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16-4 ちんこは今のところ光ってない
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「うわっ!びっくりした!」
俺は扉の隙間から見えたトモロウの顔に、小さく飛び上がるほど驚いてしまった。
「ほら、あなたたち。
いくら暖かくてももう夜なんだから、こっちに入りなさい」
そう言ってトモロウは、扉を大きく開いて手招きをした。
扉の中からは、あの甘ったるい匂いが外に流れてきた。
「中にいられないようにしたのはトモロウでしょ?」
レイチェルはトモロウを指差しながら文句を言った。
しかし、不満そうな顔をしながらも占いの館の入り口へ向かっていった。
俺は入り口に立つトモロウとレイチェルの姿を見て、なんだか不思議な感覚を抱いた。
「なんか……二人って雰囲気似てるね。占い師だからかな」
俺の言葉を聞いた二人は一瞬動きが止まり、目を見合わせた。
すると、レイチェルが俺を振り返りクスッと笑った。
「それはそうだよ。だって、トモロウはあたしの叔父さんなんだよ。
……あれ、言ってなかったっけ?」
「叔父さんっ?!このイケメンが?」
俺は、休日イケメンバージョンのトモロウを凝視して叫んだ。
どう見ても20歳の姪っ子がいるようには見えないんだけど?
性別だけじゃなくて、年齢の垣根も超えちゃってない?
俺の驚きを見て、レイチェルは慌てたように手を振った。
「いやいや、実はトモロウもいい年なんだよ。
でもイケメンに見えるでしょ?これ、あたしがコーディネートしたんだよ!
センスあるでしょ?」
レイチェルは小さく跳ねながら、嬉しそうにファッションの話をしていた。
服の話をするレイチェルは本当に楽しそうだ。
これならアパレル関係のバイトも、きっと上手くいくんじゃないかな……。
それにしても、この二人の不思議な力とか人を見る心眼とか、どこか似ている部分は感じていた。
言われてみれば、納得するしかない関係だ。
二人の持っている独特な雰囲気は血筋だったのか。
あと、性格のくせが強いのも……。
俺はそのとき、ふと二人との会話を思い出した。
──優成っていう男を……信用できないんだ
──この呪いは、レイチェルが優成さんの“執念”を糧に発動させたの
「二人とも、優成のことになると急に慎重になるよね?……当たりが強いというか」
軽いノリで聞いたはずの言葉に、トモロウはむっとした顔をした。
「私は優成さんへ当たりを強くしたつもりはないわ。ただ……」
「ただ?」
俺はトモロウの次の言葉を待った。
「さっきも言ったけど、レイチェルは呪いなんて発動できるような力はないはずなのよ。
それでも発動できたってことは、優成さんの思いがとても強いということよ」
トモロウの視線が俺の胸を突き刺してくる。
「そんな思いの強い人と一緒にいるのは、並大抵の人じゃ無理だと思っているだけよ」
それは俺を陥れるための言葉ではなく、ただ真実を口にしているということが伝わってきた。
それだけに、俺の中でその言葉が重く沈んだ。
「世利さん、あたしも実はまだ優成を信用してるわけじゃないよ。
やっぱりあたしは、好きな人いるのに他の人と関係を持つなんて許せないよ!」
「え?!まだそう思ってたの?
でもそれは俺たちの中で解決したんだよ」
俺は誤解をとこうと、慌てたように口を開いた。
レイチェルは口を尖らせながら、横目で俺を見てきた。
「……わかってるよ、世利さんの気持ちは大切にしたい。
それに、二人はもう両思いなんでしょ?」
「そうだけど……レイチェル、何で知ってるの?」
驚いている俺に、レイチェルはなんでもないような声で答えた。
「だって、世利さんの呪いなくなってるよ」
「……え、マジでっ?」
レイチェルがあまりにも軽く言うから、俺は一瞬遅れて驚きの声を上げた。
「ほ、本当に解けてるの?
俺はそれをどうやって確認できる?
例えば……光る、とか?」
ちなみに、ちんこは今のところ光ってない。
「えー?わかんないよ、そんなの。
でも、呪いは解けてるから安心して」
──呪いは解けてる
やっぱり俺が告白した時点で呪いは解けてたんだ。
でも、確認する方法がわからない。
レイチェルが解けてるって言ってるんだから、それで優成も納得してくれるかな。
…………してくれなさそうだな。
そもそも、俺はこれを聞きにここまで来てたんだ。
いろいろありすぎて聞くのも忘れてた。
一人で悶々と考えていたら、トモロウが扉を開けながらもう一度俺に声をかけてきた。
「ほら、世利さん。あなたも早く入りなさい」
俺は一瞬入り口に足を動かしかけて、ピタリと止めた。
「……いや、俺はこれで帰ります」
「世利さん、帰っちゃうの?」
レイチェルが不安そうな声を出した。
今ならよくわかる、心から心配してくれている顔だった。
俺はレイチェルを見つめて優しく微笑み返す。
「レイチェル、俺一人になってゆっくり考えようと思う。
俺にできることが何なのかを」
ほんの数時間で、俺は優成との10年間と向き合う覚悟ができあがっていた。
まだ何ができるかわからないけど、俺は見つけなきゃいけない。
レイチェルは俺の気持ちが伝わったのか、しばらく視線を合わせたあとしっかりと頷いた。
「それに、もう詐欺にあいたくないしね」
俺はトモロウをジトっと睨みつけながら言った。
けれど、トモロウはとぼけた顔をして俺を見返す。
「私は信じる者に手を差し伸べただけよ?
また来てね、世利さん」
そう言って、トモロウは俺に向かって小さくウィンクをした。
こんな恐ろしいウィンク見たことない……。
俺の背中にゾワッと悪寒が走った。
また来ます、と二人に別れを告げ、俺は路地の出口に向かった。
最後に二人に手を振って居酒屋通りに出ると、そこはいつの間にか人で混み合っていた。
駅に向かう途中、空を見上げると月が輝いていた。
満月でも半月でもないその月は、答えを見つけてない俺みたいだな……なんて、クサいことを考えてしまった。
優成の出張はいつまでなんだろう。
俺は早く優成の声が聞きたくて、堪らなくなっていた。
俺は扉の隙間から見えたトモロウの顔に、小さく飛び上がるほど驚いてしまった。
「ほら、あなたたち。
いくら暖かくてももう夜なんだから、こっちに入りなさい」
そう言ってトモロウは、扉を大きく開いて手招きをした。
扉の中からは、あの甘ったるい匂いが外に流れてきた。
「中にいられないようにしたのはトモロウでしょ?」
レイチェルはトモロウを指差しながら文句を言った。
しかし、不満そうな顔をしながらも占いの館の入り口へ向かっていった。
俺は入り口に立つトモロウとレイチェルの姿を見て、なんだか不思議な感覚を抱いた。
「なんか……二人って雰囲気似てるね。占い師だからかな」
俺の言葉を聞いた二人は一瞬動きが止まり、目を見合わせた。
すると、レイチェルが俺を振り返りクスッと笑った。
「それはそうだよ。だって、トモロウはあたしの叔父さんなんだよ。
……あれ、言ってなかったっけ?」
「叔父さんっ?!このイケメンが?」
俺は、休日イケメンバージョンのトモロウを凝視して叫んだ。
どう見ても20歳の姪っ子がいるようには見えないんだけど?
性別だけじゃなくて、年齢の垣根も超えちゃってない?
俺の驚きを見て、レイチェルは慌てたように手を振った。
「いやいや、実はトモロウもいい年なんだよ。
でもイケメンに見えるでしょ?これ、あたしがコーディネートしたんだよ!
センスあるでしょ?」
レイチェルは小さく跳ねながら、嬉しそうにファッションの話をしていた。
服の話をするレイチェルは本当に楽しそうだ。
これならアパレル関係のバイトも、きっと上手くいくんじゃないかな……。
それにしても、この二人の不思議な力とか人を見る心眼とか、どこか似ている部分は感じていた。
言われてみれば、納得するしかない関係だ。
二人の持っている独特な雰囲気は血筋だったのか。
あと、性格のくせが強いのも……。
俺はそのとき、ふと二人との会話を思い出した。
──優成っていう男を……信用できないんだ
──この呪いは、レイチェルが優成さんの“執念”を糧に発動させたの
「二人とも、優成のことになると急に慎重になるよね?……当たりが強いというか」
軽いノリで聞いたはずの言葉に、トモロウはむっとした顔をした。
「私は優成さんへ当たりを強くしたつもりはないわ。ただ……」
「ただ?」
俺はトモロウの次の言葉を待った。
「さっきも言ったけど、レイチェルは呪いなんて発動できるような力はないはずなのよ。
それでも発動できたってことは、優成さんの思いがとても強いということよ」
トモロウの視線が俺の胸を突き刺してくる。
「そんな思いの強い人と一緒にいるのは、並大抵の人じゃ無理だと思っているだけよ」
それは俺を陥れるための言葉ではなく、ただ真実を口にしているということが伝わってきた。
それだけに、俺の中でその言葉が重く沈んだ。
「世利さん、あたしも実はまだ優成を信用してるわけじゃないよ。
やっぱりあたしは、好きな人いるのに他の人と関係を持つなんて許せないよ!」
「え?!まだそう思ってたの?
でもそれは俺たちの中で解決したんだよ」
俺は誤解をとこうと、慌てたように口を開いた。
レイチェルは口を尖らせながら、横目で俺を見てきた。
「……わかってるよ、世利さんの気持ちは大切にしたい。
それに、二人はもう両思いなんでしょ?」
「そうだけど……レイチェル、何で知ってるの?」
驚いている俺に、レイチェルはなんでもないような声で答えた。
「だって、世利さんの呪いなくなってるよ」
「……え、マジでっ?」
レイチェルがあまりにも軽く言うから、俺は一瞬遅れて驚きの声を上げた。
「ほ、本当に解けてるの?
俺はそれをどうやって確認できる?
例えば……光る、とか?」
ちなみに、ちんこは今のところ光ってない。
「えー?わかんないよ、そんなの。
でも、呪いは解けてるから安心して」
──呪いは解けてる
やっぱり俺が告白した時点で呪いは解けてたんだ。
でも、確認する方法がわからない。
レイチェルが解けてるって言ってるんだから、それで優成も納得してくれるかな。
…………してくれなさそうだな。
そもそも、俺はこれを聞きにここまで来てたんだ。
いろいろありすぎて聞くのも忘れてた。
一人で悶々と考えていたら、トモロウが扉を開けながらもう一度俺に声をかけてきた。
「ほら、世利さん。あなたも早く入りなさい」
俺は一瞬入り口に足を動かしかけて、ピタリと止めた。
「……いや、俺はこれで帰ります」
「世利さん、帰っちゃうの?」
レイチェルが不安そうな声を出した。
今ならよくわかる、心から心配してくれている顔だった。
俺はレイチェルを見つめて優しく微笑み返す。
「レイチェル、俺一人になってゆっくり考えようと思う。
俺にできることが何なのかを」
ほんの数時間で、俺は優成との10年間と向き合う覚悟ができあがっていた。
まだ何ができるかわからないけど、俺は見つけなきゃいけない。
レイチェルは俺の気持ちが伝わったのか、しばらく視線を合わせたあとしっかりと頷いた。
「それに、もう詐欺にあいたくないしね」
俺はトモロウをジトっと睨みつけながら言った。
けれど、トモロウはとぼけた顔をして俺を見返す。
「私は信じる者に手を差し伸べただけよ?
また来てね、世利さん」
そう言って、トモロウは俺に向かって小さくウィンクをした。
こんな恐ろしいウィンク見たことない……。
俺の背中にゾワッと悪寒が走った。
また来ます、と二人に別れを告げ、俺は路地の出口に向かった。
最後に二人に手を振って居酒屋通りに出ると、そこはいつの間にか人で混み合っていた。
駅に向かう途中、空を見上げると月が輝いていた。
満月でも半月でもないその月は、答えを見つけてない俺みたいだな……なんて、クサいことを考えてしまった。
優成の出張はいつまでなんだろう。
俺は早く優成の声が聞きたくて、堪らなくなっていた。
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