159 / 244
第155話 対応
しおりを挟む
午前10時
「それで、どんな感じでしたか?」
目の前で難しい顔をしている高太郎さんからは、昨日の話し合いで良い結果を得られなかったのだろうと、容易に想像がつく。
実は昨日、俺が復帰配信をしている間に緒恋さんと高太郎さんは、今回犯行に及んだ、緒恋さんの元父親(面倒だから緒恋父と言わせて貰おう)と話し合いの場を設けていたらしく、色々と肩を付けようとしていたようだ。
「残念ながら、相手の方は聞く耳を持ってくれなくてね。『俺の子供に何しようが、お前らには関係がねぇだろ!』『部外者が家族の問題に首を突っ込んで来るんじゃねぇよ!!』って、感じでね。しかも、今居る留置所での不満が溜まりに溜まり、余程のストレスだったのか、椅子やテーブルを壊したり、『今回の事件も、未希のせいで、こうなったんだ!!!』と騒いでいたり、あまりにも話し合いが出来る状態ではなかったよ。」
溜息を吐きながら、椅子に深く座りこむ高太郎さんを見るからに、話し合いは不可能だと判断したんだろう。
それにしても、事件を起こした原因が緒恋さんにあるって言うのは、流石にふざけ過ぎだろう。今回の事件で緒恋さんは、一番の被害者だろうにな。
聞いたところによると、緒恋さんの両親が離婚する前は、ごくごく普通の仲の良い家庭だったらしく、周囲からの評価も良かったそうだ。しかし、緒恋さんが高校生になった頃、母親の方に重い病気が見つかった。すい臓がんだ。
すい臓がんは、癌の中でも発見や治療が難しく、癌が見つかった時には約2㎝もの大きさで、生存率は約50%。ここに、さらなる不幸が舞い降りる。
丁度この頃、日本には大規模な感染症ウイルスが蔓延してしまった為に、数多くの会社が倒産してしまう事態が起きてしまった。その時に、緒恋父が働いていた会社も倒産。母親の医療費等を支払いながらも、新たな就職先を探さなければいけないと言う、不幸が重なってしまった。
後の事は、俺が踏み入れて良いのか分からなかった為、詳しいことは知らないが、あの反応を見ると、本当に大変だったのだろう。
「緒恋さんは大丈夫ですかね?最近、ほとんど部屋に籠りきりみたいですし、様子を見に行った人の話では、顔色もずっと悪いらしいですけど。」
「そうだねぇ。私の方も、どう接したら良いのか測りかねているんだけどね。そろそろ、何か行動を起こした方が良いのかもしれない!」
緒恋さんの過去に何があったのかは分からないが、いつも真面目に仕事をしている緒恋さんが、一度も配信が出来ないくらい体調を崩しているのなら、何か出来れば良いのだけどな。
「それで、どんな感じでしたか?」
目の前で難しい顔をしている高太郎さんからは、昨日の話し合いで良い結果を得られなかったのだろうと、容易に想像がつく。
実は昨日、俺が復帰配信をしている間に緒恋さんと高太郎さんは、今回犯行に及んだ、緒恋さんの元父親(面倒だから緒恋父と言わせて貰おう)と話し合いの場を設けていたらしく、色々と肩を付けようとしていたようだ。
「残念ながら、相手の方は聞く耳を持ってくれなくてね。『俺の子供に何しようが、お前らには関係がねぇだろ!』『部外者が家族の問題に首を突っ込んで来るんじゃねぇよ!!』って、感じでね。しかも、今居る留置所での不満が溜まりに溜まり、余程のストレスだったのか、椅子やテーブルを壊したり、『今回の事件も、未希のせいで、こうなったんだ!!!』と騒いでいたり、あまりにも話し合いが出来る状態ではなかったよ。」
溜息を吐きながら、椅子に深く座りこむ高太郎さんを見るからに、話し合いは不可能だと判断したんだろう。
それにしても、事件を起こした原因が緒恋さんにあるって言うのは、流石にふざけ過ぎだろう。今回の事件で緒恋さんは、一番の被害者だろうにな。
聞いたところによると、緒恋さんの両親が離婚する前は、ごくごく普通の仲の良い家庭だったらしく、周囲からの評価も良かったそうだ。しかし、緒恋さんが高校生になった頃、母親の方に重い病気が見つかった。すい臓がんだ。
すい臓がんは、癌の中でも発見や治療が難しく、癌が見つかった時には約2㎝もの大きさで、生存率は約50%。ここに、さらなる不幸が舞い降りる。
丁度この頃、日本には大規模な感染症ウイルスが蔓延してしまった為に、数多くの会社が倒産してしまう事態が起きてしまった。その時に、緒恋父が働いていた会社も倒産。母親の医療費等を支払いながらも、新たな就職先を探さなければいけないと言う、不幸が重なってしまった。
後の事は、俺が踏み入れて良いのか分からなかった為、詳しいことは知らないが、あの反応を見ると、本当に大変だったのだろう。
「緒恋さんは大丈夫ですかね?最近、ほとんど部屋に籠りきりみたいですし、様子を見に行った人の話では、顔色もずっと悪いらしいですけど。」
「そうだねぇ。私の方も、どう接したら良いのか測りかねているんだけどね。そろそろ、何か行動を起こした方が良いのかもしれない!」
緒恋さんの過去に何があったのかは分からないが、いつも真面目に仕事をしている緒恋さんが、一度も配信が出来ないくらい体調を崩しているのなら、何か出来れば良いのだけどな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
美人生徒会長は、俺の料理の虜です!~二人きりで過ごす美味しい時間~
root-M
青春
高校一年生の三ツ瀬豪は、入学早々ぼっちになってしまい、昼休みは空き教室で一人寂しく弁当を食べる日々を過ごしていた。
そんなある日、豪の前に目を見張るほどの美人生徒が現れる。彼女は、生徒会長の巴あきら。豪のぼっちを察したあきらは、「一緒に昼食を食べよう」と豪を生徒会室へ誘う。
すると、あきらは豪の手作り弁当に強い興味を示し、卵焼きを食べたことで豪の料理にハマってしまう。一方の豪も、自分の料理を絶賛してもらえたことが嬉しくて仕方ない。
それから二人は、毎日生徒会室でお昼ご飯を食べながら、互いのことを語り合い、ゆっくり親交を深めていく。家庭の味に飢えているあきらは、豪の作るおかずを実に幸せそうに食べてくれるのだった。
やがて、あきらの要求はどんどん過激(?)になっていく。「わたしにもお弁当を作って欲しい」「お弁当以外の料理も食べてみたい」「ゴウくんのおうちに行ってもいい?」
美人生徒会長の頼み、断れるわけがない!
でも、この生徒会、なにかちょっとおかしいような……。
※時代設定は2018年頃。お米も卵も今よりずっと安価です。
※他のサイトにも投稿しています。
イラスト:siroma様
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる