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11話
しおりを挟む酷いって...確かに言い方はキツかったかもしれないけどモニカよりマシじゃない?
あーあーあー、ダルいダルい。周りの人もこっちに注目しちゃってるし...あ、でもモニカの演技が下手すぎるから嘘泣きってバレバレなんだけどね...?
目の前でモニカが嘘泣きしている間、私は慰める訳でも慌てるわけでもなく、ただひたすら微笑んでいた。
すると、攻略キャラ、改めモニカの取り巻き達が、どうして泣いているんだ!とすごい形相でこっちに走ってきた。
カインはモニカを抱きしめて、大丈夫だからな、とか言ってるけど、婚約者がいる人が他の人を抱きしめるとかないわぁ...。
周りの皆も白けた目を向けているが、当の本人達はやっぱりそれに気付いていない。
それどころか、
「貴様!モニカに何をしたんだ!」
とか言ってきた。すると、
「カイン様...っ、私が悪いんです......私が我儘を言って強い攻撃魔法を見せて欲しい、とお願いしたからなんです...!でもそしたら、Fクラスの奴が調子に乗るなって......っ」
モニカは嘘泣きをしながらカインに嘘を伝えた。
いやー、ここまでくると凄いな。最初に私に平民上がりとか言ってきたの誰だっけ?
思わず溜息をつきながら呆れていると、カインは私に向かってモニカに謝れ!と怒鳴ってきた。
他の取り巻き達も私を睨みつけながら、そうだそうだ!とカインを援護している。
少し離れたところで演習をしていたシエラ達もこっちの様子に気付いて駆け寄ってきてくれた。
シエラ達は今にも飛び出して、騒ぎを止めようとしていたけど、私は小さく首を振った。
だって、ここでシエラ様達が出てきてしまったら関係がないのに、お前らが...!とかなっちゃうじゃない?
それはどうしても避けたい。
私がどうやってこの場を収めようかな...と悩んでいると、周りで見ていた1人の令嬢がおずおずと手を挙げてこういった。
「あ、あの。リナさんはモニカさんにそんなこと言っていませんよ?モニカさんが平民上がりが調子乗るな、と叫んでいたのは聞きましたけど...っ」
その発言の後、次々と近くで演習していた子息令嬢達が手を挙げて、
「私も聞いていました」「あ、俺もです!」「モニカさんの態度、有り得なかったわ!」「私も聞いていましたよ」
俺も、私も、と10人以上の人がそう言って、私のことを庇ってくれた。
一方、それを聞いたモニカと取り巻き達は、ポカーンとその様子を眺めていた。
私を庇ってくれた人達に、ありがとうございます、とお礼を言ってから
「沢山の証人がいますが、私がモニカさんに言ったのは、強い攻撃魔法は危ないよ、ってことと、目上の人に敬意を払わない人の命令をなぜ聞かなければならないの?っていうことですよ?」
謝らなければいけないのはどっち?とニッコリ笑って言うとモニカは顔色を悪く、取り巻き達は口をパクパクさせていた。
「貴方達!授業中に何をしているんですか!」
と言う先生の声でモニカ達は逃げるように立ち去って行った。
あぁ、なるほど。この人達は言い返せなくなったら逃げれば良いっていう考えなのね。毎回毎回、恥ずかしくないのかしら?
「先生、申し訳ございません。モニカさんは私ごときではどうすることもできませんかでしたわ」
「はぁ...やっぱりあの人達ですか。こちらこそ、面倒事を押し付けるような形になってごめんなさいね」
全く...どうしようかしら、とブツブツ呟きながら先生がどこかに行ってしまったので、私はシエラ達の所に向かった。
「リナさん...っ!助けられなくてごめんなさい!」
「大丈夫ですか!?何もされていませんか?」
「リナさぁーん!無事で良かったですよぉ!」
「全く...リナさんにまで喧嘩を売るなんて...!」
シエラ、アリア、サーシャ、ノエルの4人が次々とそう言ってきたから、少し笑ってしまった。
攻略キャラには相手にされていないけど、こうして私を心配してくれる友達が出来たから、乙女ゲームとか関係なしに自由に生きよう。
ここはゲームじゃない。私がこれから生きていく現実の世界なんだ。
そう思った。
あ、そういえばあの後、改めて私を庇ってくれた人達にお礼を言いに行ったのよ。
そしたら、
モニカのことが好きじゃない
って皆が言ってて思わず吹き出しちゃった。
いつの間にか周りの好感度がめっちゃ上がってて、お礼がしたいって言っても、それより友達に!だって!
いやぁ...ここまできたら攻略キャラにモテないのが不思議で仕方ないよね!
応援ありがとうございます!
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