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45話
しおりを挟む『ハルト・ハーヴェン』
カインと同じ金髪をしていて、目の色は緑。
ただ一言、優男だ。
確かカインが王位剥奪されたから、次の王太子だとか言ってたような気がする。
「リナさん、少しお話があるんですがいいですか?」
とハルトが言うと、なぜか皆生暖かい目で私を見ていた。
てっきり、シエラに話があると思っていたから驚きよ。
シエラ達に確認をとると、微笑みながら頷いてくれたので、
「大丈夫です」
と言って席を離れた。
人気のないところまで来ると、ハルトは急に私に頭を下げた。
何事か!?と驚いていると
「兄が迷惑をかけて申し訳ございません」
と謝られた。
あー...なるほど。
カインのことね。別に私は大した被害もないし、何も思ってなかったわ。
「顔を上げてください、ハルト殿下」
と私が令嬢のごとく微笑みながら言うと不安そうな顔をしていた。
「私は何も気にしていませんし、シエラ様たちがこの件は終わった、と言っているんです。謝らないでください」
と言うと、ハルトはふわっと笑ってありがとう、と言ってきた。
やべぇ、カッコイイわ。
いやー...実は私の推しってハルト殿下だったのよ。
だから、モニカにカイン達が取られても何も思わなかったのよね。
一目でいいから見たいなって思ってたら、まさか話しかけられるとは...
勉強頑張ってて良かった。
「それで......あの、話はもうひとつありまして...」
とハルト殿下が頭を掻きながら照れくさそうにしている。
え、可愛い。嫁に欲しいです。ありがとうございます。
そんなことを思っていると悟られないように、なんでしょうか?と令嬢らしく首を傾げるとハルト殿下は
「その...俺の婚約者になってくれませんか......?」
と言ってきた。
あー!可愛い可愛い!
なに!?その顔は!照れてんの!?かーわーいーいー!!
鼻息が荒くして、喜んで!と言いそうになった自分を諌めて
「申し訳ございません、お父様にも聞いてみないと私からはなんとも...」
とシュンとしたように答えると、
「今日、家の方にも申し込むつもりですが、先に本人に自分から言いたいって思いまして...」
え!嬉し!
なんて良い子なの?カイン様とは全く違うじゃないですか。
「ありがとうございます、嬉しいですわ。でもお返事は少し待ってもらいたいのです」
心の中が荒ぶっているけど、冷静に見えるようにそう言った。
だって、ゲームではカインが王になって、ハルトは侯爵になって、宰相として働く、だったけど今は王太子だ。
つまり、婚約者になったら次期王妃ということ。
それは私がほいほい了解したらダメなやつだからね。
めっちゃOKしたいけど!
その後は、他愛のない話を少し話をしてからハルトと別れた。
その間、ハルトに終始熱意のある視線を送られていたが、それに気付く余裕なんてなかった。
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