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第二の人生の始まり
鮮血の女王と機械人形のメイド―③
城内を歩くと肌で感じるのはこの異様な雰囲気。
先程までは静寂が支配していたというのに、その真逆というべきか。
まるで魔王の城にでも放り込まれた気分のように、吐き気すら覚えるほど。
そのせいか足取りは重く、呼吸もままならず中々前へ進めない。
もう少しであのオッサンの部屋だというのに、す、少し休まねば――。
「ほぅ? こんなところにガキがおるではないか? おい、ガキ。名を名乗れ」
「いぎっ……!?」
突如背後から声が聞こえたと思いきや、頭を強引に掴まれ。
ゆっくりと持ち上げられ、頭に爪が食い込ませるかのように容赦ない痛みが襲う。
な、なんだコイツ……!? いつの間に俺の後ろにいたんだ!?
漆黒の鎧を身に纏った筋肉隆々の男が俺を訝しげに睨みつける。
ローリィーみたいに事情を知る者ではない、そういうことなのだろうか?
蝙蝠の翼に蜥蜴を彷彿させるかのような尻尾――ま、まさか……、悪魔か!?
「クソガキ、名を名乗れと言っている」
「ヴ、ヴラド・マルコシアスです」
「知らん。そのような者を我は把握していないが? 誰の客であるか言ってみろ」
「し、白髭のオッサンが俺を助けて――」
「ガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 我の主に対して不敬な発言をするんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい! このダボがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 舐めてるんじゃねぇぞ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? このど低能の蛆虫風情でよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! てめぇが軽々しく口に出していい御方じゃねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
――ドガン!
俺の言い方が不快だったのだろう、理不尽な暴力を振るわれ。
壁に頭を思いっきりめり込ませ、じわりじわりと頭蓋骨を砕くかのよう。
荒々しい呼吸音と共に激しい怒りの熱すら感じさせる。
が、これだけは分かる――確実にこのままでは死ぬ、死んでしまう!
「このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ふざけやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 我の、我の、我のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 主の名を名乗れない出来損ないのクズがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 死んでしま――」
――バラララララ……
無数の破裂音が弾けた瞬間、確約されていた死から解放された。
が、駄目だ……、立つことすらままならない。
その場に崩れ落ち、地に伏し、事の成り行きを見守ることしかできない。
い、一体誰――っ!? ニ、ニーア!? ど、どうしてここに!?
いや、それよりも……、あの武器は一体なんなんだ!?
「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 機、機械人形風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! この我の腕をよくもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「どうせまたトカゲの尾のように生えるのではございませんか? 貴方様の身辺警護をせねばならない身ですので、容赦はできません。――もぐもぐ」
「悠長に焼き菓子食ってるんじゃねぇぞ、この淫売がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 舐めてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 焼き尽くすぞ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 人形風情がよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「五月蠅い。キモイ。臭い。私を侮辱出来るほど、お前は強くない。だから貴方様に謝罪しなさい、謝罪しなければ死ね。寧ろ死ねばいい」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ガキ一匹なんて殺したって問題ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇだ――」
――ウィィィィィン……、バラララララ……
筒のようなモノが高速回転し、俺に暴力を振るっていた男が肉片と化す。
ボタボタと肉片が床に汚く落ちた時、そのモノが動作を止めた。
な、なんなのだ、こ、この暴力の嵐は!?
こんな……、こんなもの俺は知らないし、見たこともない!
クロスボウの改良型? わ、分からない! な、何なのだ、一体!?
「はぁ、掃除面倒ですね……」
ポツリとそうニーアが呟くと、その武器を一瞬で消してしまった。
いや、違う――武器を何処かへ転移したというべきか?
だが詠唱などしていなかったぞ? 一体どういう原理なのだ?
ただこれだけは分かる――俺が知らないことがまだまだあるということだ。
「貴方様、無事で何よりです。急いで食べてきて良かったです」
無表情でニーアはそう言いながら、俺をお姫様抱っこする。
な、なんでお姫様抱っこされなければいけないんだ?
「……そいつはどうも。で、なんでお姫様抱っこするんだ?」
「深い意味はございません。まぁ、貴方様は赤子のようなものです。なので赤子は赤子らしくすべきかと」
「なら次からはしっかりと守ってくれ、死ぬ一歩手前だったんだぞ……」
「死ななければ問題ないかと。さ、ご主人様の元へ向かいましょうか」
おい、このポンコツをチェンジしてくれ!
ふざけているのか、ったく……。
まぁおかげで助かったからそれでいいとするか。
先程までは静寂が支配していたというのに、その真逆というべきか。
まるで魔王の城にでも放り込まれた気分のように、吐き気すら覚えるほど。
そのせいか足取りは重く、呼吸もままならず中々前へ進めない。
もう少しであのオッサンの部屋だというのに、す、少し休まねば――。
「ほぅ? こんなところにガキがおるではないか? おい、ガキ。名を名乗れ」
「いぎっ……!?」
突如背後から声が聞こえたと思いきや、頭を強引に掴まれ。
ゆっくりと持ち上げられ、頭に爪が食い込ませるかのように容赦ない痛みが襲う。
な、なんだコイツ……!? いつの間に俺の後ろにいたんだ!?
漆黒の鎧を身に纏った筋肉隆々の男が俺を訝しげに睨みつける。
ローリィーみたいに事情を知る者ではない、そういうことなのだろうか?
蝙蝠の翼に蜥蜴を彷彿させるかのような尻尾――ま、まさか……、悪魔か!?
「クソガキ、名を名乗れと言っている」
「ヴ、ヴラド・マルコシアスです」
「知らん。そのような者を我は把握していないが? 誰の客であるか言ってみろ」
「し、白髭のオッサンが俺を助けて――」
「ガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 我の主に対して不敬な発言をするんじゃなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい! このダボがぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 舐めてるんじゃねぇぞ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? このど低能の蛆虫風情でよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! てめぇが軽々しく口に出していい御方じゃねぇんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
――ドガン!
俺の言い方が不快だったのだろう、理不尽な暴力を振るわれ。
壁に頭を思いっきりめり込ませ、じわりじわりと頭蓋骨を砕くかのよう。
荒々しい呼吸音と共に激しい怒りの熱すら感じさせる。
が、これだけは分かる――確実にこのままでは死ぬ、死んでしまう!
「このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ふざけやがってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 我の、我の、我のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 主の名を名乗れない出来損ないのクズがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 死んでしま――」
――バラララララ……
無数の破裂音が弾けた瞬間、確約されていた死から解放された。
が、駄目だ……、立つことすらままならない。
その場に崩れ落ち、地に伏し、事の成り行きを見守ることしかできない。
い、一体誰――っ!? ニ、ニーア!? ど、どうしてここに!?
いや、それよりも……、あの武器は一体なんなんだ!?
「いぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 機、機械人形風情がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! この我の腕をよくもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「どうせまたトカゲの尾のように生えるのではございませんか? 貴方様の身辺警護をせねばならない身ですので、容赦はできません。――もぐもぐ」
「悠長に焼き菓子食ってるんじゃねぇぞ、この淫売がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 舐めてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ! 焼き尽くすぞ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? 人形風情がよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「五月蠅い。キモイ。臭い。私を侮辱出来るほど、お前は強くない。だから貴方様に謝罪しなさい、謝罪しなければ死ね。寧ろ死ねばいい」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!? ガキ一匹なんて殺したって問題ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇだ――」
――ウィィィィィン……、バラララララ……
筒のようなモノが高速回転し、俺に暴力を振るっていた男が肉片と化す。
ボタボタと肉片が床に汚く落ちた時、そのモノが動作を止めた。
な、なんなのだ、こ、この暴力の嵐は!?
こんな……、こんなもの俺は知らないし、見たこともない!
クロスボウの改良型? わ、分からない! な、何なのだ、一体!?
「はぁ、掃除面倒ですね……」
ポツリとそうニーアが呟くと、その武器を一瞬で消してしまった。
いや、違う――武器を何処かへ転移したというべきか?
だが詠唱などしていなかったぞ? 一体どういう原理なのだ?
ただこれだけは分かる――俺が知らないことがまだまだあるということだ。
「貴方様、無事で何よりです。急いで食べてきて良かったです」
無表情でニーアはそう言いながら、俺をお姫様抱っこする。
な、なんでお姫様抱っこされなければいけないんだ?
「……そいつはどうも。で、なんでお姫様抱っこするんだ?」
「深い意味はございません。まぁ、貴方様は赤子のようなものです。なので赤子は赤子らしくすべきかと」
「なら次からはしっかりと守ってくれ、死ぬ一歩手前だったんだぞ……」
「死ななければ問題ないかと。さ、ご主人様の元へ向かいましょうか」
おい、このポンコツをチェンジしてくれ!
ふざけているのか、ったく……。
まぁおかげで助かったからそれでいいとするか。
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