【完結】わたくしと婚約破棄して妹と新たに婚約する? いいですけど、ほんとうにその子でいいんですか?

井上 佳

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第13話 自分勝手に捨てられる



「とにかく、お前にはもう用はない。ああ、でも我々を騙したこと、それと我が家の評判を落とした罪は重いぞ。慰謝料を払ってもらうことになるだろうから用意しておけ。」

「い、慰謝料って?!」


シュナは思わずイエリに向いた。ベッカー家に払わせようとでもいうのだろうか。


「うちは関係ないわよ? 自業自得なのだから、自分でなんとかなさい。」

「そ、そんな……!」


シュナは顔面蒼白で膝から崩れ落ちた。
イエリは、同情なんかしない。むしろざまあみろ、くらいに思っていた。


「それはそうと、本題なのだが。」

「本題?」

「貴様さっきはよくも私の手を払ったな」

「ああ、そのことですか。」


なんともなしに言うローベルトに苛立つジンナムがつっかかる。


「伯爵家如きが! 公爵家に逆らうか! さっさとイエリと婚約を解消し、あと暴力を奮ったこと謝罪しろ!」

「あなたは、自分が何をやっているかわかっているのか?」

「は、はあ?!」

「あなたのために働いていたイエリ嬢を疑い、平民のシュナさんに唆され婚約破棄。その後やっと彼女の素晴らしさに気づいたからやっぱり婚約しようなどど……しかも今はもう我が婚約者殿なのですよ? 婚約者がいる者に言い寄るなど恥も外聞もないのか?」


既婚者はもちろん、婚約者のいる者に手を出すのは貴族階級ではご法度だ。裁かれる法はあるし、逃れても貴族連中からつまはじきにされる。
例えば一緒に事業をやっていたり、仕事の取引先だったり、関連事業だったりで付き合いのある家から総スカンを食らうのだ。そうなったら家は立ち行かない。

つまり、ローベルトと婚約しているイエリに手を出すということは、伯爵家公爵家関係なく、手を出したものの家の存続が危ないのだ。

さすがに、一応とはいえひと通りの教育を受けているジンナムは、マズい、と顔色を変えた。


「そ、それでもイエリがお前より私を選ぶなら、も、問題ないだろう。」

「まあ、それはそうですが。」


ローベルトは、ちらりとイエリのほうに目をやった。


「イエリ! 私と――」

「お断りします。」

「ふっ……。」


必死の形相でイエリに向き直り、婚約を申し込もうとしたのを遮られ断られるジンナム。その速さに、思わず吹き出したローベルトだった。


「ふふ……。この話はここで終わりでいいですね?」

「よ、よくないだろう!」

「では、何があったかを書面に纏め王宮に提出させていただきますね。」

「なっ!」

「こ れ で、終 わ り で い い で す ね?」

「ぐっ……」


ローベルトに威圧され何も言えなくなってしまうジンナム。
本人の意志を無視して婚約者を奪おうとしたことが公になればお家解体の危機だ。

これ以上話はない、とローベルトは伯爵家の護衛や執事と共にジンナムを追い出すのだった。


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