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『こういうの、望月さんらしくないですよ』
課長の困惑した表情が目に焼きついて、ほとんど眠れないまま明けた一夜。
とてもビジネスライクなメッセージが届き、益々課長は私を翻弄した。
一度ゆっくり話がしたいって、間違いなくゆうべの件だ。
部下が上司に色目を使って誘うなんて、あってはならない行為だと窘められるのかもしれない。
お茶や昼食を誘ってくれたのも課長の優しい気遣いで、仕事をする上で気まずい関係にならない為の配慮であることが想像できた。
……それでも。
それでももう一度課長と二人で食事ができるチャンスに胸を躍らせてしまうほど、私の恋は末期だった。
“こういうの”、というのはおそらく恋そのものなんだろうと思う。
綺麗になりたいと願い、異性の気を引きたくて四苦八苦すること。
それらはオカンの私にはミスマッチで、違和感があるのだろう。
改めて思い知ると胸が痛くて切ないけれど、例え今までと同じ仕事上での付き合いでもいいから課長の近くにいたい。
本当だったら喜んでOKの返事をしているところだけど、今日は先約がある。
三ヶ月も前から申し込んでいたセミナーに、水野さんと参加することになっていた。
取引先の企業が主催の人気セミナーで、関係強化や情報収集、他の参加者達との交流による新たなビジネスチャンスの獲得が望める有益なイベントで、自分のスキルアップの為にも今日を逃すわけにはいかない。
仕切り直して再度課長と食事できることを祈りつつ、丁重にお断りした。
……だけど。
「いやー。結構ハードだね」
休憩時間、隣の席の水野さんから声をかけられて我に返る。
彼の言うとおり長時間のセミナーはなかなかスタミナが必要だ。
とても面白い話が聞けて充実した時間だけど、正直言って心の中に何度も課長が思い浮かんでしまう。
課長、今何してるんだろう。
帰りに連絡してみようか。
だけどまた飲みに誘っても、断られるのが目に見えている。
「モッチーさん、終わったら飯食いに行こうよ」
そんな水野さんの誘いに口ごもる。
「もう俺スタミナ切れっすよー。この近くに有名なカレー屋があるらしいから是非」
「そ、そうなんですね」
だめだ。やっぱり今日はセミナーの方に集中しよう。今日の予約をしてくれたのも誘ってくれたのも水野さんだから、お礼にカレーをご馳走なんていいかもしれない。
「そこ、クラフトビールとかも美味いらしくて」
「へえー、いいですね」
いつもの気楽なオカン口調で話せる心地良さを感じながら、リラックスして後半の受講も楽しもうと気合いを入れ直していた。
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