人生詰んだ気がしたので、VTuberになってみた。

未来アルカ

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第111話 自己紹介

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 現実逃避をする為に、ワイヤレスイヤホンを耳に付け、スマホでGETafterを開いた。
 トップ画面に映るおすすめ動画の中から、取り敢えず見ていない切り抜き動画を開き、目を瞑る。

 その状態を10分程続けていると、部屋の扉が開き、高太郎さんがスーツ姿で部屋に入って来た。

 「皆さん、遅れてすみません!!それで・・今どこまで自己紹介が進みました?」

 ハンカチで額の汗を拭きながら、そう聞いてきた高太郎さんに対して、俺達は顔を見合わせた。

 「えーと、まだ何も進んでませんよ?取り敢えず、座りませんか?」

 俺は、チラッとテーブルを目線で指しながら言う。
 何故、俺が先頭に立って仕切っているんだろう。そこは社会経験ありそうなリーさんが何とかしてくれよ。

 高太郎さんも何かを理解したようで、苦笑しながら席に座った。

 「それじゃあ、改めて私から自己紹介させて貰いましょうか!!私は『スペースオペラ』代表取締役兼エンジニアの伊達 高太郎です!!今回、忙しい中お集まり頂きありがとうございます!そして、『スペースオペラ』との契約も結んで頂き、誠にありがとうございます!この会社が成り上がれるかは、皆さんに掛かっているので、どうぞよろしくお願いします!」

 高太郎さんが先陣を切って自己紹介をした後、流れるように他の人の自己紹介も始まってくれた。まぁ、自分の配信名と『よろしく』と言う言葉だけだがな。

 リーさん。VTuber名は『パワー 腹ー|《はらいち》』。VTuberのビジュアルは、やる気の無さそうな中年男性。何故このビジュアルで配信が伸びていたのか疑問だ。

 発狂女性。VTuber名は『嬢ノ内《じょうのうち》 美伽《みか》』VTuberのビジュアルを見せて貰った感じ、キャバ嬢にしか見えないくらい派手だった。調べたところ、視聴者からは『お嬢』と呼ばれているらしい。・・嬢?

 金髪悪。VTuber名は『喧嘩《けんか》 城東《じょうとう》』。VTuberのビジュアルが、現実の見た目そのままに、特攻服を着せただけなのはツッコミを入れた方が良いのか?後、名前から喧嘩を売るのは止めてくれ。

 ボサボサ女子。VTuber名は『筆記《ひつき》 女子《じょし》』。視聴者からは『ヒッキー』と呼ばれている。単純に『引きこもり女子と言いたいだけでは?』と思ったら、趣味で小説を書いていることが理由だった。イラスト系も描けるらしく、自分で描いた物を利用しているようだ。ただ、話す言葉が短編的だったり、時々毒を吐くのは止めて欲しい。


 『我が強そうな人が多いな。その点、リーさんはマシの方だったか。』なんて考えていると、自分の番になった。

 「初めまして。鬼道 奈落です。これからの配信で迷惑をお掛けするかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。」

 周りに合わせて短めの自己紹介をすると、今まで興味無さそうに自己紹介を終えた他のライバーが、俺のことを凝視してきた。
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