婚約破棄されましたが、お兄様がいるので大丈夫です

榎夜

文字の大きさ
70 / 89

69話 アリスside

しおりを挟む
慰謝料の請求?

何それ!聞いてないんだけど!

そう思ったのは一瞬で、お父様達の顔を見た瞬間、なんて言い訳をしようか、という考えに変わった。

素直に王子様を落とすために他の人で試していた、っていう?

でも、この空気でそんなことを言えるわけがないし.......。

あっちから言い寄ってきた、とか言ってみる?

でも嘘だってバレたときの方が大変なことになる。

どうしよう......なんて言えばいいんだろう.........。

そう思っていると、お父様が急に大きなため息をついた。

そして

「大体の話は聞いている。何のために学園に行っているんだ?」

絞り出したかのような低い声でそう聞いてきた。

お金がないのに学園に通わせてもらっているのは、将来商人の家に嫁ぐ可能性があるから、今のうちに勉強しておけ、ということで通わせてもらっていた。

自分でもそれがわかっているはずなのに、自分の欲を優先してしまった。

お父様に続けて弟までもが

「姉上は勉強をするどころか婚約者がいる色んな子息達に声をかけて、婚約を破断にしている、という噂は俺にまで伝わってきてるよ」

そう言って私のことを睨みつけてきた。

確かに、最近弟から避けられているような、そんな気がしてたけど、まさか中等部の弟前d知っているとは思わなくて咄嗟に

「ち、ちが.......それは、私のせいじゃなくて........」

と言い訳をしようとした私に

「じゃあ、なんで慰謝料の請求なんてされるんだ?お前が人の婚約者を奪って楽しんでいるからだろう?」

今まで聞いたこともないような、冷たい声でお父様がそう言ってきた。

確かに人の婚約者を奪う、ということに快感はあった。

でも、ここで頷いたら余計に怒られると思って

「楽しんでいるわけじゃ.......」

と言ったものの、お父様は

「だったらなんで婚約者のいる人ばかり狙っているんだ。確信犯でしかないだろう」

バッサリと私の反論を切り捨てた。

あぁ....もう全部知ってるんだな。

後悔しても遅いかもしれないけど、なんでこんなことをしたんだろう。

後になって自分が苦しむだけなのに........。

お父様と弟の2人から責められている私を見て、お母様は泣き出してしまったし。

弟には

「本当に姉上にはガッカリだ。姉上のせいで俺にまで被害があるしね」

そう言われてしまった。

.....正直、弟のことを考えていなかった。

自分のことばかり、自分のやりたいことだけしか考えていなかった。

弟に申し訳なく思って

「ごめん.....」

と謝ったけど、もちろん許してもらえるわけもなく、私とは一度も目を合わせてくれない。

でも、それを私が責めることなんて出来ないよね。

そう思っていると、

「それで?こんな金額、我が家では払えないがどうするつもりなんだ」

とお父様に聞かれた。

こんな金額、ということは結構な額なんだろう。

それに関しては、慰謝料の請求だなんて考えたこともなかったから

「えっ!?それは.......その......」

とモゴモゴしてしまった。

だって、私が慰謝料の請求をされるなんて思っていなかったし、そんなに大事になるなんて想像も出来なかったんだもん。

そんな私にお父様は

「まさか何も考えていないわけではあるまい。人の婚約者を奪っているんだからな」

そう言って睨みつけてきた。

凄く冷たくて、私を軽蔑している、初めて向けられた視線だった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】マザコンな婚約者はいりません

たなまき
恋愛
伯爵令嬢シェリーは、婚約者である侯爵子息デューイと、その母親である侯爵夫人に長年虐げられてきた。 貴族学校に通うシェリーは、昼時の食堂でデューイに婚約破棄を告げられる。 その内容は、シェリーは自分の婚約者にふさわしくない、あらたな婚約者に子爵令嬢ヴィオラをむかえるというものだった。 デューイはヴィオラこそが次期侯爵夫人にふさわしいと言うが、その発言にシェリーは疑問を覚える。 デューイは侯爵家の跡継ぎではない。シェリーの家へ婿入りするための婚約だったはずだ。 だが、話を聞かないデューイにその発言の真意を確認することはできなかった。 婚約破棄によって、シェリーは人生に希望を抱きはじめる。 周囲の人々との関係にも変化があらわれる。 他サイトでも掲載しています。

【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話

彩伊 
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。 しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。 彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。 ............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。 招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。 送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。 そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。 『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』 一日一話 14話完結

婚約破棄されました。

まるねこ
恋愛
私、ルナ・ブラウン。歳は本日14歳となったところですわ。家族は父ラスク・ブラウン公爵と母オリヴィエ、そして3つ上の兄、アーロの4人家族。 本日、私の14歳の誕生日のお祝いと、婚約者のお披露目会を兼ねたパーティーの場でそれは起こりました。 ド定番的な婚約破棄からの恋愛物です。 習作なので短めの話となります。 恋愛大賞に応募してみました。内容は変わっていませんが、少し文を整えています。 ふんわり設定で気軽に読んでいただければ幸いです。 Copyright©︎2020-まるねこ

(完結)あぁ、それは私の彼ではありません!

青空一夏
恋愛
腹違いの妹はなんでも欲しがる『くれくれダコス』。幼い頃はリボンにぬいぐるみ、少し成長してからは本やドレス。 そして今、ダコスが欲しがっているのは私の彼だ。 「お姉様の彼をください!」  これはなんでも欲しがる妹がどうなったかというコメディー。ありがちな設定のサラッと読める軽いざまぁ。全年齢向け。  

【完結】出逢ったのはいつですか? えっ? それは幼馴染とは言いません。

との
恋愛
「リリアーナさーん、読み終わりましたぁ?」 今日も元気良く教室に駆け込んでくるお花畑ヒロインに溜息を吐く仲良し四人組。 ただの婚約破棄騒動かと思いきや・・。 「リリアーナ、だからごめんってば」 「マカロンとアップルパイで手を打ちますわ」 ーーーーーー ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。 完結迄予約投稿済みです。 R15は念の為・・

居候と婚約者が手を組んでいた!

すみ 小桜(sumitan)
恋愛
 グリンマトル伯爵家の一人娘のレネットは、前世の記憶を持っていた。前世は体が弱く入院しそのまま亡くなった。その為、病気に苦しむ人を助けたいと思い薬師になる事に。幸いの事に、家業は薬師だったので、いざ学校へ。本来は17歳から通う学校へ7歳から行く事に。ほらそこは、転生者だから!  って、王都の学校だったので寮生活で、数年後に帰ってみると居候がいるではないですか!  父親の妹家族のウルミーシュ子爵家だった。同じ年の従姉妹アンナがこれまたわがまま。  アンアの母親で父親の妹のエルダがこれまたくせ者で。  最悪な事態が起き、レネットの思い描いていた未来は消え去った。家族と末永く幸せと願った未来が――。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

辺境の侯爵令嬢、婚約破棄された夜に最強薬師スキルでざまぁします。

コテット
恋愛
侯爵令嬢リーナは、王子からの婚約破棄と義妹の策略により、社交界での地位も誇りも奪われた。 だが、彼女には誰も知らない“前世の記憶”がある。現代薬剤師として培った知識と、辺境で拾った“魔草”の力。 それらを駆使して、貴族社会の裏を暴き、裏切った者たちに“真実の薬”を処方する。 ざまぁの宴の先に待つのは、異国の王子との出会い、平穏な薬草庵の日々、そして新たな愛。 これは、捨てられた令嬢が世界を変える、痛快で甘くてスカッとする逆転恋愛譚。

処理中です...