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1話
しおりを挟む私【マリアンヌ・シャーベ】はこの国唯一の公爵令嬢として誕生しました。
我が家以外の公爵家には、お子様はいても、令嬢がいなかったので、幼い頃から必然的に王太子である【アルフレッド・チョレート】様の婚約者になったんです。
まぁ、それは仕方のないことだと思います。
それに対して別に不満があるわけではありません。
他の令嬢より完璧を求められますし、いつも人目を気にして動かなければいけませんが慣れれば大したことではありませんもの。
陛下も王妃様も私のことを評価してくれていますし、私もその期待に恥じぬように動いてきました。
ですが、学園にある転校生が来た時から色んなことが崩れ始めたんです。
これは遡ること3か月前の話です。
「最近、変な動きをしている令嬢がいますの」
私の目の前には、この国の王妃様が座っています。
今は王妃教育が終わったあとのお茶を楽しんでいる最中です。
いつもはアルフレッド様の話だったり、学園での話だったり、と他愛もない話をするんですが、今日は少し違います。
私の言葉に王妃様は一瞬だけ目を見開いてから
「へぇー....どんなふうに?」
と聞いてきたので
「なんといいますか、まぁ、簡単に言うと、私に喧嘩を売ってきている令嬢ですわね」
そう言うと、王妃様は頬に手を当てて溜息をつきました。
「マリアンヌちゃんに喧嘩を売る令嬢なんて、頭おかしいのかしら?」
あら、口調が乱れていますね。
それだけ王妃様が私のことを信頼してくれている、ということなので別にいいんですけどね。
「そこまでは思いませんけど、異様にアルフレッド様にベタベタしたり、私の評判を下げるようなことを言ってみたり......」
気がついたら私の変な噂が出回っている、なんて最近ではよくある話ですからね。
本当に、迷惑な話ですわ。
しかもその噂は、私が権力を使って殿下の婚約者の席に収まった、とか、学園での私の成績はデタラメだ、とかそういうのですの。
これは確実に喧嘩を売ってきてますよね。
私の家族は皆話を聞いて激怒していますわ。
「その人は何がしたいのかしら?」
「全く分かりませんの。とりあえず相手にしないようにはしているんですが、ここ最近わざと私に絡んでくるようになりまして......」
えぇ、本当に迷惑していますの。
王妃教育があるから早く帰らなきゃいけないのに、変な茶番のようなものを見せられたり、生徒会の仕事をしている最中に勝手に生徒会室に入ってきたり.........。
あの令嬢、確か転校生でしたよね?
元平民の。
平民だったから、貴族のことが理解できないのかしら?
もしそうだとしても、流石にこれは悪意のある嫌がらせですよね。
でも調査もせずに、決めつけるのは違うと思ったので、こうして王妃様に話をしたんです。
「うーん.....とりあえず、こっちでも調べてみるわ。アルフレッドに限ってあり得ないとは思うけど、その令嬢にお熱をあげていたらすぐに教えて頂戴?」
「えぇ、もちろんですわ」
まぁ、その心配だけは絶対ないと思いますけどね。
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