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2話
しおりを挟む14歳、ついに迎えた乙女ゲームの舞台となる学園に入学。
勿論、婚約破棄をされる、ということはなかった。
でもそれまでの間、色んなことを勉強したわ。
アルム様が出てくるのは全ステータスを上げなきゃいけない。
座学、ダンス、マナー、刺繍、剣術にも手を出した。
多分、今の私はステータスが全て100を超えるくらいのレベルにはなるだろうと自負している。
剣術に手を出したって言っても、殿下の婚約者で令嬢相手に本気で来る兵士なんているわけもなく手加減はしてくれているんだけど...。
その間にヒロインを虐める、なんてことは全くない。
むしろ、王宮に行く時にスカーレットが勝手に私についてきてハルト殿下の相手をしたり、自分の宿題を私に押し付けてきたり、をしていた。
おかげで、今のスカーレットに対する周りの評価は『姉の婚約者を奪おうとしている悪女』ということになっている。
学園に入る前からその状況で良いのか?と思ってしまうけど、本人が気にしていないなら良いか、と放置している。
一方のハルト殿下はというと、なぜかスカーレットを避けているように見えた。
一応、ヒロインに言い寄られているんだから有り得ないと思ったけど、前に
「頼むから、スカーレットを連れてくるのはやめてくれ!」
とお願いされたから本当に避けているんだろう。
まぁ、本人はそれに気付いてないみたいで、私が勉強している間もハルト殿下の追っかけをしている。
スカーレットは前世でハルト殿下推しなのか?と思うくらいだ。
ここまででわかると思うけど、私とハルト殿下の仲は良くも悪くもない。
ここ最近はスカーレットのせいで話すことが増えたくらいだ。
でも、イベントとか、起こってないから今後どうなるかわからないけどね。
それにしても今思うと、婚約者が居るのに他の人に誑かされるって最悪だよね。
これが現実だったら評価はガタ落ち、ヒロインも人の婚約者を奪った女、というレッテルを貼られるだけなのよ。
つまり、ゲームだから成り立っていただけ、ということ。
スカーレットはそれをわかってるのかしら?
あー...でもあの子が分かる訳ないか。
なぜって?
だって、スカーレットは自分がヒロインだからっていう訳の分からない理由をつけて勉強もダンスも全てサボっているから、こんな常識的なことすら頭に入っていない。
てか、踊れるの?王妃になれる?って言いたくなる。
もしスカーレットが王妃になったらこの国は滅びるんだろうな、って本気で思っている。
それくらい何も出来ないの。
ヒロインって、勉強が出来て、ダンスも出来て、あんな強情な人じゃなくて、お淑やかで優しい子、の筈なのに真逆すぎて少し困っているくらいだ。
そして、ヒロインが居ない平和な学園生活は幕を閉じ、ついにスカーレットの入学式の日がやってきた。
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