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13-4 我慢なら10年してる
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俺の告白を聞いた優成は、口をぽかんと開いて石のように固まってしまった。
まるで、優成だけ時間が止まってしまったみたいに動かなくなった。
「優成?……おーい、大丈夫?」
俺は、クスクスと笑いながら優成の目の前で手を振った。
すると、何度か瞬きをしてやっと我に返った優成が俺を見つめ返す。
「お前……マジか」
優成はそう言って、眉間にシワを寄せ怪訝な顔で俺を見てくる。
「なんだよ、何で優成がちょっと引いてんの?」
俺としてもそんな顔をされる筋合いないし、納得がいかない。
告白の返事をしただけなのに。
「いや、だって……あまりにも軽く言うから」
俺の言葉に納得いかないのか、優成の眉間のシワはどんどん深くなっていく。
優成は視線を床に落としながら、静かに言葉を続けた。
「自分で言うのもなんだけど……俺みたいな奴、信用できないだろ?
それでも本当に……その……好き、なのか?」
その問いかけは、冗談にも聞こえたし本気にも聞こえた。
どちらにしても、優成の弱気な気持ちを孕んでいる。
「確かに、今のところ100%信用できるかって言われたら、できないかもね」
「ゔっ……だよな」
自分から言ったのに、沈んだ顔をする優成。
──俺に嫌われたくないくせに。
そんな優成が、とても愛おしく感じる。
俺は笑いながら、優成に気持ちを伝えた。
「でも、“恋人”の信用はこれから築いていくもんだろ?
俺たちが付き合うのは、今からなんだから」
そういった瞬間、ようやく優成の肩から力が抜けた。
交わる視線から、優成の安心したような感情が流れ込んでくる。
俺は、まだ繋いでいた手の力を緩めて、お互いの指と指を絡ませた。
「世利……」
優成は消え入りそうな声で俺の名前を呼んだ。
「ん?」
「世利、好きだ」
優成の熱のこもった声が、俺の胸の中で静かに弾けた。
一度目とは重みが違う、優成の告白。
それがどうしようもなく嬉しくて、胸が苦しくなった。
「…………うん」
喉が詰まって、声が出てこない。
──俺も好き
言葉に出したら、涙も一緒に出てしまいそうだった。
俺はそれ以上何も言えずに、ただ優成に微笑みかけた。
絡んでいた指を解き、俺は優成の頬に右手をあてた。
熱い頬から優成の緊張が伝わる。
「……世利?」
俺は、小さく動く優成の薄い唇を見つめた。
──キスしたい
優成の唇に吸い寄せられるように、俺は顔をゆっくりと近づけた。
優成の瞳が大きく見開かれた。
反対に俺は静かに目を閉じる。
優成に近づくほど、ドキドキと激しく高鳴る心臓。
頬にあたる息すらも、俺の気持ちを昂ぶらせる。
俺たちは、あと数センチで繋がる……はずだった。
──バチン!!!
「……ふがっ!?」
俺の顔面に優成の手のひらが覆い被さった。
しかも、鼻が潰れそうな勢いで。
あと数センチで届くはずだったのに、今は押し退けられて、優成の腕の長さだけ離されてしまった。
「ふぁにふんだよ!」
(何すんだよ!)
優成の大きな手のひらに顔面を押さえつけられながら、俺は抗議の声を上げた。
強い力で押さえられてるせいで、俺は優成の指の間からやっと息が吸えている。
隙間から優成の様子をうかがうと、反対の手で自分の真っ赤な顔を押さえていた。
「お前……それはダメだろ」
震える声で優成が訴えてくる。
「ふぁんで!?」
(なんで!?)
今は絶好のキスチャンスだっただろうが!
「だって……俺たち、性的接触はダメなんだろ?」
──世利さん、これ以上は性的接触はしないで。不完全な呪いだからどうなるかわからない。
俺の頭の中でレイチェルの言葉が蘇る。
「……あっ!」
そうだった……。
俺は呪いが解けるまで、優成とエッチなことはしちゃダメなんだった。
思い出した瞬間、全身の力が抜けた。
俺は優成の手を顔から剥がしながら、力なく項垂れた。
キス寸前まで膨らんだ熱が、今はしぼんで跡形もなくなってしまった。
気持ちが通じ合ったのに触れられないなんて……。
……あれ?でも、ちょっと待って?
──世利さんが答えを出せば呪いが解ける
俺はそのとき、正式な呪いの解除方法を思い出した。
「告白の返事をしたら、呪いが解けるんだよ!」
俺は勢い良く顔を上げて、目の前の優成を見た。
優成は一瞬きょとんとした顔をして、それからすぐに眉をひそめた。
「本当に呪いは解けたのか?
元に戻った確証はあるのか?」
「呪いは、解けた……だろ?」
俺は自分で言っていて少しだけ自信がなくなった。
優成の言うとおり、本当に呪いが解けた確証はない。
どうしたら確認ができるのかもわからない。
何か合図でもあるのかな。
呪いが解けた瞬間、俺のちんこがまばゆい光で輝くとか……?
俺は自分のパンツのゴムを引っ張り、こっそりとちんこを確認した。
もちろん、光ってる気配すらなかった。
「とにかくだ……」
顔色が戻った優成が、落ち着いた声で俺に話しかけた。
「確実に呪いが解けたとわかるまで、俺はお前に指一本触れないからな」
「そんなぁ!」
優成の理性の塊のようなセリフに、俺は嘆きの声を上げた。
指一本ってなんだよ……付き合う前より距離が遠いじゃん。
「優成は我慢できるのかよ……」
俺の言葉に優成は一瞬ピタリと動きを止めた。
そして熱のこもった視線を俺に向けてきた。
「我慢なら10年してる」
──ドクンッ!
優成のあまりにも重い告白に、俺の心臓は撃ち抜かれるほどの衝撃を受けた。
一瞬で俺の顔が熱くなるのがわかった。
「そ、そうか……」
優成の真っ直ぐな愛情が伝わり、恥ずかしくて何も言葉が続かなくなった。
俺はポリポリと頬を掻きながら、赤くなった顔をごまかした。
「レイチェルに会いに行こう。
完全に呪いを解いてもらうために」
優成がはっきりと俺に告げた。
真剣な眼差しに思わず息を呑む。
「その後は、もう我慢なんてしないからな」
低く落ちた声に心臓が跳ね、また顔に熱が集まる。
何かの宣告のようなセリフに、喉元がキュッと締まるようだった。
俺の呪いが解けたときは、優成の我慢が終わるときなんだ。
深夜1時半、外は夜の静けさに覆われている。
俺たちの間に生まれた暖かな空気が、まだ部屋に残っている。
本当なら不安になる場面だけど、俺は期待しか抱いていなかった。
それはたぶん、隣に優成がいるから。
やっぱり俺はお気楽に、これからのことを考えているんだ。
まるで、優成だけ時間が止まってしまったみたいに動かなくなった。
「優成?……おーい、大丈夫?」
俺は、クスクスと笑いながら優成の目の前で手を振った。
すると、何度か瞬きをしてやっと我に返った優成が俺を見つめ返す。
「お前……マジか」
優成はそう言って、眉間にシワを寄せ怪訝な顔で俺を見てくる。
「なんだよ、何で優成がちょっと引いてんの?」
俺としてもそんな顔をされる筋合いないし、納得がいかない。
告白の返事をしただけなのに。
「いや、だって……あまりにも軽く言うから」
俺の言葉に納得いかないのか、優成の眉間のシワはどんどん深くなっていく。
優成は視線を床に落としながら、静かに言葉を続けた。
「自分で言うのもなんだけど……俺みたいな奴、信用できないだろ?
それでも本当に……その……好き、なのか?」
その問いかけは、冗談にも聞こえたし本気にも聞こえた。
どちらにしても、優成の弱気な気持ちを孕んでいる。
「確かに、今のところ100%信用できるかって言われたら、できないかもね」
「ゔっ……だよな」
自分から言ったのに、沈んだ顔をする優成。
──俺に嫌われたくないくせに。
そんな優成が、とても愛おしく感じる。
俺は笑いながら、優成に気持ちを伝えた。
「でも、“恋人”の信用はこれから築いていくもんだろ?
俺たちが付き合うのは、今からなんだから」
そういった瞬間、ようやく優成の肩から力が抜けた。
交わる視線から、優成の安心したような感情が流れ込んでくる。
俺は、まだ繋いでいた手の力を緩めて、お互いの指と指を絡ませた。
「世利……」
優成は消え入りそうな声で俺の名前を呼んだ。
「ん?」
「世利、好きだ」
優成の熱のこもった声が、俺の胸の中で静かに弾けた。
一度目とは重みが違う、優成の告白。
それがどうしようもなく嬉しくて、胸が苦しくなった。
「…………うん」
喉が詰まって、声が出てこない。
──俺も好き
言葉に出したら、涙も一緒に出てしまいそうだった。
俺はそれ以上何も言えずに、ただ優成に微笑みかけた。
絡んでいた指を解き、俺は優成の頬に右手をあてた。
熱い頬から優成の緊張が伝わる。
「……世利?」
俺は、小さく動く優成の薄い唇を見つめた。
──キスしたい
優成の唇に吸い寄せられるように、俺は顔をゆっくりと近づけた。
優成の瞳が大きく見開かれた。
反対に俺は静かに目を閉じる。
優成に近づくほど、ドキドキと激しく高鳴る心臓。
頬にあたる息すらも、俺の気持ちを昂ぶらせる。
俺たちは、あと数センチで繋がる……はずだった。
──バチン!!!
「……ふがっ!?」
俺の顔面に優成の手のひらが覆い被さった。
しかも、鼻が潰れそうな勢いで。
あと数センチで届くはずだったのに、今は押し退けられて、優成の腕の長さだけ離されてしまった。
「ふぁにふんだよ!」
(何すんだよ!)
優成の大きな手のひらに顔面を押さえつけられながら、俺は抗議の声を上げた。
強い力で押さえられてるせいで、俺は優成の指の間からやっと息が吸えている。
隙間から優成の様子をうかがうと、反対の手で自分の真っ赤な顔を押さえていた。
「お前……それはダメだろ」
震える声で優成が訴えてくる。
「ふぁんで!?」
(なんで!?)
今は絶好のキスチャンスだっただろうが!
「だって……俺たち、性的接触はダメなんだろ?」
──世利さん、これ以上は性的接触はしないで。不完全な呪いだからどうなるかわからない。
俺の頭の中でレイチェルの言葉が蘇る。
「……あっ!」
そうだった……。
俺は呪いが解けるまで、優成とエッチなことはしちゃダメなんだった。
思い出した瞬間、全身の力が抜けた。
俺は優成の手を顔から剥がしながら、力なく項垂れた。
キス寸前まで膨らんだ熱が、今はしぼんで跡形もなくなってしまった。
気持ちが通じ合ったのに触れられないなんて……。
……あれ?でも、ちょっと待って?
──世利さんが答えを出せば呪いが解ける
俺はそのとき、正式な呪いの解除方法を思い出した。
「告白の返事をしたら、呪いが解けるんだよ!」
俺は勢い良く顔を上げて、目の前の優成を見た。
優成は一瞬きょとんとした顔をして、それからすぐに眉をひそめた。
「本当に呪いは解けたのか?
元に戻った確証はあるのか?」
「呪いは、解けた……だろ?」
俺は自分で言っていて少しだけ自信がなくなった。
優成の言うとおり、本当に呪いが解けた確証はない。
どうしたら確認ができるのかもわからない。
何か合図でもあるのかな。
呪いが解けた瞬間、俺のちんこがまばゆい光で輝くとか……?
俺は自分のパンツのゴムを引っ張り、こっそりとちんこを確認した。
もちろん、光ってる気配すらなかった。
「とにかくだ……」
顔色が戻った優成が、落ち着いた声で俺に話しかけた。
「確実に呪いが解けたとわかるまで、俺はお前に指一本触れないからな」
「そんなぁ!」
優成の理性の塊のようなセリフに、俺は嘆きの声を上げた。
指一本ってなんだよ……付き合う前より距離が遠いじゃん。
「優成は我慢できるのかよ……」
俺の言葉に優成は一瞬ピタリと動きを止めた。
そして熱のこもった視線を俺に向けてきた。
「我慢なら10年してる」
──ドクンッ!
優成のあまりにも重い告白に、俺の心臓は撃ち抜かれるほどの衝撃を受けた。
一瞬で俺の顔が熱くなるのがわかった。
「そ、そうか……」
優成の真っ直ぐな愛情が伝わり、恥ずかしくて何も言葉が続かなくなった。
俺はポリポリと頬を掻きながら、赤くなった顔をごまかした。
「レイチェルに会いに行こう。
完全に呪いを解いてもらうために」
優成がはっきりと俺に告げた。
真剣な眼差しに思わず息を呑む。
「その後は、もう我慢なんてしないからな」
低く落ちた声に心臓が跳ね、また顔に熱が集まる。
何かの宣告のようなセリフに、喉元がキュッと締まるようだった。
俺の呪いが解けたときは、優成の我慢が終わるときなんだ。
深夜1時半、外は夜の静けさに覆われている。
俺たちの間に生まれた暖かな空気が、まだ部屋に残っている。
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