人生詰んだ気がしたので、VTuberになってみた。

未来アルカ

文字の大きさ
103 / 244

第100話 戦略的撤退

しおりを挟む
 裁判は無事に終わった。圧倒的敗北となって。

 口頭弁論は序盤から、真壁一家に対して伸二さんが『本当にご自身らの家族がやっていないと考えているんですね?』『あなた達のせいで、有罪判決を受けようとしている子供が居るんですよ?』と、有無を言わせないような雰囲気で、相手を問いただした所までは良かったのだが、親戚のクズ親子が真壁一家の耳元で何かを話した途端、強気な姿勢に戻ってしまった。
 思わず、裁判官達が座っている席を見つめたが、反応は無し。
 それからは、相手のペースに飲まれるだけだった。と言うか、話さえさせて貰えなかった。
 何処から見つけて来たのかは分からないが、『昔はあの山は渡し達の家系が所有していた物だ!!』とか『あの家には昔、多額の借金があって、それの返済を手伝う代わりに、もし所有者が居なくなったら貰う約束だったんだ!!!』など、ほとんどが口約束ばかりで、一切の確証も無い、書類を持って来た家もあったが、恐らくは偽造した物だろうに。しかも、自分勝手に話し始めるから纏まりが無いし、何を言っているのかも分からない為、話が続かない。勿論、こちらの話も一切聞いてくれない為、伸二さんも困った表情をしていた。前代未聞の裁判だ。
 あまりにも意地汚い姿に引いていると、ようやく裁判官が口を開いた。

 「なるほど。証拠が全て揃ったようなので、別室にて裁判官全員で話し合いを行いたいと思います!」

 裁判官の近くに居る、親戚のクズ親共が見えた。

 「ちょっ!!裁判長!!裁判長!!」

 慌てて伸二さんが声を挙げるが、気付いた時には裁判官は誰も残ってはいなかった。


 この裁判は元々、勝てる見込みはゼロだ。
 どれだけ口頭弁論で証拠を出そうが、裁判官側が認めなければ有罪となる。これが民事裁判の悪いところらしい。
 買収されている裁判官は楽しいことだろう。
 目の前で必死に説得しようとしている奴の、高みの見物が出来るんだから。
 もし、裁判官側が訴えられたとしても、法廷内での証拠が無い。それどころか、『裁判の判断は裁判官に任せる』と法で書かれているんだからな。
 俺の場合、『法廷内での行動があまりにも不適切かつ不愉快』、『暴力的で態度も悪かった』為、今回の裁判は負けたらしい。ただ、座っていただけなのに。しかも、負けた理由が『態度が悪かった』って、子供か?一応、伸二さんに聞いてみたが、法の内容的には合っているらしい。実際に、こんな使い方をされているのを見るのは、初めてだったらしいけど。
 隣で車を運転する伸二さんの顔を見ると、酷くやつれている。当たり前だ。毎日毎日、俺の為に動いてくれているんだから。だから、だから仲間が必要だと判断して、たくさんの人を頼った。しかし、協力者は0。
 俺がさっさと土地を渡せば良かったのか。俺が伸二さんを後見人に選ばなければ良かったのか。俺が流也を殺さなければ良かったのか。
 色々と考えてしまう。
 だから、決めた。これ以上伸二さんを傷つけない為に。
 これは、あくまでも戦略的撤退。

 「もう、良いよ。」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

うちの幼馴染がデレすぎてて俺の理性はもう限界。でも毎日が最高に甘いからもうどうでもいいや

静内燕
恋愛
相沢悠太の日常は、規格外の美少女である幼馴染、白石葵によって完全に支配されている。 朝のモーニングコール(ベッドへのダイブ付き)から始まり、登校中の腕組み、そして「あーん」が義務付けられた手作り弁当。誰もが羨むラブラブっぷりだが、悠太はこれを「家族愛」だと頑なに誤解(無視)している。 「ゆーたは私の運命の相手なんだもん!」と、葵のデレデレは今日も過剰の一途。周囲の冷やかしや、葵を狙う男子生徒のプレッシャーが高まる中、悠太の**「幼馴染フィルター」**はついに限界を迎える。 この溺愛っぷり、いつまで「家族」で通せるのか? 甘すぎる日常が、悠太の鈍感な理性を溶かし尽くす――最初からクライマックスの、超高濃度イチャイチャ・ラブコメ、開幕!

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

**俺、東大院生の実験対象にされてた。**同居している美人家庭教師のやばい秘密

まさき
青春
 俺は今、東大院生の実験対象になっている。  ある雨の夜、アパートの前にずぶ濡れの美女が立っていた。  「家庭教師です。住まわせてください」  突然すぎる申し出に困惑しながらも、なぜか断れなかった。  桐島咲楽、東大大学院生。成績は天才、料理は壊滅的、距離感はおかしい。毎日転ぶ、焦がす、なぜか距離が近い。そのくせ授業は鬼のように丁寧で、俺のことを誰よりもよく見ていた。  偏差値42だった俺の成績は、気づけば上がっていた。でも、それより気になることがある。  咲楽さんが、研究ノートに何かを書いている。「被験者」という文字が、見えた気がした。  距離が近いのは、データのためか。褒めてくれるのは、実験のためか。でも、あの顔は。あの声は。  「データじゃなくて、私がそう思っています」  嘘をついているような顔じゃなかった。  偏差値42の俺に、東大院生の美女が押しかけてきた。ドタバタな毎日の中で、俺の心臓が休まる暇がない。これはドキドキなのか、心配なのか。それとも、もう恋なのか。  不器用な天才と、鈍感な高校生の、やばい同居生活。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...