142 / 244
第138話 定例会議
しおりを挟む
午後5時
いつもより長引いてしまった定例会議が終わり、缶コーヒー片手に部屋までの廊下を歩いていた。
二週間位一回行っている定例会議は、高太郎さんは勿論、技術スタッフの監督や広報部長など、『そんな人居たんだ!』って感じの人達が集まって、部門ごとの問題点、又は改善点を持ち出し、話し合うことが目的だ。まぁ、重苦しい感じで言ってみたが、結構ゆるゆるな雰囲気でやっている。・・三時のおやつにカツ丼が用意されるくらいにはな。
さて、そんな重要な会議に何故、俺のような人物が呼ばれているのか、気になる人も多く居るだろう。実のところ、俺自身があまり分かっていない部分もある。ただ、高太郎さんらが言う、『ライバー本人の声も大切にしないと!!』との意見には賛成している為、他の一期生の人達から押し付けられる形で、渋々会議に参加している。何でも俺に任せるのは、本当に止めて欲しいものだ。
そもそも、高太郎さん自身が経営者としての経験が無く、言ってみれば初心者だ。この会社自体が手探りで進めている現状、高太郎さんを支える人物がどうしても必要となる。もしかしたら、俺が様々な会社経営の事務を任されるのは、そんな考えもあるのでは?なんて最近では思い始めているのだから、俺も結構馬鹿なのかもしれない。どう考えても、経営知識を持った人物を雇った方が簡単で、確かな実績へと変わるのだから
「それにしても、カツ丼美味かったなぁ。あれ、多分高いやつだよな・・・会社のお金大丈夫か?高太郎さん、マジで頼むぞ?」
会議の結果、ちょっとした企画をすることが決まった分、伸び悩んでいるライバーへの対処なども、色々と考えなければいけないことに、少し憂鬱になりながら歩いていると、左側の扉からフラフラした状態で出て来た女性と、肩がぶつかってしまう。
「っと!すみません!」
「・・・・・・・・・・・」
どうやら、女性の方はぶつかったことにすら気付いていないようだ。それに、目の隈やボサボサの髪の毛のせいで判断出来なかったが、彼女をよく見ると、緒恋さんだと分かった。
「緒恋さん?・・緒恋さん!大丈夫ですか?」
「・・・⁉えっ⁉奈落さん⁉・・・あれ?何でこんなところに居るんでしたっけ?っ⁉部屋着のままじゃん!ちょっと失礼します!!」
何度か呼び掛けてみると意識を取り戻し、目の前に俺が居たことに驚いていた。さらに、ボーっとしていた時の記憶が無いようで、自分の格好を確認した後、慌ててさっき出て来た部屋の方に戻って行ってしまった。
廊下に一人残された俺。
どれくらいの時間で戻って来るんだろうか?それとも戻ってこないかもしれないな。特に、緒恋さんに対して用事があった訳でも無いし、このまま部屋に戻っても良いのか?だからと言って、もし、緒恋さんが戻って来た時に居なかったら、失礼な奴に見えないか?
様々な可能性に悩み始めながら、ぶつかった時に缶から飛び出たコーヒーを、ポケットティッシュで拭く。
「・・・・どうしようかなぁ。」
いつもより長引いてしまった定例会議が終わり、缶コーヒー片手に部屋までの廊下を歩いていた。
二週間位一回行っている定例会議は、高太郎さんは勿論、技術スタッフの監督や広報部長など、『そんな人居たんだ!』って感じの人達が集まって、部門ごとの問題点、又は改善点を持ち出し、話し合うことが目的だ。まぁ、重苦しい感じで言ってみたが、結構ゆるゆるな雰囲気でやっている。・・三時のおやつにカツ丼が用意されるくらいにはな。
さて、そんな重要な会議に何故、俺のような人物が呼ばれているのか、気になる人も多く居るだろう。実のところ、俺自身があまり分かっていない部分もある。ただ、高太郎さんらが言う、『ライバー本人の声も大切にしないと!!』との意見には賛成している為、他の一期生の人達から押し付けられる形で、渋々会議に参加している。何でも俺に任せるのは、本当に止めて欲しいものだ。
そもそも、高太郎さん自身が経営者としての経験が無く、言ってみれば初心者だ。この会社自体が手探りで進めている現状、高太郎さんを支える人物がどうしても必要となる。もしかしたら、俺が様々な会社経営の事務を任されるのは、そんな考えもあるのでは?なんて最近では思い始めているのだから、俺も結構馬鹿なのかもしれない。どう考えても、経営知識を持った人物を雇った方が簡単で、確かな実績へと変わるのだから
「それにしても、カツ丼美味かったなぁ。あれ、多分高いやつだよな・・・会社のお金大丈夫か?高太郎さん、マジで頼むぞ?」
会議の結果、ちょっとした企画をすることが決まった分、伸び悩んでいるライバーへの対処なども、色々と考えなければいけないことに、少し憂鬱になりながら歩いていると、左側の扉からフラフラした状態で出て来た女性と、肩がぶつかってしまう。
「っと!すみません!」
「・・・・・・・・・・・」
どうやら、女性の方はぶつかったことにすら気付いていないようだ。それに、目の隈やボサボサの髪の毛のせいで判断出来なかったが、彼女をよく見ると、緒恋さんだと分かった。
「緒恋さん?・・緒恋さん!大丈夫ですか?」
「・・・⁉えっ⁉奈落さん⁉・・・あれ?何でこんなところに居るんでしたっけ?っ⁉部屋着のままじゃん!ちょっと失礼します!!」
何度か呼び掛けてみると意識を取り戻し、目の前に俺が居たことに驚いていた。さらに、ボーっとしていた時の記憶が無いようで、自分の格好を確認した後、慌ててさっき出て来た部屋の方に戻って行ってしまった。
廊下に一人残された俺。
どれくらいの時間で戻って来るんだろうか?それとも戻ってこないかもしれないな。特に、緒恋さんに対して用事があった訳でも無いし、このまま部屋に戻っても良いのか?だからと言って、もし、緒恋さんが戻って来た時に居なかったら、失礼な奴に見えないか?
様々な可能性に悩み始めながら、ぶつかった時に缶から飛び出たコーヒーを、ポケットティッシュで拭く。
「・・・・どうしようかなぁ。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる