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6話
「折角儂の誕生祭に集まってくれたのにこんな騒ぎを起こしてすまなかった」
あらまぁ...陛下が頭を下げましたわ。
王様が頭を下げるなんて聞いたことがありませんわ。
でも、身分に囚われずそういうことが自然と出来る陛下だからこの国の貴族達は忠誠を誓っているんですよね。
「ローズマリーから色々と説明があったと思うが、今日、この場をもって王妃とは離縁することとなった」
そう言うと会場が湧き上がった。
王妃様以外は皆このときを望んでいましたものね。
いくら王妃様とはいえ、誰を相手にしても傲慢な態度を崩さずに好き勝手やっていたのですから当たり前ですわ。
王妃様は思ってもいない貴族たちの反応に顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
アレックス様......もう様はいりませんね。
アレックスは何が起こったのか、と周りをキョロキョロ見渡している。
リリアーナと取り巻き達も何が起こっているのか理解できないのか呆然としたままだ。
陛下が会場に控えていた兵士達に騒ぎを起こした人達の連行を命じたので、王妃様は呆然としたまま引きずられるように会場を後にした。
アレックスと取り巻き達は大人しく兵士の言うことを聞いて出ていったが
「ちょ、離しなさいよ!ふざけるんじゃないわよ!」
と1人だけ騒いでいる人がいた。
勿論それはリリアーナだ。
この絶望的な状況で騒ぐなんて、身の程知らずというか...いえ、バカなだけですわね。
でも最後に初めましての挨拶くらいしましょうかね。
「リリアーナさん」
と私が声をかけると、リリアーナは肩をビクッとさせていた。
名前を呼んだだけなのに、なんで怖がられなきゃいけないんでしょう?
不服だわ。
まぁ、それも今だけですからね。ちゃんと笑顔で送り出してあげましょう。
「自分が王妃になる妄想を膨らませて...楽しかったですか?でも残念、私がいる限り、誰も王妃になることなんて出来ないですよ」
だって、もう陛下のお子様が産まれることはありませんからね。
この騒ぎは、私を糾弾して王妃の座を引きずり下ろすつもりだったようですが、私の次期女王という話が確定しただけです。
ニッコリと私が微笑むと、リリアーナはついに膝から崩れ落ちてしまった。
近くにいた兵士にお願いして素早く退場してもらいましたけど。
隣で上機嫌の陛下に
「そうだ、お誕生日おめでとうございます」
と私が言うと、陛下はありがとう、と優しい笑顔を向けた。
そして、
「最高の誕生日プレゼントだったよ」
と他の貴族たちには聞こえないくらいの大きさで呟いたのだった。
それから半年後、私は王太子になりました。
あの後、元王妃とアレックス、それから護衛騎士は3人まとめて平民に落とされた。
噂によると、喧嘩の絶えない家族なんだとか。
もし大きな騒ぎを起こしたら速攻打首になるそうです。
まぁ、こんなことをして最初から殺されるわけじゃないんだから感謝して欲しいですわ。
取り巻き達の処罰は各家に任せました。
絶縁された人も居れば、1から教育のし直し、というような罰はそれぞれです。
一人の少女にここまで人生を狂わせられるなんて、誰が想像したでしょう。
それからリリアーナさんは娼婦に売られたらしいです。
男爵家に処罰をどうするか聞いたところ、元々問題児すぎて手に負えない状況だったんですって。
そんなに男に媚びるのが好きなら...ってことでお金にもなるし邪魔者も消えて一石二鳥だ、と喜んでいましたわ。
それもこれも自業自得ですよね。
あの子ならしぶとく生きていけるんじゃないでしょうか?
私はというと、今は婚約者の選定を急いでいますわ。
次期王配になりますからね。
でも、お父様とお母様はまだわかりますが、誰よりも慎重に選んでいるのが陛下なんですよ。
自分が選ぶのを失敗したから、って言って、相手に少しの妥協も許さないんです。
流石に候補とのお茶会に参加するのだけは勘弁して欲しいですけど......。
はぁ......誰か相応しい人が居ないんですかね。
それから1年後、無事に婚約者を迎えることが出来た私は充実した日々を送っています。
でもそれは、別のお話で。
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