幼馴染で婚約者の私より、貴方は運命の相手の方が大事ですのね

10話

そんな私の気持ちになんて気付くわけもなく、ジオルグ様は

「リーアはこんな話を聞かなくてもいいんだよ。ここからは居なくなった方が良い」

とリーア様に物凄く優しい声で言っていますわ。

私に対しても、過去に一度あるか無いくらいの声ですわ。

はぁ.....不愉快でしかありませんわよね。

そう思いながら、ジオルグ様に

「ジオルグ様、そんなにリーア様が良いんでしたら私と婚約破棄して、リーア様と婚約したらいいではありませんか。こんな扱いを受けるくらいだったらその方が私も嬉しいですわ」

と言ってニッコリと微笑むと

「な、何を言っているんだ。リーアとはそのような関係では.........」

今更ながらそんなことを言ってきましたわ。

正直、もういろんな話も聞いていますし、遅いんですのよ。

その話も私だけではなく、多分ですが今いる人達全員が知っていることではないでしょうか？

戸惑っているジオルグ様には申し訳ないですが、私としてはもううんざりですわ。

そう思いながら、ジオルグ様に

「あら？リーア様の取り巻きと話していたみたいですわよね。リーア様は運命の相手だ、と」

と言って微笑むと、まさか私が知っていると思わなかったんでしょう。

驚いた顔をして固まっていますが、ジオルグ様よりもリーア様の方が

「う、運命！？」

なんて言いながら驚いていますわね。

その様子では、あれほどまでに噂になっていたのに耳に入ってこなかったんでしょう。

まぁ、噂の当事者ですもの。

間違っても本人の前でなんて言いませんわよね。

あ、このままリーア様に自分の気持ちを伝えたら丸く収まるのではないでしょうか？

私とも婚約破棄出来て、リーア様とも婚約出来て良いことしかありませんわよ。

そう思ってジオルグ様を見たんですが、

「い、いや、違う！」

となんだか焦って否定していますわね。

そんなに否定しなくても良いと思いますが........。

なんて思いながら

「何が違いますの？長年一緒にいた婚約者である私より、運命の相手であるリーア様の方が大切なのでしょう？私のことなんて、何とも思っていないのでしょう？」

と頬に手を当てて、わざとらしくため息をつきながらそう言うと、ジオルグ様よりも先に

「ぶ、ブレイド様！どういうことですの！？」

リーア様の方が反応していますわ。

うーん.......どういうことか、なんて言っても誰が見てもそう思いますわよね。

リーア様は気付いていなかったんでしょうか？

取り巻きの人達が自分に対して特別扱いしている、と。

なんて思っていると、ジオルグ様は都合の悪そうな顔をしながら

「リーア、これはだな........」

と何か説明しようとしていますが

「それに、私は言ったはずですわ！婚約者が出来たから今まで通りに来られても困ると」

という言葉で遮られてしまいましたが、リーア様が言ったことは、今ここにいる人達の間でも衝撃的な事でしたわね。

婚約者ができた、ですって？

リーア様の話は噂で広まりやすい、という現状になっていますのに、初耳ですわ。

ですが、それと同時に

「あぁ。だからここ最近のジオルグ様は私の所に来ていましたのね」

と言ってしまいまいましたわよ。