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第103話 メディカルチェック
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午前10時
本当なら今日も『炎上配信』をやりたかったのだが、俺にしては珍しく、伸二さん以外の来客がある。
「先生。これで良いですか?」
「ええ、記入漏れが無いようにだけ注意して頂戴ね!」
手元にあるチェックシートを確認しながら、目の前の人物を見る。
パッと見て40代くらいの眼鏡をかけた女性で、左目の下にある小さな傷跡が特徴だ。
「そんなに私の顔を見て、どうしたの?もしかして、何か付いてる?今更私に惚れても遅いわよ?」
「そんなことは絶対ありえませんよ。そんなことより、そろそろ約束の時間じゃないんですか?」
「そうだったわ!!それじゃあ、また今度来るからよろしく!!」
そう言った後、脇に置いていた高そうなバッグを持って、足早にアパートから出ていってしまった。
「相変わらず夫婦仲がよろしいことで。せっかちな部分も、本当に変わらない。」
佐藤《さとう》 遥《はるか》
少年院に居た時、俺の精神科医として担当していた人だ。何故か俺に会いに来ていた伸二さんと仲良くなり、何かある度にメディカルチェックを理由にして会いに来てくれる人だ。
この人のことは、伸二さんと比べると、そこまで信頼はしていないが、他人と話すよりも幾分か楽な感じはする。勿論、そんなことを考えていれば、顔に出さなくても行動やら何やらで、遥さんに感じ取らせてしまった場面が何回もあった。しかし、遥さんは『別に割り切った関係で良いのでは無いのか?私は別に、信頼して欲しいとか思って無いしな。』と肯定してくれた。とても優しい人だとは思う。
ちなみに、もう少しで50代後半を迎えるにも関わらず、あそこまで活発な理由を聞いてみると、『旦那に少しでも若々しく見られたくて、普段から頑張ってるんだよ!』と、恥ずかしがりながらも言われた時は、少し引いた。後、『年齢のことは口に出すな』とも言われたな。
テーブルの上にあるお茶と茶菓子の空を片付けながら、今日の配信で何をやろうか考える。
「流石に毎日毎日voltexばかりだと飽きられるからな。まぁ、配信をちゃんと見てる奴が居るのか分からないけど。うーん、やっぱり炎上した人達を集めて、大集会みたいな感じの配信が出来たら、めちゃくちゃ面白そうなんだけどな。」
昨日の配信がきっかけになったのかは分からないが、少しずつ俺と同じような配信スタイルの奴等が出て来ている。ただし、このような配信が出来るのは、一部の個人勢配信者のみだ。特に、企業所属のVTuberなんかは、今回の事件に対しての対応が後手後手な状態だ。そろそろ、別の解決策を見つけなければ、配信者業界に大きなダメージと亀裂が入ってしまうかもしれない。
一人で黙々と作業を進めていると、スマホに一件の通知が来た。
普段から基本的に通知はオフにしている為、珍しく届いた通知が気になり開いてみると、ある一つの小さな企業から俺(鬼道 奈落)宛てのメールだった。
「一体何だろ。会社からのメールって、支払い請求以外で来たこと無いぞ?悪戯の可能性もあるしな。」
ブラックハッカー関連の悪質なメールかもしれないと、取り敢えずその日は触れないで置き、後ほど伸二さんの方で調べて貰うことにした。
本当なら今日も『炎上配信』をやりたかったのだが、俺にしては珍しく、伸二さん以外の来客がある。
「先生。これで良いですか?」
「ええ、記入漏れが無いようにだけ注意して頂戴ね!」
手元にあるチェックシートを確認しながら、目の前の人物を見る。
パッと見て40代くらいの眼鏡をかけた女性で、左目の下にある小さな傷跡が特徴だ。
「そんなに私の顔を見て、どうしたの?もしかして、何か付いてる?今更私に惚れても遅いわよ?」
「そんなことは絶対ありえませんよ。そんなことより、そろそろ約束の時間じゃないんですか?」
「そうだったわ!!それじゃあ、また今度来るからよろしく!!」
そう言った後、脇に置いていた高そうなバッグを持って、足早にアパートから出ていってしまった。
「相変わらず夫婦仲がよろしいことで。せっかちな部分も、本当に変わらない。」
佐藤《さとう》 遥《はるか》
少年院に居た時、俺の精神科医として担当していた人だ。何故か俺に会いに来ていた伸二さんと仲良くなり、何かある度にメディカルチェックを理由にして会いに来てくれる人だ。
この人のことは、伸二さんと比べると、そこまで信頼はしていないが、他人と話すよりも幾分か楽な感じはする。勿論、そんなことを考えていれば、顔に出さなくても行動やら何やらで、遥さんに感じ取らせてしまった場面が何回もあった。しかし、遥さんは『別に割り切った関係で良いのでは無いのか?私は別に、信頼して欲しいとか思って無いしな。』と肯定してくれた。とても優しい人だとは思う。
ちなみに、もう少しで50代後半を迎えるにも関わらず、あそこまで活発な理由を聞いてみると、『旦那に少しでも若々しく見られたくて、普段から頑張ってるんだよ!』と、恥ずかしがりながらも言われた時は、少し引いた。後、『年齢のことは口に出すな』とも言われたな。
テーブルの上にあるお茶と茶菓子の空を片付けながら、今日の配信で何をやろうか考える。
「流石に毎日毎日voltexばかりだと飽きられるからな。まぁ、配信をちゃんと見てる奴が居るのか分からないけど。うーん、やっぱり炎上した人達を集めて、大集会みたいな感じの配信が出来たら、めちゃくちゃ面白そうなんだけどな。」
昨日の配信がきっかけになったのかは分からないが、少しずつ俺と同じような配信スタイルの奴等が出て来ている。ただし、このような配信が出来るのは、一部の個人勢配信者のみだ。特に、企業所属のVTuberなんかは、今回の事件に対しての対応が後手後手な状態だ。そろそろ、別の解決策を見つけなければ、配信者業界に大きなダメージと亀裂が入ってしまうかもしれない。
一人で黙々と作業を進めていると、スマホに一件の通知が来た。
普段から基本的に通知はオフにしている為、珍しく届いた通知が気になり開いてみると、ある一つの小さな企業から俺(鬼道 奈落)宛てのメールだった。
「一体何だろ。会社からのメールって、支払い請求以外で来たこと無いぞ?悪戯の可能性もあるしな。」
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