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35話
しおりを挟む声を上げたのはやっぱりスカーレットだった。
まぁ、私との婚約破棄の宣言かと思ったら、「これから2人で頑張ります」の言葉だからね。
スカーレットとしては納得できないだろうよ。
殿下は舞台の上からスカーレットを見下ろして
「どうしたんだ?スカーレット嬢。何か異論があるのか?」
と言った。
昨日までの殿下を知っている人は皆驚いた顔をしてるね。
あれほどイチャついていたのに今日の殿下は声のトーンすら違うからねぇ......。
苛立っているのがすぐわかる。
スカーレットは
「そりゃあそうよ!なんで!?お姉様とは婚約破棄するんじゃないんですの!?」
そう言って私を指さしてきた。
全く......いくら前世持ちでも人に指をさしちゃ行けません、は全国共通だよ?
あ、まだ私のターンはきていないから、殿下の隣で微笑みを絶やさずスカーレットを眺めている。
スカーレットからすれば、それも気に食わないんだろうなぁって思ってわざとやってるよ。
おかげで凄い睨みつけてくるの。
まぁ、美人に睨まれたらビビるけど、スカーレットがやると、小さい子供が駄々を捏ねてるみたいな感じにしか思えないんだよね。
なんて思っていると、殿下は
「俺がいつそんなことを言った?」
あらぁ......殿下ってそんなに冷たい声が出るんだね。
初めてその声を聞いたから驚いて微笑みを絶やすところだったわ。
殿下の低い声にはスカーレットも驚いているみたいで
「そ......それは...」
そう言って黙ってしまった。
スカーレットが言い返さないってことは、やっぱり重要な発表を勝手に婚約破棄するって自己解釈しちゃってたのね。
あの殿下の様子じゃ仕方ないとはいえ、馬鹿だなぁ...。
「自分の妄想で語るのは辞めてもらいたい。俺は最初からスカーレット嬢ではなく、ナナリー嬢を妻に、と望んでいるんだ」
殿下がそう言うと、周りが再びざわつき始めた。
皆もたった1日しか経っていないのに、殿下の変わりように驚いているんだろう。
こんなに沢山の人を騙せたなんて、殿下の演技力が高かったってことだよね。
そう考えると凄いわ。
スカーレットは一時は黙っていたが
「じゃあ......じゃあ今までのあれはなんだったのよ!殿下は私のことを好いていたじゃない!」
そう言った。
まだ諦められないのか、今の状況を理解出来ていないのか。
まぁ、どっちでもスカーレットが断罪されるのは変わらないけどね。
「良いのか?ここでその話をしても」
殿下にそう言われると、スカーレットは自信満々に
「何よ!別に構わないわ!」
と言った。
あー...ここでダメって言ったら別部屋に連れていくとかしてくれたんだろうなぁ。
もう自業自得か。
「そうか......なら仕方がないな」
殿下がそう言うと、チラッと私の方を見た。
これから始めますよ、ってことだよね。
了解しましたー!
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