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第1章「幼少期~小学生の日々」
第27話「麗衣お姉ちゃんと、薄れゆく恋人の面影」
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そんなある日、俺は麗衣さんのことを考えてしまっていた。彼女のことを考えると、体が熱くなってしまう。今の俺の状況的に、彼女との接触は俺にとって毒になるのでは? とも思った。
だけどどうしても声が聴きたくなった。だから、思い切って彼女から貰った紙に書かれていた番号に電話を掛けることにした。
「もしもし……あ、あの僕です。雄飛です」
『あ! 雄飛くん久しぶりね。元気にしてた? やっと電話してくれた』
と麗衣さんが優しい声で答える。その声を聞いただけで、俺の心は温かいものに包まれるような気持ちになった。
「れ、麗衣さんの声が聴きたいなって……。あ、あのっ! 麗衣さんは今どうしてますか!?」
俺はつい早口になってしまう。
『ふふっ、ありがとう。私は変わらず元気よ』
「そ……そうですか」
俺はホッとした。声も元気そうで良かった……!
他愛の無い話で盛り上がる俺たち。ただ、彼女の声を聴いていると幸せになるのと同時に、やはり体が疼くのを感じる。耳を通して脳に染み込んでくるような甘い響き。俺は思わず口をつぐむ。
『どうかしたの? 雄飛くん?』
麗衣さんが心配そうに聞いてきたので、俺は慌てて答えた。
「い、いえ!何でも無いです!」と誤魔化すように叫ぶ俺だったが、心臓の音がバクバクと脈打っているのがわかる。
『そう? なら良いんだけど……』
と麗衣さんはまだ心配そうな様子だ。そんな彼女の声を聞いていると、また体が熱を持ち始めるのを感じ、必死に心を落ち着け、なんとか会話を続けた。
その日以降、夜に彼女と電話で話をするのが日課になった。
母さんや華怜にバレないように、どちらかがお風呂に入っている時に自室で電話をするか、逆に俺が入浴するタイミングで電話を掛けた。
母さんが緊急時だからと持たせてくれた携帯電話のおかげで、どこにいても電話をすることができる。
彼女と会話している間は夢見心地で、耳が幸せとはこの事か、と思うくらい楽しい時間だった。
だけど同時に興奮が強くなり、そんな日々が続くうちに、俺はどんどん麗衣さんのことしか考えられなくなっていた。
ある日、電話越しの会話の最中で麗衣さんが切り出した。
『ねぇ、雄飛くん。今度うちに来てみない?』と……。
「えっ?いいんですか?」
俺は驚いて聞き返す。麗衣さんは悪戯っぽく笑って続けた。
『ふふっ、実は前から誘おうと思ってたんだけどね。私、ゲームも好きだから一緒に遊ばない? 最近は物騒だけど、こんなときだからこそ弟みたいな雄飛くんと一緒にいたら癒されるだろうなって……』
「は、はいっ!もちろん!」
俺は即答した。麗衣さんの家に行けるなんて夢みたいだ! 俺は完全に舞い上がってしまっていた。
『じゃあ決まりね! 3日後、楽しみにしてるわ』と麗衣さんが嬉しそうに言うので、俺も嬉しくなる。
それからしばらく雑談をした後、俺は電話を切った。そしてベッドに横になって考える。
(麗衣さん……本当に優しいな)
俺は彼女への想いを募らせる。これは恋……なのだろうか……。その時、ふと胸を激しい痛みが襲った。
「そうだ、俺は七海を……」
前世で結ばれるはずだった大切な彼女、七海のことを思い出したのだ。
『年齢を重ねていくとね、だんだんと過去の記憶が薄れてくるのよ』
園児の時に華怜に言われた言葉を思い出す。
そんな……と、思いながらもだんだんと七海の顔も声も薄っすらとしか思い出せなくなってきていることに気付く俺。
(嫌だ……。俺は絶対に七海を見つけ出すって、そう決めたんだ)
俺は自分の頬をパンパンと叩くと、七海のことをメモしたノートを広げるのだった。
麗衣さん対するこの想い、これはきっと欲望なのだろう、そう自分に言い聞かせた。
だけどそれでも良いじゃないか。麗衣さんだって俺のことを弟みたいに思ってくれているみたいだし、それで十分だ。俺はさらに自分に言い聞かせる。……なにもやましいことをしようとしているんじゃない。
ただ会って、2人で話したいだけなんだ……だけなんだ……。
そして約束の日、俺は麗衣さんとの待ち合わせ場所である公園へと向かう。
母さんには学校に忘れ物を取りに行くと嘘をついてしまったが、特に怪しまれた様子はなかった。華怜は少し訝しげだったけど……。
公園に着くとそこには既に麗衣さんが待っていた。彼女は俺の姿を見つけると笑顔で手を振ってくれる。俺も嬉しくなって手を振り返した。
「雄飛くん!こっちよ!」
「はいっ!」
俺は急いで彼女の元へと駆け出す。そして彼女の前に立つとペコリと頭を下げた。
「麗衣さん……お久しぶり、です」
と俺が言うと彼女は微笑んだ。
「うん!久しぶりね。元気だった?」
俺は元気よく答える。すると彼女も嬉しそうに微笑んでくれた。その笑顔がとても魅力的でつい見とれてしまう。
彼女の服装は白のワンピースにカーディガンを羽織ったシンプルなものだったが、それが逆に彼女の美しさを引き立てていた。俺はその美しさに見惚れつつ、彼女に尋ねる。
「そ、その……今日は何して遊びます?」
と俺が聞くと麗衣さんは少し考え込んだ後答えた。
「……そうね~、一緒に買い物に行かない? そのあと、私の家でゲームでもしようよ。私ね、雄飛くんとなら楽しめそうって思ったの」
彼女は笑顔で言う。
「そっ……そうなんですか!? じゃあ早速行きましょう!」
俺は内心ガッツポーズをしながら答える。すると麗衣さんはクスクスと笑った。
「ふふっ!そんなに急がなくても大丈夫よ? 時間はたっぷりあるんだし、ゆっくりと楽しみましょ」
麗衣さんはそう言って歩き出す。俺もその後についていった。
それから俺たちはショッピングモールに行き、一緒に買い物をしたりゲームセンターに行ったりして楽しんだ。
その間も麗衣さんはずっと笑顔でいてくれたから、俺も嬉しかったし楽しかった。
お昼前に、俺は麗衣さんの家にお邪魔することになった。彼女の家は、俺の家からさほど遠くないところにあった。
「ここが私の家よ」
と言って彼女は一軒のマンションを指さす。そしてそのまま中に入っていったので、俺もそれに続く形でエントランスに入る。エレベーターに乗り込んで部屋の前まで行き、鍵を使ってドアを開けると俺を招き入れてくれた。俺は緊張しながら中に入る。
麗衣さんの父親は、彼女が小学生の時に亡くなり、母親は麗衣さんを捨てる形で家を出て行ったそうだ。
前世の俺の境遇に似ていて心の中で共感する部分があったけど、それでも今の麗衣さんは明るく元気に暮らしていることがわかって安心した。
「お邪魔します!」
俺は元気よく挨拶をして中に入ると、綺麗に清掃されており、可愛らしいグッズがたくさん並べらえていた。
麗衣さんは、俺に向かって微笑むと
「お昼ご飯作ってあげるから、適当に座っててね」
と言ってキッチンの方へ歩いて行った。
俺は言われた通りにソファに腰掛ける。なんだろう、いい匂いがする部屋だ。麗衣さんの部屋は、いかにも女の子の部屋という感じでとても居心地が良い。俺はしばらく部屋の中を見回していた。
すると麗衣さんが料理を持ってキッチンから出てくる。
「お待たせ!雄飛くん、サンドイッチとスープで良かったかしら?」
「はい!ありがとうございます!」
麗衣さんが作ってくれたサンドイッチはとても美味しかった。
食事を終えた後、俺たちはゲームを始めた。最初は格闘ゲームをしていたけど、麗衣さんがかなり上手で全然勝てなかった。俺が悔しがっていると彼女は微笑みながら言う。
「ふふっ、ゲームなら私結構得意なんだ」
「つ、強い……。で、でも次は負けません!」
「ふふっ、頑張ってね」
その後も色々なゲームをやったが、どれも惨敗だった。でも麗衣さんと一緒なら何をしても楽しいし嬉しい。
「私、強いでしょ? もし私に勝てたら、そうだなぁ……。雄飛くんのお願い、なんでも1個聞いてあげる!」
「ほ、本当ですか!?」
と俺はつい大声を出してしまう。そんな俺を見て彼女はクスクスと笑った。
「うん、もちろん本当よ」
そう言って笑う麗衣さんはすごく綺麗だった。俺はゴクリと唾を飲み込むと覚悟を決めてコントローラーを握り直した。
そして数時間後……。
「やった!勝った!!」
ついに麗衣さんに勝つことができた。俺は嬉しさのあまり、思わずガッツポーズをする。
「ふぅ……負けちゃったかぁ」
と彼女は少し悔しそうに言った後、俺の方を向いて微笑む。
「約束通り、私にできることならなんでも聞いてあげる。雄飛くんは何をしてほしい?」
「えっと……じゃあ、その……」
俺は少し照れながら言う。
「……麗衣さん……! お、お……おっ……」
「うん? おっ?」
麗衣さんは首をかしげる。
「お……おっ……お姉ちゃんって呼んでもいいですか!?」
あ、危ない……欲に任せて最低なお願いをするところだった。
「あら、そんなことでいいの? もちろんいいわよ。雄飛くんみたいな可愛い弟ができて嬉しいわ。いい子いい子♪」
そう言って彼女は俺を抱きしめて、頭を撫でてくれた。あぁ、幸せすぎる……。俺は彼女の胸に顔を埋めて甘い香りに包まれる。
「あっ!……ご、ごめんね!苦しかった?」
と麗衣さんは慌てて俺から離れようとした。でも俺は彼女の腰に腕を回して引き止める。
「麗衣お姉ちゃん……」
そう言ってもう一度顔を埋めると彼女は再び優しく抱きしめてくれた。
もう少しそのままでも良かったけど、これ以上すると我慢できなくなる。俺は名残惜しさを感じながらも彼女から離れた。
それからしばらくゲームや雑談をして、夕方になったので家に帰ることにした。
「また遊びに来てね。待ってるから」
「うん、絶対来るよ、お姉ちゃん!」
と俺は元気よく答える。玄関まで見送りに来てくれた麗衣さんに手を振って別れ、俺は帰路に着くのだった。
それからも俺は、麗衣お姉ちゃんと毎日のように電話して、週に1度彼女の家に遊びに行くようになった。
麗衣お姉ちゃんは、本当に優しくて面白くて素敵な人だった。でもそんな日々が続くうちに、俺の中の欲望がどんどん大きくなっていくのを感じる……。
そして……。
七海のことを覚えていようと思っていても、様々なものが彼女との思い出を上書きしていく。
このままだと俺は……。
だけどどうしても声が聴きたくなった。だから、思い切って彼女から貰った紙に書かれていた番号に電話を掛けることにした。
「もしもし……あ、あの僕です。雄飛です」
『あ! 雄飛くん久しぶりね。元気にしてた? やっと電話してくれた』
と麗衣さんが優しい声で答える。その声を聞いただけで、俺の心は温かいものに包まれるような気持ちになった。
「れ、麗衣さんの声が聴きたいなって……。あ、あのっ! 麗衣さんは今どうしてますか!?」
俺はつい早口になってしまう。
『ふふっ、ありがとう。私は変わらず元気よ』
「そ……そうですか」
俺はホッとした。声も元気そうで良かった……!
他愛の無い話で盛り上がる俺たち。ただ、彼女の声を聴いていると幸せになるのと同時に、やはり体が疼くのを感じる。耳を通して脳に染み込んでくるような甘い響き。俺は思わず口をつぐむ。
『どうかしたの? 雄飛くん?』
麗衣さんが心配そうに聞いてきたので、俺は慌てて答えた。
「い、いえ!何でも無いです!」と誤魔化すように叫ぶ俺だったが、心臓の音がバクバクと脈打っているのがわかる。
『そう? なら良いんだけど……』
と麗衣さんはまだ心配そうな様子だ。そんな彼女の声を聞いていると、また体が熱を持ち始めるのを感じ、必死に心を落ち着け、なんとか会話を続けた。
その日以降、夜に彼女と電話で話をするのが日課になった。
母さんや華怜にバレないように、どちらかがお風呂に入っている時に自室で電話をするか、逆に俺が入浴するタイミングで電話を掛けた。
母さんが緊急時だからと持たせてくれた携帯電話のおかげで、どこにいても電話をすることができる。
彼女と会話している間は夢見心地で、耳が幸せとはこの事か、と思うくらい楽しい時間だった。
だけど同時に興奮が強くなり、そんな日々が続くうちに、俺はどんどん麗衣さんのことしか考えられなくなっていた。
ある日、電話越しの会話の最中で麗衣さんが切り出した。
『ねぇ、雄飛くん。今度うちに来てみない?』と……。
「えっ?いいんですか?」
俺は驚いて聞き返す。麗衣さんは悪戯っぽく笑って続けた。
『ふふっ、実は前から誘おうと思ってたんだけどね。私、ゲームも好きだから一緒に遊ばない? 最近は物騒だけど、こんなときだからこそ弟みたいな雄飛くんと一緒にいたら癒されるだろうなって……』
「は、はいっ!もちろん!」
俺は即答した。麗衣さんの家に行けるなんて夢みたいだ! 俺は完全に舞い上がってしまっていた。
『じゃあ決まりね! 3日後、楽しみにしてるわ』と麗衣さんが嬉しそうに言うので、俺も嬉しくなる。
それからしばらく雑談をした後、俺は電話を切った。そしてベッドに横になって考える。
(麗衣さん……本当に優しいな)
俺は彼女への想いを募らせる。これは恋……なのだろうか……。その時、ふと胸を激しい痛みが襲った。
「そうだ、俺は七海を……」
前世で結ばれるはずだった大切な彼女、七海のことを思い出したのだ。
『年齢を重ねていくとね、だんだんと過去の記憶が薄れてくるのよ』
園児の時に華怜に言われた言葉を思い出す。
そんな……と、思いながらもだんだんと七海の顔も声も薄っすらとしか思い出せなくなってきていることに気付く俺。
(嫌だ……。俺は絶対に七海を見つけ出すって、そう決めたんだ)
俺は自分の頬をパンパンと叩くと、七海のことをメモしたノートを広げるのだった。
麗衣さん対するこの想い、これはきっと欲望なのだろう、そう自分に言い聞かせた。
だけどそれでも良いじゃないか。麗衣さんだって俺のことを弟みたいに思ってくれているみたいだし、それで十分だ。俺はさらに自分に言い聞かせる。……なにもやましいことをしようとしているんじゃない。
ただ会って、2人で話したいだけなんだ……だけなんだ……。
そして約束の日、俺は麗衣さんとの待ち合わせ場所である公園へと向かう。
母さんには学校に忘れ物を取りに行くと嘘をついてしまったが、特に怪しまれた様子はなかった。華怜は少し訝しげだったけど……。
公園に着くとそこには既に麗衣さんが待っていた。彼女は俺の姿を見つけると笑顔で手を振ってくれる。俺も嬉しくなって手を振り返した。
「雄飛くん!こっちよ!」
「はいっ!」
俺は急いで彼女の元へと駆け出す。そして彼女の前に立つとペコリと頭を下げた。
「麗衣さん……お久しぶり、です」
と俺が言うと彼女は微笑んだ。
「うん!久しぶりね。元気だった?」
俺は元気よく答える。すると彼女も嬉しそうに微笑んでくれた。その笑顔がとても魅力的でつい見とれてしまう。
彼女の服装は白のワンピースにカーディガンを羽織ったシンプルなものだったが、それが逆に彼女の美しさを引き立てていた。俺はその美しさに見惚れつつ、彼女に尋ねる。
「そ、その……今日は何して遊びます?」
と俺が聞くと麗衣さんは少し考え込んだ後答えた。
「……そうね~、一緒に買い物に行かない? そのあと、私の家でゲームでもしようよ。私ね、雄飛くんとなら楽しめそうって思ったの」
彼女は笑顔で言う。
「そっ……そうなんですか!? じゃあ早速行きましょう!」
俺は内心ガッツポーズをしながら答える。すると麗衣さんはクスクスと笑った。
「ふふっ!そんなに急がなくても大丈夫よ? 時間はたっぷりあるんだし、ゆっくりと楽しみましょ」
麗衣さんはそう言って歩き出す。俺もその後についていった。
それから俺たちはショッピングモールに行き、一緒に買い物をしたりゲームセンターに行ったりして楽しんだ。
その間も麗衣さんはずっと笑顔でいてくれたから、俺も嬉しかったし楽しかった。
お昼前に、俺は麗衣さんの家にお邪魔することになった。彼女の家は、俺の家からさほど遠くないところにあった。
「ここが私の家よ」
と言って彼女は一軒のマンションを指さす。そしてそのまま中に入っていったので、俺もそれに続く形でエントランスに入る。エレベーターに乗り込んで部屋の前まで行き、鍵を使ってドアを開けると俺を招き入れてくれた。俺は緊張しながら中に入る。
麗衣さんの父親は、彼女が小学生の時に亡くなり、母親は麗衣さんを捨てる形で家を出て行ったそうだ。
前世の俺の境遇に似ていて心の中で共感する部分があったけど、それでも今の麗衣さんは明るく元気に暮らしていることがわかって安心した。
「お邪魔します!」
俺は元気よく挨拶をして中に入ると、綺麗に清掃されており、可愛らしいグッズがたくさん並べらえていた。
麗衣さんは、俺に向かって微笑むと
「お昼ご飯作ってあげるから、適当に座っててね」
と言ってキッチンの方へ歩いて行った。
俺は言われた通りにソファに腰掛ける。なんだろう、いい匂いがする部屋だ。麗衣さんの部屋は、いかにも女の子の部屋という感じでとても居心地が良い。俺はしばらく部屋の中を見回していた。
すると麗衣さんが料理を持ってキッチンから出てくる。
「お待たせ!雄飛くん、サンドイッチとスープで良かったかしら?」
「はい!ありがとうございます!」
麗衣さんが作ってくれたサンドイッチはとても美味しかった。
食事を終えた後、俺たちはゲームを始めた。最初は格闘ゲームをしていたけど、麗衣さんがかなり上手で全然勝てなかった。俺が悔しがっていると彼女は微笑みながら言う。
「ふふっ、ゲームなら私結構得意なんだ」
「つ、強い……。で、でも次は負けません!」
「ふふっ、頑張ってね」
その後も色々なゲームをやったが、どれも惨敗だった。でも麗衣さんと一緒なら何をしても楽しいし嬉しい。
「私、強いでしょ? もし私に勝てたら、そうだなぁ……。雄飛くんのお願い、なんでも1個聞いてあげる!」
「ほ、本当ですか!?」
と俺はつい大声を出してしまう。そんな俺を見て彼女はクスクスと笑った。
「うん、もちろん本当よ」
そう言って笑う麗衣さんはすごく綺麗だった。俺はゴクリと唾を飲み込むと覚悟を決めてコントローラーを握り直した。
そして数時間後……。
「やった!勝った!!」
ついに麗衣さんに勝つことができた。俺は嬉しさのあまり、思わずガッツポーズをする。
「ふぅ……負けちゃったかぁ」
と彼女は少し悔しそうに言った後、俺の方を向いて微笑む。
「約束通り、私にできることならなんでも聞いてあげる。雄飛くんは何をしてほしい?」
「えっと……じゃあ、その……」
俺は少し照れながら言う。
「……麗衣さん……! お、お……おっ……」
「うん? おっ?」
麗衣さんは首をかしげる。
「お……おっ……お姉ちゃんって呼んでもいいですか!?」
あ、危ない……欲に任せて最低なお願いをするところだった。
「あら、そんなことでいいの? もちろんいいわよ。雄飛くんみたいな可愛い弟ができて嬉しいわ。いい子いい子♪」
そう言って彼女は俺を抱きしめて、頭を撫でてくれた。あぁ、幸せすぎる……。俺は彼女の胸に顔を埋めて甘い香りに包まれる。
「あっ!……ご、ごめんね!苦しかった?」
と麗衣さんは慌てて俺から離れようとした。でも俺は彼女の腰に腕を回して引き止める。
「麗衣お姉ちゃん……」
そう言ってもう一度顔を埋めると彼女は再び優しく抱きしめてくれた。
もう少しそのままでも良かったけど、これ以上すると我慢できなくなる。俺は名残惜しさを感じながらも彼女から離れた。
それからしばらくゲームや雑談をして、夕方になったので家に帰ることにした。
「また遊びに来てね。待ってるから」
「うん、絶対来るよ、お姉ちゃん!」
と俺は元気よく答える。玄関まで見送りに来てくれた麗衣さんに手を振って別れ、俺は帰路に着くのだった。
それからも俺は、麗衣お姉ちゃんと毎日のように電話して、週に1度彼女の家に遊びに行くようになった。
麗衣お姉ちゃんは、本当に優しくて面白くて素敵な人だった。でもそんな日々が続くうちに、俺の中の欲望がどんどん大きくなっていくのを感じる……。
そして……。
七海のことを覚えていようと思っていても、様々なものが彼女との思い出を上書きしていく。
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