう。実夜。
「地獄で待ってるぜ」
刹那。
音もなく。
一筋の光が夜の闇を切り裂く。
それは見覚えのある青白い光。
南の方角から発射されたその光は、実夜の頭に一直線に吸い込まれる。
そして一瞬にして、実夜の頭は灰も残さず吹き飛んだ。
そして頭を失った機械の体は、死体みたいに膝から前のめりに倒れた。
「な……何が起こった?」
困惑する美香に答えたのは、いつの間にか屋上に上がってきていた凛だった。
「私が撃ったんですよ。デストロイを」
凛はそう言うが、凛の近くにはデストロイは無いし、そもそも飛んできた方向が全く違う。
「もっと詳しく説明してくれ」
「デストロイは、実は遠隔操作が出来るんですよ。まあ、クレアさんのヴァンガードのように精密な操作は出来ませんが、家で元々屋上に狙いを定めておいて、離れた学校で発射する程度のことはできます」
デストロイはクレアに言った通り、確かに『家の中』に在った。ただし、撃つことが出来ないとは言ってない。
「なるほど……それで射線上にたまたま入った実夜を撃ったと。だけど、元々屋上に狙いを定めておいたっていうのはどういうことだ? こうなることを予測していたかみたいに聞こえるが」
「最初はクレアさんのことを撃つつもりでセットしたんですがね。しかしクレアさんを屋上へ連れ出すことが出来ませんでした。だから私だけが死んで妹だけは助かれば良いと思ってそれは妥協しました……しかし」
しかし結局、妹は守れなかった。
実夜という存在によって、全てを狂わされた。
「復讐のために、撃ったんだな」
「はい、その通りです。美香さん……私の事を恨んでいますよね」
復讐の連鎖。悲しみは次の悲しみを産む。
「いいや、恨んでないよ」
「本当ですか?」
「ああ、本当さ。あいつは、死ぬべくして死んだんだから」
美香は実夜を見た。
哀れだと思った。
全身を改造された実夜に残された、唯一の機械ではない『人間のパーツ』であった、頭。それがなくなってしまえば、もはや実夜は完全に存在を失ったも同然。
「もしかしたら本当の実夜は、とっくの昔に死んでたのかもしれねーな。だからこれは、成仏みたいなもんだ」
美香は感慨深く言った。
凛は何と返せばいいかわからなかった。
「さてと、これからどうすっかな」
「私は、蘭を失った今、もう生きる意味がありません。どうぞ、私を煮るなり焼くなり好きにしてください」
「私も実夜を失って、生きる意味を無くしちまった。だからさ、最後くらいGZCに一矢報いてみねーか?」
「GZCに? そんな、無理ですよ」
こちらに姿を見せることなく、この最低な悲劇を演じさせた真の黒幕。しかしその力は強大。女子高生が武装したくらいで、対抗出来るものでは無い。
「いいや、できるぜ。例えばここで、あたしとお前が死んだりしたらどうなる?」
「……? どうなるもなにも、二人が死ぬ以外の意味はないんじゃないですか?」
「モニターは、全員で四人だったよな」
実夜。美香。凛。クレア。
「そして今、実夜とクレアは死亡している。生きているのはあたしと凛。つまり、あたしと凛死んだら、モニター全員が死亡したことになる」
「はい……そうですが」
「この学校という密閉された空間の中で、モニター四人全員が死亡するって事態は、GZCを困らせるじゃないか? だって、誰が勝利したのか分からないんだから」
「勝利者がわからない。つまり…….賭けが成立しないということですか」
勝敗を賭ける賭博において、引き分けの場合は賭けそのものが成立しない。
数千万人を超えるの裏世界の住人が、想像を絶する程の大金を投じているこの賭け。これだけの規模のイベントで無効試合なんてことがあれば、不満を抱く輩は少なくないはず。そうなれば、GZCは大きなダメージを受けるだろう。
「そういうことだ」
「だけど、これも確実とは言えないですよ……というか、上手く成功する確率は低いんじゃないでしょうか?」
「まあな。でもやってみなきゃ始まらないだろ? それとも死ぬのが怖くなったか? それならそれで、あたしは諦めるけど」
「わかりましたよ」
美香は左手に持ったハリケーンの片方を、凛に投げ渡した。
「これで同時にお互いの心臓を撃ち抜く」
二人はそれぞれの銃を互いの胸に当てがった。
「これが本当の『殺し合い』ですね」
校舎には、二つの死体と一つのガラクタ。
「それじゃ『せーの』でいくとするか」
星空の下、新たな二つの命が輪廻に帰る。
殺し合いはまた始まり、そして終わる。
満足気な顔で、二人の少女は
「せーの!」
耳をつんざくような、夜の校舎を震わせるような、悲鳴。
「らああああああああああああん!!」
倒れた蘭の元に駆け寄る凛。意識を取り戻させようと体を揺するものの、左胸からとくとくと溢れる赤い水は勢いを弱めず、蘭の体はみるみるうちに青白くなっていった。
「なに……何が起こってるの?」
「実夜ちゃんー。君が殺したんだよー」
「わ、私が?」
「鏡を見てみなよー」
鏡はどこにもなかったため、実夜は教室の窓の反射を利用し自分の姿を確認した。
「……!?」
そこに映っていたのは、とても信じ難いものだった。
実夜の顔はそのままに、首から下、両手両足胴体全てが金属製の機械に変化していて、その様相は、人間というよりはロボットの方が当てはまる。
右腕の肘から先は、エアガンのような機構が露出していた。
この右手が、蘭を撃ったのか。
「蘭ちゃんを撃つ直前、実夜ちゃんは一瞬でこの体に変形したんだよー。いやーびっくりしたなー」
「……変形?」
「うん、実夜ちゃんの皮膚に亀裂が入って、それぞれが裏返って、内側の金属がさらけ出されたんだよー」
「うそ、信じられない。なんなの……? これ」
自分の体が、自分の体ではなくなっている。
その事実を実夜は受け入れることが出来ない。
「きっとそれこそが銃なんじゃないかなー? 実夜ちゃんの」
「私の……銃?」
実夜の銃は三日前、凛のデストロイによって家もろとも破壊されてしまった、と考えられていた。しかしそれには確固たる証拠があった訳ではなく、実夜の銃が見当たらないことに対する説明として、そう思われていただけだった。
最初から実夜は銃を所持していた。
実夜の体は銃であっただなんて、誰も気づきやしなかった。
「こ、こんなロボットみたいな体にされたなんて、私も知らなかったよ? そもそも、そんなこといつされたっていうの?」
そのとき、教室の外で隠れていた美香が、あることを思い出し、口を開いた。
「そういえば……実夜とあたしが手紙を拾う前、実夜は道路の真ん中で寝てたよな。お前、『気がついたらここで寝ていた』って言ってなかったか? そのときに改造された……と考えるのが妥当か」
放課後、実夜と美香が会う前、実夜は何者かに『改造』され、体を作り替えられた。その瞬間、実夜は銃を所持し、銃になった。
それがバトルロワイヤルの本当の始まり。
そして物語の始まり。
「これでやっとモニターの四人全員の銃が判明したってことか……」
美香のハリケーン。
凛のデストロイ。
クレアのヴァンガード。
そして、
「私の……サイボーグ」
実夜は呟いた。
まるで、メモリの奥底に刻み込まれていたデータを呼び戻すかのように。
「っ……あははっ」
実夜は何がおかしいのか突然吹きだした。
二日前、凛と対峙したときは、優しすぎて凛を殺すことができなかった実夜が、何の罪もない少女を撃ち殺し、直後に罪悪感の欠片をも感じない笑顔を見せている。
まるで、皮膚が裏返って実夜の体がサイボーグに変形したかのように、実夜の人格はまるっきり裏返ってしまったようだった。
たまらず美香は言う。
「実夜、お前自分が何をしたのかわかってるのか?」
「わかってるよ。美香ちゃん。私は、無関係の蘭ちゃんを殺すという最低の行為をしてしまった。無意識に撃ってしまったとはいえ、許されないことだよね」
「……だったらどうしてそんなに平気でいられるんだ。正直、お前が本当に実夜なのか信じられない」
「気持ち良いって、思っちゃったんだ。蘭ちゃんを殺したとき。私、生き物を殺すっていう行為をしたのは初めてでさ……こんな感覚なんだね。人殺しって」
美香は、気持ち悪いと思った。
人を殺して気持ちが良いと思ってしまう実夜が、だ。
そんな快楽殺人鬼のようなセリフを、実夜から聞きたくない。
「やっぱり実夜ちゃんはクレアちゃんと似てるよねー」
クレアがしみじみと言った。
美香はっとする。
昨日クレアは、ほとんどさっきの実夜とほとんど同じことを言っていたと。
凛は相変わらず妹の死体の横で静かに涙を流している。凛の、生気を失ったような背中が悲しい。
「一目見た時から、実夜ちゃんと戦いたいって思ってたんだー。殺すことに快楽を覚えた殺人鬼との殺し合い。欲望のぶつかり合い。それをするために生きてきたと言っても過言じゃないねー。もちろんこの勝負、受けてくれるよねー?」
クレアは答えは要らないとばかりに、ヴァンガードを発砲する。
銃弾は実夜の頭をめがけて一直線に発射される。
実夜はそれを、一瞬で上体をそらすことでかわした。
常人には再現することなど到底出来ない、反射神経と運動能力。
それもそのはず。
実夜の体は、常人どころか人ではない。
GZCの開発した銃、サイボーグ。
実夜は攻撃に移ろうとするが、すでに教室にはクレアはいなかった。隙を見て、逃げたのか。
「クレアちゃん、また逃げるんだね。まずは……銃をぶっ壊してから、殺してあげるとしようか」
実夜は感情の無い冷たい声で言った。
実夜は廊下にいるヴァンガードの射撃を、反復横跳びのような素早い動きでかわしつつ接近する。
そして至近距離から、右手のエアガンを発射する。
完全に捉えた。
が、ヴァンガードの第二形態。四本の刃の回転により、弾丸を弾き飛ばす。美香のハリケーンに有効だったそれは、実夜にも同様のようだった。
『これはどうかなー!』
と、ヴァンガードから聞こえる電子音声。
ヴァンガードは、第二形態ならではの攻撃手段。己自身が銃弾となって回転刃の突進をしかけてくる。
「う、うわぁ」
実夜は距離を詰めたことが仇となった。至近距離からの突撃を、サイボーグの超人的な機動力を持ってしても避けることはできない。
ヴァンガードが切り裂いたのは、実夜の右肩だった。
頑丈な刃は金属の表層をもろともせず、一瞬の内に傷を深くし、実夜が一つ瞬きをする頃には、実夜の右腕は床に落下していた。
ゴト。という音を立てて落ちた右腕。蘭の心臓を穿ち殺めた、忌々しき右腕。
実夜は足元に落ちたそれを見下ろす。
そして踏みつけた。
「こんなもの、私の体じゃない。無くなったところで、何も痛く無い」
精神的にも痛覚的にも、二つの意味で痛くない。
次の瞬間。
実夜の胸に描かれた、円形の紋様がほのかに光り、そこから高熱の光線が発射された。
その光線はまるで凛のデストロイ。射線上のもの全てを焼き付くし、破壊する。破壊のための光線。
「さよなら」
光線はヴァンガードの防御力すらものともせず破壊し、その勢いのまま校舎の壁に風穴を開けた。灰すら残すことなく、焼き尽くした。
「さすがにデストロイ程の威力は出ないけど、ヴァンガード相手にはこのくらいで十分だったね」
連射力のハリケーン。
破壊力のデストロイ。
防御力のヴァンガード。
そして、その三つ全てをある程度兼ね備えた、全能の銃。サイボーグ。
性能だけで見ればサイボーグは最強の銃だが、一つ致命的な弱点を持つ。
サイボーグを使用するには、使用者の頭以外の全身の改造が必要となる。常人であれば、その事実を受け入れることが出来ず、絶望してしまう。
常人であれば。
「手紙に書かれてた『査定の結果、露樹様は今回の調査のモニターにふさわしいと判断されました。』って一文はそういうことだったんだね」
実夜は本人も知らぬ内に、サイボーグの所有者足り得る人材かどうかを査定されていたのだ。
それはきっと、実夜だけではないだろう。
モニターに選ばれた四人。
実夜。美香。凛。クレア。
四人全員が過去に何らかの不和を抱えており、戦う理由があった。この四人だったからこそ、ゲームが成立したのだ。
ヴァンガードが破壊され、つまり武器を失い、ただの非力な女子高生に成り下がったクレアは、屋上にいた。
「あー負けちゃったー。実夜ちゃん強いねー」
「クレアちゃんもなかなか強かったよ。右腕を切断しちゃうだなんてねすごいよ」
「あははー。結局クレアちゃん、誰も人を殺さずに生涯を終えるんだねー。なんだか皮肉だねー」
これまで自分のために人を殺そうとしてきたクレアは、誰も殺さず殺される。
「最後に言い残すことはある?」
「実夜ちゃんに、ありがとうって言いたいかなー。クレアちゃんの最後の望みを叶えてくれて、ありがとう」
クレアは笑った。
少し欠けた月が、クレアの金髪を照らして美しく輝く。
「こちらこそありがとう」
実夜はそう言って、瞬時にライフルに変形した左手をクレアに向けた。
美香は実夜を追い、屋上へと上がった。屋上の鍵は、凛の言っていた通りに壊れていた。
「おい、実夜」
右腕の無い実夜は、飛び降り自殺を試みようとしているのかと思えるほど儚げな顔で、手すりに寄りかかっていた。実夜の足元には、血塗れのクレアが横たわっていた。
やはり実夜はクレアを殺したらしい。
「あ……美香ちゃん」
実夜はこちらに気づき、気まずそうな顔をする。
「なあ、実夜。これからお前、どうするつもりだ?」
「……ごめん」
「誰も命を落とすことなく終わらせるとか、お母さんに謝りに行くとか、全部嘘だったのか?」
「それは嘘じゃない……それだけは信じてほしい。私が私の裏側を知ってしまったとき、私は私じゃなくなった。だから、今の私は、そのときの私とは別物で、そのときの私は本心でそう思ってた」
「…………」
「いや、違う。今もそう思ってる。誰も殺したくない。誰も殺したくないんだけど、それ以上に、私の黒い欲望が勝ってしまうってことなのかな」
実夜は、涙を流す。
「美香ちゃんを傷つけたくない……だけど、殺してみたい」
「……意味わかんねーよ」
相反する二つの感情が、実夜の中でせめぎ合う。
「美香ちゃん、私を殺して」
「無理だ」
「私に、殺されて」
「それも……無理だ」
突然、実夜の背中が開き、左右に巨大な機械の羽を生やす。その羽には何千もの銃口がぎっしりとならんでいて、尋常ではない殺意を美香に向けていた。
飛ぶためではなく、殺戮のための羽。
屋上のような広い場所でのみ発動出来る、サイボーグの最終形態。
「どうかな、美香ちゃん。かっこいいでしょ」
「いいや実夜。これからの時代、もっとスマートじゃなきゃだめだぜ」
「もう今更、スマートになんて生きられないよ」
実夜は自虐するように苦笑した。
「あたしはさ、実夜がどれだけ人を殺した大罪人になろうと、実夜と一緒にどこまでも逃げ続けてやる覚悟はあるんだぜ?」
「無理だよ。美香ちゃんが隣にいる限り、私は美香ちゃんをきっと殺そうとしてしまうから」
「なら、あの世で会おうか」
「会えるといいね。でも、私は地獄に堕ちるんじゃないかな」
と、翼の生えた堕天使は言った。
「お前が地獄に行くなら、あたしもそうするさ。神だとか仏だとか閻魔だとか知らないけど、あたしは殴り倒して地獄に行ってやる」
美香は両手の銃を実夜に向けた。
「ありがとう。美香ちゃん。大好きだよ」
先に待っててね。
実夜の羽に、エネルギーが集中していくのを美香は感じた。次の一秒後には、羽の無数の銃口が火を吹いて大量の銃弾が飛び出すことだろう。それらは美香を貫いて、無惨な姿に変えるだろう。
ああ、あたしはもうすぐ死ぬんだな。
やり残したことは、思い返せばたくさんあったような気がする。お母さんにもう一度会って話がしたかった。実夜とまだ楽しい日々を過ごしたかった。
しかしまあ、実夜に殺されるというのなら、それはそれで良いのかもしれない。あたしの中にあったのは、実夜だけだった。その実夜を最後の瞬間まで見届けることが出来るのだ。なんだ、最高の最期じゃないか。
こちらこそありがとう。実夜。
「地獄で待ってるぜ」
刹那。
音もなく。
一筋の光が夜の闇を切り裂く。
それは見覚えのある青白い光。
南の方角から発射されたその光は、実夜の頭に一直線に吸い込まれる。
そして一瞬にして、実夜の頭は灰も残さず吹き飛んだ。
そして頭を失った機械の体は、死体みたいに膝から前のめりに倒れた。
「な……何が起こった?」
困惑する美香に答えたのは、いつの間にか屋上に上がってきていた凛だった。
「私が撃ったんですよ。デストロイを」
凛はそう言うが、凛の近くにはデストロイは無いし、そもそも飛んできた方向が全く違う。
「もっと詳しく説明してくれ」
「デストロイは、実は遠隔操作が出来るんですよ。まあ、クレアさんのヴァンガードのように精密な操作は出来ませんが、家で元々屋上に狙いを定めておいて、離れた学校で発射する程度のことはできます」
デストロイはクレアに言った通り、確かに『家の中』に在った。ただし、撃つことが出来ないとは言ってない。
「なるほど……それで射線上にたまたま入った実夜を撃ったと。だけど、元々屋上に狙いを定めておいたっていうのはどういうことだ? こうなることを予測していたかみたいに聞こえるが」
「最初はクレアさんのことを撃つつもりでセットしたんですがね。しかしクレアさんを屋上へ連れ出すことが出来ませんでした。だから私だけが死んで妹だけは助かれば良いと思ってそれは妥協しました……しかし」
しかし結局、妹は守れなかった。
実夜という存在によって、全てを狂わされた。
「復讐のために、撃ったんだな」
「はい、その通りです。美香さん……私の事を恨んでいますよね」
復讐の連鎖。悲しみは次の悲しみを産む。
「いいや、恨んでないよ」
「本当ですか?」
「ああ、本当さ。あいつは、死ぬべくして死んだんだから」
美香は実夜を見た。
哀れだと思った。
全身を改造された実夜に残された、唯一の機械ではない『人間のパーツ』であった、頭。それがなくなってしまえば、もはや実夜は完全に存在を失ったも同然。
「もしかしたら本当の実夜は、とっくの昔に死んでたのかもしれねーな。だからこれは、成仏みたいなもんだ」
美香は感慨深く言った。
凛は何と返せばいいかわからなかった。
「さてと、これからどうすっかな」
「私は、蘭を失った今、もう生きる意味がありません。どうぞ、私を煮るなり焼くなり好きにしてください」
「私も実夜を失って、生きる意味を無くしちまった。だからさ、最後くらいGZCに一矢報いてみねーか?」
「GZCに? そんな、無理ですよ」
こちらに姿を見せることなく、この最低な悲劇を演じさせた真の黒幕。しかしその力は強大。女子高生が武装したくらいで、対抗出来るものでは無い。
「いいや、できるぜ。例えばここで、あたしとお前が死んだりしたらどうなる?」
「……? どうなるもなにも、二人が死ぬ以外の意味はないんじゃないですか?」
「モニターは、全員で四人だったよな」
実夜。美香。凛。クレア。
「そして今、実夜とクレアは死亡している。生きているのはあたしと凛。つまり、あたしと凛死んだら、モニター全員が死亡したことになる」
「はい……そうですが」
「この学校という密閉された空間の中で、モニター四人全員が死亡するって事態は、GZCを困らせるじゃないか? だって、誰が勝利したのか分からないんだから」
「勝利者がわからない。つまり…….賭けが成立しないということですか」
勝敗を賭ける賭博において、引き分けの場合は賭けそのものが成立しない。
数千万人を超えるの裏世界の住人が、想像を絶する程の大金を投じているこの賭け。これだけの規模のイベントで無効試合なんてことがあれば、不満を抱く輩は少なくないはず。そうなれば、GZCは大きなダメージを受けるだろう。
「そういうことだ」
「だけど、これも確実とは言えないですよ……というか、上手く成功する確率は低いんじゃないでしょうか?」
「まあな。でもやってみなきゃ始まらないだろ? それとも死ぬのが怖くなったか? それならそれで、あたしは諦めるけど」
「わかりましたよ」
美香は左手に持ったハリケーンの片方を、凛に投げ渡した。
「これで同時にお互いの心臓を撃ち抜く」
二人はそれぞれの銃を互いの胸に当てがった。
「これが本当の『殺し合い』ですね」
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「それじゃ『せーの』でいくとするか」
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