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第七章:恋を知る夜、愛に包まれる朝
第130話・叶えたい願い、守りたい笑顔
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昼下がり、一行が足を運んだのは、市場の喧騒から少し離れた石造りの食堂だった。
木製のテーブルに腰を下ろすと、香ばしい匂いと温かな空気が心地よく包み込む。
「ルナ様は何を召し上がりますか?」
ヴィクトルが穏やかに問いかけると、ルナフィエラはメニューを覗き込みながら少し迷った末に答える。
「……この、野菜の煮込みが食べてみたい」
「いいね! 僕は焼き魚にしようかな!」
フィンが元気よく声を上げ、シグは「肉の煮込み」と短く注文を告げる。
ユリウスはワインを添えた軽めの食事を選び、ヴィクトルはパンとスープを追加で頼んだ。
ほどなく運ばれてきた料理がテーブルを彩る。
煮込みの野菜は柔らかく、香草の香りが鼻をくすぐる。
ルナフィエラがひと口含むと、思わず笑みが浮かんだ。
「……美味しい……」
その小さな声に、4人は自然と視線を合わせ、どこか誇らしげな笑みを浮かべる。
穏やかな昼食のひとときは、旅の緊張をほんの少し和らげてくれた。
食事を終えると、ユリウスがルナフィエラに視線を向ける。
「午後は……また図書館に戻るかい?」
問いかけに、ルナフィエラは少し考えてから、首を横に振った。
彼女の瞳に映るのは、外の明るい街並み。
「……ここに来るのは、最後かもしれないから。もっと……色んなところを見てみたい…かな」
その言葉にユリウスは目を細め、軽く頷いた。
「わかった。君の望むままに」
他の3人も異論はなく、それぞれ笑みを浮かべながらうなずく。
一行は、再び街の散策へと足を向けることになった。
午後の街は陽光にきらめき、石畳を行き交う人々のざわめきが活気に満ちていた。
市場から少し外れ、彼らは細工物の並ぶ通りへと足を運ぶ。
銀細工の指輪や繊細なガラスの置物、柔らかな布を使ったストールや髪飾り――。
ルナフィエラの瞳は、ひとつひとつに引き寄せられるように輝きを増していった。
「……綺麗……」
彼女が足を止めるたび、ヴィクトルが値段を確認し、フィンは「ルナに似合う!」と目を輝かせる。
シグは周囲を警戒しながらも視線を外さず、ユリウスは背後から軽く腰に手を添え、歩調を合わせていた。
やがて立ち寄った書店では、ルナフィエラは少し迷った末、数冊を手に取った。
旅の間にも読めそうな本を大事そうに抱える姿に、4人は自然と微笑む。
その帰り道――ふと彼女の視線が店先で止まった。
そこに並んでいたのは、大きなぬいぐるみ。
ふわふわの毛並みに大きなリボンが結ばれ、抱きしめてほしそうに佇んでいる。
(……かわいい……)
思わず足が止まり、瞳が吸い寄せられる。
けれどすぐに瞬きをして視線を逸らした。
(……だめ。今は旅の途中だし、荷物になるだけ……)
わかっている。
この先には目的地があり、その後は古城に戻る旅も待っている。
心惹かれる気持ちをぎゅっと胸の奥にしまい込み、ルナフィエラはそっと背を向けた。
一通りの散策を終えた夕暮れ、彼女は心地よい疲れを覚えていた。
「今日も……楽しかった」
小さな呟きに、仲間たちの笑顔が返る。
満足げに笑みを浮かべながら、ルナフィエラは「明日のために早めに休もう」と提案し、一行は宿へと戻っていった。
ベッドに腰掛けたルナフィエラは本を抱きながら小さく息をついた。
瞼は重そうに揺れ、表情には充実感と、ほんの少しの名残惜しさが滲んでいる。
(……あのぬいぐるみ、かわいかったな……でも……)
胸の奥に押し込めた思いを、彼女自身は誰にも悟らせていないつもりだった。
だが――その表情を見逃す者は、やはりいなかった。
ユリウスとヴィクトルは、互いに視線を交わすことなく、それぞれの胸中で同じことを思っていた。
(……あの時の目の輝き……君が欲しいと思ったのなら、叶えない理由はない)とユリウス。
(……ルナ様の笑顔のためなら、荷物など些細な問題に過ぎません)とヴィクトル。
夕食前、ユリウスが「少し買い忘れがあった」と口にすれば、ヴィクトルも自然に頷き、共に宿を出る。
2人の歩みは迷いなく、ぬいぐるみを見た店へと向かっていた。
「やっぱり!」
背後から元気な声が響き、振り返ればフィンが駆け寄ってきた。
頬を緩ませ、息を弾ませながら並ぶ。
「僕も行く! あのぬいぐるみ、ルナに似合うと思ったんだ!」
ユリウスは小さくため息をつき、ヴィクトルは苦笑する。
しかし止める気は誰にもなかった。
(……気づいていたか、やはり)
シグは、無言でルナフィエラのそばに残り守る。
あの無骨な戦士も、彼女の瞳に映った切なげな揺らぎを見逃してはいなかった。
こうして3人は足早に石畳を進み、目指す店へと向かう。
橙色の夕日が街を染める中、その表情には同じ決意が宿っていた。
「……あれを、必ず彼女に渡そう」
木製のテーブルに腰を下ろすと、香ばしい匂いと温かな空気が心地よく包み込む。
「ルナ様は何を召し上がりますか?」
ヴィクトルが穏やかに問いかけると、ルナフィエラはメニューを覗き込みながら少し迷った末に答える。
「……この、野菜の煮込みが食べてみたい」
「いいね! 僕は焼き魚にしようかな!」
フィンが元気よく声を上げ、シグは「肉の煮込み」と短く注文を告げる。
ユリウスはワインを添えた軽めの食事を選び、ヴィクトルはパンとスープを追加で頼んだ。
ほどなく運ばれてきた料理がテーブルを彩る。
煮込みの野菜は柔らかく、香草の香りが鼻をくすぐる。
ルナフィエラがひと口含むと、思わず笑みが浮かんだ。
「……美味しい……」
その小さな声に、4人は自然と視線を合わせ、どこか誇らしげな笑みを浮かべる。
穏やかな昼食のひとときは、旅の緊張をほんの少し和らげてくれた。
食事を終えると、ユリウスがルナフィエラに視線を向ける。
「午後は……また図書館に戻るかい?」
問いかけに、ルナフィエラは少し考えてから、首を横に振った。
彼女の瞳に映るのは、外の明るい街並み。
「……ここに来るのは、最後かもしれないから。もっと……色んなところを見てみたい…かな」
その言葉にユリウスは目を細め、軽く頷いた。
「わかった。君の望むままに」
他の3人も異論はなく、それぞれ笑みを浮かべながらうなずく。
一行は、再び街の散策へと足を向けることになった。
午後の街は陽光にきらめき、石畳を行き交う人々のざわめきが活気に満ちていた。
市場から少し外れ、彼らは細工物の並ぶ通りへと足を運ぶ。
銀細工の指輪や繊細なガラスの置物、柔らかな布を使ったストールや髪飾り――。
ルナフィエラの瞳は、ひとつひとつに引き寄せられるように輝きを増していった。
「……綺麗……」
彼女が足を止めるたび、ヴィクトルが値段を確認し、フィンは「ルナに似合う!」と目を輝かせる。
シグは周囲を警戒しながらも視線を外さず、ユリウスは背後から軽く腰に手を添え、歩調を合わせていた。
やがて立ち寄った書店では、ルナフィエラは少し迷った末、数冊を手に取った。
旅の間にも読めそうな本を大事そうに抱える姿に、4人は自然と微笑む。
その帰り道――ふと彼女の視線が店先で止まった。
そこに並んでいたのは、大きなぬいぐるみ。
ふわふわの毛並みに大きなリボンが結ばれ、抱きしめてほしそうに佇んでいる。
(……かわいい……)
思わず足が止まり、瞳が吸い寄せられる。
けれどすぐに瞬きをして視線を逸らした。
(……だめ。今は旅の途中だし、荷物になるだけ……)
わかっている。
この先には目的地があり、その後は古城に戻る旅も待っている。
心惹かれる気持ちをぎゅっと胸の奥にしまい込み、ルナフィエラはそっと背を向けた。
一通りの散策を終えた夕暮れ、彼女は心地よい疲れを覚えていた。
「今日も……楽しかった」
小さな呟きに、仲間たちの笑顔が返る。
満足げに笑みを浮かべながら、ルナフィエラは「明日のために早めに休もう」と提案し、一行は宿へと戻っていった。
ベッドに腰掛けたルナフィエラは本を抱きながら小さく息をついた。
瞼は重そうに揺れ、表情には充実感と、ほんの少しの名残惜しさが滲んでいる。
(……あのぬいぐるみ、かわいかったな……でも……)
胸の奥に押し込めた思いを、彼女自身は誰にも悟らせていないつもりだった。
だが――その表情を見逃す者は、やはりいなかった。
ユリウスとヴィクトルは、互いに視線を交わすことなく、それぞれの胸中で同じことを思っていた。
(……あの時の目の輝き……君が欲しいと思ったのなら、叶えない理由はない)とユリウス。
(……ルナ様の笑顔のためなら、荷物など些細な問題に過ぎません)とヴィクトル。
夕食前、ユリウスが「少し買い忘れがあった」と口にすれば、ヴィクトルも自然に頷き、共に宿を出る。
2人の歩みは迷いなく、ぬいぐるみを見た店へと向かっていた。
「やっぱり!」
背後から元気な声が響き、振り返ればフィンが駆け寄ってきた。
頬を緩ませ、息を弾ませながら並ぶ。
「僕も行く! あのぬいぐるみ、ルナに似合うと思ったんだ!」
ユリウスは小さくため息をつき、ヴィクトルは苦笑する。
しかし止める気は誰にもなかった。
(……気づいていたか、やはり)
シグは、無言でルナフィエラのそばに残り守る。
あの無骨な戦士も、彼女の瞳に映った切なげな揺らぎを見逃してはいなかった。
こうして3人は足早に石畳を進み、目指す店へと向かう。
橙色の夕日が街を染める中、その表情には同じ決意が宿っていた。
「……あれを、必ず彼女に渡そう」
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