伝説となる少年の成り上がり

時雨古鷹

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第一章

絵本

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 2歳になった。俺は普通に歩けるようになりハイハイから解放された。それにより俺は何か本を読みたくなりしゃべれるようになったので母上に聞いてみることにした。

「ははうえさま、ぼくはほんがよみたいです」

 覚えたてなのでたどたどしいがそこは勘弁。母上は目を見開いたがすぐ元の顔に戻った。

「エルヴィンは文字がまだ読めないだろうから読み聞かせがいいわね。サラ、いる?」

 母上がそういうと1人の女性メイド…いや、11歳くらいの女性メイドが現れた。このメイドの名前はサラ・ウィルソンといい俺の専属メイドの1人だ。ちなみにあと一人専属メイドがいるが1日交替なので今日は来ていない。

「ここにおります。なにか御用でしょうか」

「エルヴィンが本を読みたいらしいから、絵本を読み聞かせてくれる?」

 サラは深くお辞儀をして書庫に消えていった。母上はこれから用事があるらしい。なので屋敷に残るのはメイドたちと料理人、オーウェン兄上、シャリス姉上だけだ。父上はというと昨日から領地の視察に出かけて行った。

「エルヴィン様、絵本の準備ができました」

 サラが一冊の絵本を持って帰ってきた。文字はまだ読めないが表紙にかつて世界をすくったが描かれている。この絵本の主人公は俺と同じだ。母上が俺にエルヴィンと名付けたのはこの絵本が好きという理由だった。そんなことは置いておいてこの絵本は王国で有名な絵本だが、いまだ研究が続けられている絵本だ。なぜ研究が続けられているのかというと大きな謎があるからだ。この世界の絵本は史実に基づいて書かれる。要するに主人公が存在していたのだ。しかしこの絵本が書かれた時期…今から300年前だ。しかしその時代はとても平和な時期で争いなど起こってない。これが研究者たちを悩ませる原因だった。誰をモデルにしたのか、何の意味があるのか。その絵本の内容を簡単にまとめるとこうだ。

 とある貴族の家に1人の男児が生まれました。名前をエルヴィンといい、普通の男児でした。エルヴィンはすくすくと育ち学園に入りました。そしてしばらくして国王に本当のことがばれました。エルヴィンが15歳の時、魔神とよばれる魔物や魔族たちが崇拝している存在が現れ世界は混乱に包まれました。魔神は世界征服をもくろんでおり、とある王国が滅亡しました。エルヴィンはこの惨状にひどく怒りを覚え、魔神相手に戦うことにしました。エルヴィンは激闘の末、魔神に勝利しました。このことにより、エルヴィンは世界の人々から英雄とたたえられました。

 このような内容だ。しかしこの絵本の真相はいまだ謎に包まれている
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