12 / 14
罪と罰
しおりを挟む
お祖父様が壇上から降りる頃にやっと事を理解したのか、お姉様の顔が青くなっていきます。
「ちょ…ちょっと!どういう事よ!次の領主は私でしょう!」
「お姉様、領民の事を考えて下さい。お姉様には民が豊かに暮らして行けるよう、領地経営する事は出来ません」
「な…何を言ってるのよ!私だって…!」
「現当主であるお祖父様が決断された事です。ご自分の事しか考えられないお姉様には無理だと」
「あんたこそ自分の事ばかりじゃない!隣国の王太子様といつのまにか婚約までして!私は全てを失ったのよ!…本当に、あの時死ねば良かったのに!」
「全てを失ったのは…私にそうなるよう手を下したのは、お姉様ではありませんか。因果応報というものです」
カッとなって掴みかかろうとしたお姉様を、近衛の方が取り押さえて下さいました。
「お姉様…残念です」
せめて一言、謝って頂きたかったです…無論、許せるとは限りませんが。
近衛の方が調べた情報も、これで渡される事になるでしょう。…もう、会う事も叶わなくなるでしょう…
エランド王国に戻り、王太子妃教育を受けながら殿下のお仕事を手伝い、そんな立場にも慣れてきた頃。
「エルシーナ嬢の事に、決着がついたようだ…聞くか?」
「…はい」
グレン様に頼んで人払いをしてもらい、執務室にある簡単な応接机に行きます。
ソファーに並んで座り、封筒から書類が出されたのを、じっと見ました。
「俺は先に目を通した」
促されて書類を取り、目を通します。
「強制労働…ですか」
「死罪でなかった事にほっとしている?」
「いいえ。贖わなければならない罪は償うべきです…ただ、多方面に借金してまで、お姉様は美しくあろうとしたんですね」
「せめて心も美しくあろうとすれば、ここまでにはならなかったんだろうが」
「アレク様とは強制的に婚約解消された訳ですから、結婚に焦ったのでしょう」
私達からの贖罪の要求は、殺人未遂の件のみですけれど、細かい余罪まで全て調べてあったようで、労働からは一生逃れられないかもしれませんね。
しかも隷属の首輪をつけられているので、逃げ出す事も出来ません。元貴族にとっては、死罪の次に重い罰となります。
労働者に支払われるべき給金は、借金返済に充てられるでしょうし、食事は最低限。そこが通常の労働者とは違う所です。
それと元婚約者のアレク様ですが、罪が明るみになった事で家から廃嫡され、騎士団に捕えられたようです。もう貴族ではないので一般牢に入れられ、審議はまだですが、恐らく収容所内での労働という形になると思います。
殺人幇助という形になると思うのですが、お姉様のように借金があった訳ではありません。
刑がどの位の期間か分かりませんが、収容所から出た平民にはまともな働き口はありません。それでも、それだけの事をしてしまったのですから、きちんと償ってほしいと思います。
「ちょ…ちょっと!どういう事よ!次の領主は私でしょう!」
「お姉様、領民の事を考えて下さい。お姉様には民が豊かに暮らして行けるよう、領地経営する事は出来ません」
「な…何を言ってるのよ!私だって…!」
「現当主であるお祖父様が決断された事です。ご自分の事しか考えられないお姉様には無理だと」
「あんたこそ自分の事ばかりじゃない!隣国の王太子様といつのまにか婚約までして!私は全てを失ったのよ!…本当に、あの時死ねば良かったのに!」
「全てを失ったのは…私にそうなるよう手を下したのは、お姉様ではありませんか。因果応報というものです」
カッとなって掴みかかろうとしたお姉様を、近衛の方が取り押さえて下さいました。
「お姉様…残念です」
せめて一言、謝って頂きたかったです…無論、許せるとは限りませんが。
近衛の方が調べた情報も、これで渡される事になるでしょう。…もう、会う事も叶わなくなるでしょう…
エランド王国に戻り、王太子妃教育を受けながら殿下のお仕事を手伝い、そんな立場にも慣れてきた頃。
「エルシーナ嬢の事に、決着がついたようだ…聞くか?」
「…はい」
グレン様に頼んで人払いをしてもらい、執務室にある簡単な応接机に行きます。
ソファーに並んで座り、封筒から書類が出されたのを、じっと見ました。
「俺は先に目を通した」
促されて書類を取り、目を通します。
「強制労働…ですか」
「死罪でなかった事にほっとしている?」
「いいえ。贖わなければならない罪は償うべきです…ただ、多方面に借金してまで、お姉様は美しくあろうとしたんですね」
「せめて心も美しくあろうとすれば、ここまでにはならなかったんだろうが」
「アレク様とは強制的に婚約解消された訳ですから、結婚に焦ったのでしょう」
私達からの贖罪の要求は、殺人未遂の件のみですけれど、細かい余罪まで全て調べてあったようで、労働からは一生逃れられないかもしれませんね。
しかも隷属の首輪をつけられているので、逃げ出す事も出来ません。元貴族にとっては、死罪の次に重い罰となります。
労働者に支払われるべき給金は、借金返済に充てられるでしょうし、食事は最低限。そこが通常の労働者とは違う所です。
それと元婚約者のアレク様ですが、罪が明るみになった事で家から廃嫡され、騎士団に捕えられたようです。もう貴族ではないので一般牢に入れられ、審議はまだですが、恐らく収容所内での労働という形になると思います。
殺人幇助という形になると思うのですが、お姉様のように借金があった訳ではありません。
刑がどの位の期間か分かりませんが、収容所から出た平民にはまともな働き口はありません。それでも、それだけの事をしてしまったのですから、きちんと償ってほしいと思います。
62
あなたにおすすめの小説
能ある妃は身分を隠す
赤羽夕夜
恋愛
セラス・フィーは異国で勉学に励む為に、学園に通っていた。――がその卒業パーティーの日のことだった。
言われもない罪でコンペーニュ王国第三王子、アレッシオから婚約破棄を大体的に告げられる。
全てにおいて「身に覚えのない」セラスは、反論をするが、大衆を前に恥を掻かせ、利益を得ようとしか思っていないアレッシオにどうするべきかと、考えているとセラスの前に現れたのは――。
運命の番より真実の愛が欲しい
サトウミ
恋愛
田舎娘のゾーイは龍族の王子・シャウロンの『運命の番』だった。
ロマンチックな恋を夢見るゾーイは『運命の番』であるシャウロンと会えるのを楽しみにしていた。
しかし、シャウロンはゾーイに対して素っ気ない。
運命の番だからといって、必ずしも愛し合う関係だとは限らないらしい。
それを悟ったゾーイは、シャウロンのもとから去ることを決意した。
だって悪女ですもの。
とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。
幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。
だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。
彼女の選択は。
小説家になろう様にも掲載予定です。
モブ令嬢、当て馬の恋を応援する
みるくコーヒー
恋愛
侯爵令嬢であるレアルチアは、7歳のある日母に連れられたお茶会で前世の記憶を取り戻し、この世界が概要だけ見た少女マンガの世界であることに気づく。元々、当て馬キャラが大好きな彼女の野望はその瞬間から始まった。必ずや私が当て馬な彼の恋を応援し成就させてみせます!!!と、彼女が暴走する裏側で当て馬キャラのジゼルはレアルチアを囲っていく。ただしアプローチには微塵も気づかれない。噛み合わない2人のすれ違いな恋物語。
【完結】断頭台で処刑された悪役王妃の生き直し
有栖多于佳
恋愛
近代ヨーロッパの、ようなある大陸のある帝国王女の物語。
30才で断頭台にかけられた王妃が、次の瞬間3才の自分に戻った。
1度目の世界では盲目的に母を立派な女帝だと思っていたが、よくよく思い起こせば、兄妹間で格差をつけて、お気に入りの子だけ依怙贔屓する毒親だと気づいた。
だいたい帝国は男子継承と決まっていたのをねじ曲げて強欲にも女帝になり、初恋の父との恋も成就させた結果、継承戦争起こし帝国は二つに割ってしまう。王配になった父は人の良いだけで頼りなく、全く人を見る目のないので軍の幹部に登用した者は役に立たない。
そんな両親と早い段階で決別し今度こそ幸せな人生を過ごすのだと、決意を胸に生き直すマリアンナ。
史実に良く似た出来事もあるかもしれませんが、この物語はフィクションです。
世界史の人物と同名が出てきますが、別人です。
全くのフィクションですので、歴史考察はありません。
*あくまでも異世界ヒューマンドラマであり、恋愛あり、残業ありの娯楽小説です。
【完結】好きになったら命懸けです。どうか私をお嫁さんにして下さいませ〜!
金峯蓮華
恋愛
公爵令嬢のシャーロットはデビュタントの日に一目惚れをしてしまった。
あの方は誰なんだろう? 私、あの方と結婚したい!
理想ドンピシャのあの方と結婚したい。
無鉄砲な天然美少女シャーロットの恋のお話。
夢を現実にしないための正しいマニュアル
しゃーりん
恋愛
娘が処刑される夢を見た。
現在、娘はまだ6歳。それは本当に9年後に起こる出来事?
処刑される未来を変えるため、過去にも起きた夢の出来事を参考にして、変えてはいけないことと変えるべきことを調べ始める。
婚約者になる王子の周囲を変え、貴族の平民に対する接し方のマニュアルを作り、娘の未来のために頑張るお話。
愛する人は、貴方だけ
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
下町で暮らすケイトは母と二人暮らし。ところが母は病に倒れ、ついに亡くなってしまう。亡くなる直前に母はケイトの父親がアークライト公爵だと告白した。
天涯孤独になったケイトの元にアークライト公爵家から使者がやって来て、ケイトは公爵家に引き取られた。
公爵家には三歳年上のブライアンがいた。跡継ぎがいないため遠縁から引き取られたというブライアン。彼はケイトに冷たい態度を取る。
平民上がりゆえに令嬢たちからは無視されているがケイトは気にしない。最初は冷たかったブライアン、第二王子アーサー、公爵令嬢ミレーヌ、幼馴染カイルとの交友を深めていく。
やがて戦争の足音が聞こえ、若者の青春を奪っていく。ケイトも無関係ではいられなかった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる