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第132話 奇襲
しおりを挟むスマホを片手に握りしめながら、海運工場跡地の倉庫群を走り続ける。
「はぁっ、はぁっ、もう少し先か!急がないと!!」
スマホの画面には、事前に沙也加のスマホに入れて置いた、GPSアプリの表示が映し出されている。このアプリを入れる時、沙也加に『お兄ちゃん・・・・ちょっと気持ち悪いかも・・・。』と言われて、めちゃくちゃ凹んだ時を思い出す。
少しづつ冷静さを取り戻し始めた俺は、目的地に着いてからの行動を考える。
まず、第一目標は『沙也加の安全確保』と『敵の目的を知る』ことだ。それでもし、沙也加に危険が迫りそうならば、沙也加を逃がす為に時間を稼ぐ。最悪、俺が、おとりになる事も視野に入れて置こう。
最後に、『沙也加は絶対に守る』。傷一つ付けさせねぇ!!これは俺自身への、絶対命令だ!!
それからも、『どうやって時間を稼ぐのか』『相手側の人数はどれくらい居るのか』など、様々な状況に対応出来るよう、頭の中でシミュレーションしながら、走り続けていると、目の前に、漁船が一隻丸々入りそうなくらい大きな倉庫が現れる。
「ここか!・・・中から音は聞こえないな。見た感じ、正面から入るしかないな!」
そう思い、倉庫の扉を開けると中には、口をガムテープで塞がれた状態で、木製の椅子に縛り付けられた沙也加の姿と、その周りを囲むように座りこむ不良達、その中には例の赤髪の男も居た。そして、一番奥の方で寛いでいるのは、今日のホームルームが終わった後も話しかけて来た、市長の息子が座っていた。
「はぁ、やっと来たか。後5分遅かったら、妹ちゃんに手を出すところだったぞ?」
「「「「「「「 ギャハハハ!!!」」」」」」」
何が面白いのか、馬鹿笑いし出した不良達を横目に、沙也加に近付ける最短距離と逃走経路を探してみる。見た感じだと、出入り口は俺が入って来た扉一つだけで、窓も高所に取り付けられている為、逃げ道には使えない。
不良達はそれぞれ武器になりそうなバットや角材を持っているのに対し、俺は丸腰だ。隠している武器を除いたらの話だが。
「ンンンッッ⁉⁉ンンッッ!!!ンッッ!」
「それで、態々俺の妹を攫ってまで、何をしたかったんだ?「・・・・・・・・」何が目的だって言ってんだよ!!!答えろ!!!」
「ンンッッ!!!!ンンッ!!!」
こちらを馬鹿にしたような表情は変えず、一向にこちらの質問に答えようとしない為、思わず大声を張り上げてしまった。その間、沙也加は何か伝えようとしているが、口が塞がれてしまっている為よく分からないが、俺に助けを求めているのだろう。
俺の中で『必ず助ける』と言う思いが強くなったと同時に、ふと、沙也加の視線が俺の方を向いていないことに気付いたが、遅かった!
「「ガッ!キンッ!」つっ⁉なんっ⁉ッッッッダ⁉」
俺の後頭部に二度衝撃が入ると同時に、俺の体を後ろから押さえつけられる。
仰向けで抑えられ、視界が歪む中見えたのは、いつの間にか後ろに回り込んでいた不良二名だった。ただ、沙也加の周りを取り囲んでいた不良の中に、こいつらの顔は見覚えが無かった。
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