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第11話 秋季公式パーティー
王族・貴族が集う、学園最大の公式行事――秋季舞踏会。
私はヴァルディス侯爵家の長女として、完璧な装いで会場に現れた。
銀に近い淡い金髪を優雅に結い上げ、深い青のドレスに身を包む。
「お嬢様、完璧です」
マルティナが、最後の確認をしてくれる。
「ありがとう」
私は鏡に映る自分を見て、微笑む。
――今日で、すべてが終わる。
そして、新しい何かが始まる。
「エレノア!」
フローラが駆け寄ってくる。
「素敵よ! そのドレス」
「ありがとう。フローラも素敵よ」
私たちは、軽く抱擁を交わす。
「ねえ、エレノア」
フローラが、小声で言う。
「レオニス殿下、もう来てらっしゃるわよ」
「え?」
「あそこ」
フローラが目線で示す方向を見ると――。
深い紺色の髪の青年が、優雅に立っていた。
レオニス殿下。
彼は私に気づくと、穏やかに微笑んだ。
私は、少し緊張しながら、殿下の元へ向かう。
「殿下」
「エレノア」
彼は、私の手を取る。
「......綺麗だ」
「ありがとうございます」
まっすぐこちらを見つめてくる瞳に、頬が熱くなるのを感じた。
「今日は、よろしく頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
私は、レオニス殿下の腕に手を添えて、扉の前に立った。
「第3王子レオニス・アルバート・クラウゼル殿下、エレノア・ヴァルディス侯爵令嬢、ご入場!」
会場に入ると、すでに多くの貴族たちが集まっていた。
華やかなドレス、煌めく宝石、優雅な音楽。
王子殿下のエスコートを不思議そうにしている人もいるが、ここ最近のディートリヒの愚行を知っている人も多いので、会場内は同情の視線が多いようだ。
私たちは、学友と合流し他愛のない会話を楽しんでいた。
その時――。
会場がざわめく。
入口に、二人の姿。
ディートリヒと、リリアナ。
リリアナは淡いピンクのドレスに身を包み、ディートリヒの腕に絡みついている。
まるで――婚約者のように。
「......来たわね」
フローラが、冷たく呟く。
周囲の貴族たちが、ざわざわと囁き合う。
「あれは......ルーゼン家の三男様」
「でも、婚約者は......」
「まあ、なんて......」
「やはり」
「だから第3王子殿下とーー」
リリアナは、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
ディートリヒも、堂々としている。
私は――何も感じない。
むしろ、清々しい気分だった。
「エレノア」
レオニス殿下が、静かに言う。
「......大丈夫か」
「ええ」
私は微笑む。
「むしろ、これで良かったです」
殿下は、少し驚いた表情を浮かべる。
「......君は、本当に強いな」
「強いんじゃなくて――」
私は、殿下を見つめる。
「もう、前を向いているだけです」
殿下の金色の瞳が、優しく細められる。
「......そうか」
音楽が流れ始める。
舞踏会の、始まりだ。
「エレノア」
殿下が、手を差し出す。
「踊ってくれるかな」
「はい、もちろん」
私は、殿下の手を取った。
そして――会場の中央へ。
周囲の視線が、私たちに集まる。
第三王子と、侯爵家の令嬢。
私たちは、優雅に踊り始める。
「......殿下」
「ん?」
「ありがとうございます」
「何が?」
「こうして、エスコートしてくださって」
殿下は、微笑む。
「いや――俺の方こそ、ありがとう」
「え?」
「君と踊れることが、嬉しいんだ」
その言葉に、胸が高鳴る。
――なぜだろう。
殿下の言葉は、いつも胸に響く。
音楽が、流れ続ける。
私たちは、ただ静かに踊り続けた。
そして――その瞬間は、訪れた。
私はヴァルディス侯爵家の長女として、完璧な装いで会場に現れた。
銀に近い淡い金髪を優雅に結い上げ、深い青のドレスに身を包む。
「お嬢様、完璧です」
マルティナが、最後の確認をしてくれる。
「ありがとう」
私は鏡に映る自分を見て、微笑む。
――今日で、すべてが終わる。
そして、新しい何かが始まる。
「エレノア!」
フローラが駆け寄ってくる。
「素敵よ! そのドレス」
「ありがとう。フローラも素敵よ」
私たちは、軽く抱擁を交わす。
「ねえ、エレノア」
フローラが、小声で言う。
「レオニス殿下、もう来てらっしゃるわよ」
「え?」
「あそこ」
フローラが目線で示す方向を見ると――。
深い紺色の髪の青年が、優雅に立っていた。
レオニス殿下。
彼は私に気づくと、穏やかに微笑んだ。
私は、少し緊張しながら、殿下の元へ向かう。
「殿下」
「エレノア」
彼は、私の手を取る。
「......綺麗だ」
「ありがとうございます」
まっすぐこちらを見つめてくる瞳に、頬が熱くなるのを感じた。
「今日は、よろしく頼む」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
私は、レオニス殿下の腕に手を添えて、扉の前に立った。
「第3王子レオニス・アルバート・クラウゼル殿下、エレノア・ヴァルディス侯爵令嬢、ご入場!」
会場に入ると、すでに多くの貴族たちが集まっていた。
華やかなドレス、煌めく宝石、優雅な音楽。
王子殿下のエスコートを不思議そうにしている人もいるが、ここ最近のディートリヒの愚行を知っている人も多いので、会場内は同情の視線が多いようだ。
私たちは、学友と合流し他愛のない会話を楽しんでいた。
その時――。
会場がざわめく。
入口に、二人の姿。
ディートリヒと、リリアナ。
リリアナは淡いピンクのドレスに身を包み、ディートリヒの腕に絡みついている。
まるで――婚約者のように。
「......来たわね」
フローラが、冷たく呟く。
周囲の貴族たちが、ざわざわと囁き合う。
「あれは......ルーゼン家の三男様」
「でも、婚約者は......」
「まあ、なんて......」
「やはり」
「だから第3王子殿下とーー」
リリアナは、勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
ディートリヒも、堂々としている。
私は――何も感じない。
むしろ、清々しい気分だった。
「エレノア」
レオニス殿下が、静かに言う。
「......大丈夫か」
「ええ」
私は微笑む。
「むしろ、これで良かったです」
殿下は、少し驚いた表情を浮かべる。
「......君は、本当に強いな」
「強いんじゃなくて――」
私は、殿下を見つめる。
「もう、前を向いているだけです」
殿下の金色の瞳が、優しく細められる。
「......そうか」
音楽が流れ始める。
舞踏会の、始まりだ。
「エレノア」
殿下が、手を差し出す。
「踊ってくれるかな」
「はい、もちろん」
私は、殿下の手を取った。
そして――会場の中央へ。
周囲の視線が、私たちに集まる。
第三王子と、侯爵家の令嬢。
私たちは、優雅に踊り始める。
「......殿下」
「ん?」
「ありがとうございます」
「何が?」
「こうして、エスコートしてくださって」
殿下は、微笑む。
「いや――俺の方こそ、ありがとう」
「え?」
「君と踊れることが、嬉しいんだ」
その言葉に、胸が高鳴る。
――なぜだろう。
殿下の言葉は、いつも胸に響く。
音楽が、流れ続ける。
私たちは、ただ静かに踊り続けた。
そして――その瞬間は、訪れた。
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