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25話
しおりを挟む私からすべての話をし終わると、ベルン様の顔は真っ青に、カーシェ公爵は言葉を失って黙ってしまいましたわ。
今日の話はお父様にも詳しくしていなかったので、凄く怒っていますわね。
「それで?息子がこんなことをやらかして、まだ婚約は続けたいというのか?」
お父様は、カーシェ公爵に向かって物凄く低い声を出していますわ。
ですが、本当にその通りですわよね。
なので、畳みかけるようにカーシェ公爵に
「私はベルン様の顔も見たくないくらい精神的苦痛を与えられましたわ。もう限界ですの」
そう言って、目を伏せると私の本気度も伝わったようで
「わ、わかった。婚約破棄を受け入れよう」
そう言ってきましたわ。
あら?でもおかしいですわね。
そう思ってチラッとお父様を見ると、私と同じことを思ったようで
「何を言っているんだ?婚約破棄したのはお前の息子だ。こっちは婚約破棄なんてしていない」
と言ってベルン様を睨みつけていますわ。
だって.......ねぇ?
あの言い方だと、私から婚約破棄を言い渡した、みたいな言い方でしたわよね?
本当はすぐにでも婚約破棄したかったのを我慢して今まで来たのに、そう言われるのはなんだか癪に障りますわ。
そう思っていると、今まで散々黙っていたベルン様が急に
「で、でも、シャルロットは俺のことを好いていただろう?」
なんてバカなことを言いながら縋るような目で見てきましたわ。
私が、いつ、ベルン様なんかを好きになったのか教えて欲しいですわね。
というか、何度もベルン様には言っている通り嫌いでしかないんですが言葉が通じていませんの?
ベルン様の言葉に、思わずため息をついてしまいましたわ。
おまけに、カーシェ公爵までもが私のことを縋るような目で見るものですから余計にイラっときましたの。
なので、そんな2人にニッコリと笑って
「何度も言っている通り、昔も今もベルン様のことを慕ったことは一度たりともないですわ」
そう言うとなぜかベルン様は物凄く悲しい顔をしています。
あれですかね?
今まで自分のものだと思って雑に扱っていたのに、いざ居なくなったら寂しい、みたいな女々しいやつ。
もしそうなら物凄く面倒ですし、気持ちが悪いですわ。
そう思いながら
「ベルン様にはアリス男爵令嬢がいるんでしょう?真実の愛とやらを貫いてくださいな」
そう言うと、カーシェ公爵は相手が誰なのか知らなかったようで
「なっ........あの男爵令嬢のことかっ!」
と顔を真っ赤にしていますわ。
あら、やっぱり知っていますのね。
まぁ、アリス様のせいで何人もの婚約がなくなっているので有名人ですものね。
カーシェ公爵はベルン様に向かって
「あんなのに引っかかったのか!?バカだとは思っていたが、まさかここまでだとは........!」
と怒鳴りつけています。
ですが、それは家に帰ってからにしてくれませんかね?
私達は何も関係がありませんし、婚約を戻すつもりなんてありません、という意思が伝わったなら用事はありませんの。
ベルン様は父親に怒鳴られるとは思っていなかったのか
「あんなの、って....アリスに失礼だ!」
なんて反抗していますわ。
まぁ、大体の人はカーシェ公爵と同じ意見でしょうし、何を言ってもアリス様を認めるなんてことはないと思いますわよ。
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