毎朝俺の悲鳴から始まる!世話焼き幼馴染の溺愛治療

えなが つぐみ

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10-2 呪いの解除方法

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──ドッドッドッ……

レイチェルが告げた呪いの解除方法を聞いた途端、俺の心臓の動きが激しくなる。

『世利さんが答えを出せば呪いが解ける』

つまり、優成と付き合うか付き合わないか俺が決めれば、この不思議な現象がなくなるということ。

予想もしていなかった方法に、俺はレイチェルを見つめたまま動けなくなっていた。
そもそも、ここまでの話が突飛過ぎて、もう頭がついていかなかった。
ココアの甘い匂いさえ、今は感じなくなっている。

沈黙が落ちる。
どこか遠くで救急車のサイレンが聞こえる。
そんな静けさの中で、レイチェルが小さく瞬きをした。
そしてようやく申し訳なさそうに口を開いた。

「世利さん、ごめんなさい。
不完全な呪いをかけちゃったのに、解除もあなた頼みになっちゃって……」

「あ、いや…………まぁ、そうなんだけど」
俺は自分の頭の中を整理しながら言葉を探した。

「そもそもこの呪いって、どんな呪いなの?
俺の体が性転換する呪い?
……それって、優成の相談と何か関係ある?」
俺の怒涛の質問攻めに、レイチェルは苦笑しながらゆっくりと答えた。


「まず話さなきゃいけないのは……あの男が言ったこと。
世利さんと付き合えない理由に“性別の問題がある”──そう相談されたのが、すべての始まりだったの」

俺は拳を強く握り、レイチェルの言葉に静かに耳を傾けた。

「それなら、一度だけ性別を変えてあげようと思って、古くからある呪いを世利さんにかけたの。
それが、性転換の呪い」
そこでレイチェルは、眉を下げ困ったように笑いかけてきた。

「でも実は、魔法や呪いなんて、今まで一度も成功したことなかったんだ」

「…………はあっ?!」
レイチェルの言葉につい驚きの声が出た。

「だから、今回もどうせ失敗すると思ってたの。正直、適当にやってみた呪いだった。
まさか、本当にかかっちゃったなんて…………ごめんなさい」

そのとき初めてレイチェルが俺に頭を下げた。
彼女にとっても異例の出来事で、心から反省していることが伝わってくる。
でも、適当にやったと聞いて、俺の感情はグチャグチャになっていた。
怒っていいのか慰めていいのかわからず、俺はただレイチェルを見つめるだけだった。


「ところで、世利さんの体はずっと女のまま?
トモロウのところに来たときは女だったと聞いたけど」

「えっ!?トモロウ知ってたの?」

トモロウ、一体何者なんだ?!
やっぱり本物だったのか?

「確かにトモロウに会ったときは女だったけど、今は男に戻ってるよ。
性転換は確か……4度目だったと思う」

「え?!なんだって?!」
俺の言葉にレイチェルが突然ソファから立ち上がった。
その拍子にテーブルにぶつかり、ココアのカップがガタガタと揺れた。
彼女の行動に俺の体もビクッと震えた。

「世利さん、もしかして、あの男と性的な関係があるの?!」

「……せ、性的な関係?」

「エッチしたかって聞いてるの!!!」
レイチェルのストレートな表現に俺は顔を真っ赤にしてたじろいだ。
もはや、どっちが年上なんだかわからない。

「あ、ま……まぁ、ちょっとだけ……あったかな、うん」
しどろもどろな俺の返事に彼女は少し呆れたような顔をした。

「なんであんな男と……。
世利さん、この呪いは付き合うか付き合わないか答えを出すことで解除されるけど、本当ならもう一つ解除方法があるの」

レイチェルの深刻な表情に、俺はゴクリと喉を鳴らした。
「それはね……性的な接触なの」

「な、なんだそれは!
で……でも、たぶん治ってないよ?」
試してないけど、俺のちんこは未だに勃起できない気がする。

「それは、あたしの未熟な呪いのせい。
元の性別を確認しなかったせいで、コロコロと性転換を繰り返してしまうんだと思う」

「そ、そういえば……、優成とエッチなことした次の日に性別が変わってるかも」
俺はここ数日の出来事を思い出していた。
最初の性転換以外は、エッチをした次の朝に性転換している。

まさかこんな条件だなんて──わかるわけないだろ!!!

「世利さん、これ以上は性的接触はしないで。
不完全な呪いだからどうなるかわからない」
レイチェルがゆっくりとソファに座り直して俺に告げた。

「わ、わかったよ。もう……しない。」
俺は無意識に優成の肌の感触を思い出してしまい、ギュッと締め付けられるような胸の痛みを感じた。
俺は、優成と触れ合う時間が好きだったみたいだ。
これから優成と関係を持たずにいられるのか、正直わからなかった。

「とにかく俺は、優成と付き合うか付き合わないか……それを決めればいいんだね」

「うん、そうだよ。
でもさ、世利さん……」

レイチェルの瞳が一瞬だけ揺れた。
カップの中で冷めかけたココアが、やけに静かに見える。

「……まだ何かあるの?」
彼女の意味深な視線だけで、俺の心臓はバクバクと音を立てた。

「……あたし」
言葉を選ぶように間を置いてから、レイチェルはぽつりと続けた。

「優成っていう男を……信用できないんだ」
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