碧空仰ぐ追吹曲

郁透

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第1章 空、降りて

第1話

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遙か昔、この世界は、空から棄てられた。


……らしい。それは幼い頃に身の回りの老若男女から叩き込まれた「歴史」であり「伝承」であり、語る者によって仔細の異なる「昔話」であり。要するに、不確かな物語である。
同時にそれは、政(まつりごと)でも絡んでいたのか、誰もが教育を受ける段階である程度身につけさせられる教養であり、詰まるところ「常識」でもある。辿る文献が違えばなぞる物語こそ変わるものの、結局は、皆の知識として脳に染みついている昔話なのだ。
元々一つだった世界は、争いの末に、二つに分け隔たれた。一方の勢力は大地に投げ落とされ、一方の勢力は空の上に取り残された。
空と水晶が、二つの世界と文明を分かつ。
数百年、否、数千年も前にも遡る、途方もない創世記。
それをどこまで「歴史」と呼べば良いのか、定かではない。話の規模が大きすぎて、最早歴史を超えて、「神話」と呼ぶべきなのでは。そう語る者たちも少なくない。曖昧模糊な物語は、身近に捉えるにはどうも難すぎる。

それでも、一つだけ確かな事がある。

窓の外。太陽高く昇った空は澄み切っていて、青が果てしなく広がっている。
僅かに太陽光が反射し、艶を帯びる空。まるで、鏡か鉱石のような光沢だ。
「空晶」──天と地を分かつそれがある限り、あの空は虚構だと、人々は口にする。
だが、他人が何を連ねようと構わない。古臭い昔話も、世界の成り立ちも、自分にはどうでもいい。
誰が何と言おうと。そこに在る自由は本物だと、ルシェッドは思うのである。


騒々しい受付ロビーに、女性のアナウンスが響いている。
しかし、殆どの者たちは彼女の努力の甲斐なく、それを聞く気は毛頭ないらしく、がやがやと広い空間を賑わせている。
壁際に並べられたポールに沿って列を成す旅行客たちは、少しずつながらも前へと進んでいる。進んでいるとは言えども、数分に一度、一、二歩前進できる程度だ。各国の主要な航空路を結ぶこの空港は、訪れるたびに人々が犇めいているが、今日は一段と混雑している。
……どこかの国で祭典でもあったっけ。なかなか前に進まない列を眺めるのもそろそろ飽きてきて、真横の窓枠の向こうを眺めながら、ルシェッドはぼうと思った。東に二つ渡った国のとある都市は豊穣祭の真っ只中だが、国際線どころか、空港の一つも置かれていない。南に下り、海を渡った遠くの国では、新たな国王の即位式があるらしいが、執り行われるのは今から数時間後で、見物客はとうに現地入りしているはずである。結局、この賑わいは単に自分の運が無かっただけなのだろうという結論に至る。
透明な窓ガラスを通して見えるのは、薄青い空。雲一つない今日は、絶好の旅日和だ。
「お次の方、どうぞー」ハッと気づくと、前に築かれていたはずの列は、既に消えていた。数個設けられたカウンターのうちの一つから、受付嬢が手を挙げて自分を呼んでいる。
背後から伝わってくる冷たい視線から逃げるように、ルシェッドは受付の方へと小走りに向かった。列を詰まらせた客にも対応は変えず、濃紺のタイを胸元に身につけた受付嬢は、マニュアルどおりの微笑みを此方に向ける。
ルシェッドは肩から落ちかけている荷物を背負い直しつつ、口を開いた。
「アルバレーノ帝国、帝都アルテ行き、大型、大人一枚で」
「……帝都アルテ、でよろしいでしょうか?」
受付嬢の穏やかな笑みが、少しだけ引き攣った。アルテの情勢を考えると、彼女の反応も無理はない。しかし、目的地が決まっている以上否定しても仕方がないので、ルシェッドは涼しい顔で言葉を返す。
「大丈夫です」
「……かしこまりました。8,000ティガルになります。発券いたしますので、少々お待ちください」
ルシェッドがチケット代をカウンターに置くと、程なくして、光沢のある手のひら大の厚紙が、彼の前に用意された。
「お待たせいたしました、こちらお確かめください。アルバレーノ帝国、帝都アルテ行き、大型空晶艇搭乗券、ですね。荷物検査を行いますので、入口向かって左手、2番ゲートからお入りください。離陸時刻まで約30分程になりますので、お早めの移動をお願いいたします」
良い旅を。そう締めくくると、受付嬢は丁寧に頭を下げる。ルシェッドは軽く礼を述べると、カウンターに置かれたチケットを手に取って、彼女の案内に従い、2番ゲートへと直行した。旅の準備は万全だ。久々の空の旅。躍る心を押さえつつ、ポケットの中のチケットを握りしめる。
受付ロビーに響くアナウンスが、ゲートをくぐるルシェッドを送り出す。

「──メイブ空港を御利用の皆様に申し上げます。間もなく、2番ゲートより、アルバレーノ帝国、帝都アルテ行きの便が出発いたします。搭乗予定のお客様は、至急ゲートをお通りくださいますよう、お願いいたします。──皆様の旅路が良いものとなりますことを、社員一同、心よりお祈り申し上げます」

*****

旅客機として運行している空晶艇は、大きく二種類に分けられる。
一つは、座席のみが設けられたキャビンとコックピットで構成された、中型空晶艇である。乗客の移動手段として特化した機体で、座席のみをあつらえているがために、機体が飛んでいる最中に乗客ができることと言えば、飲食か、窓から外の景色を眺めることくらいだ。サービスもそれなりだが、その分安価で、近場への旅行者や労働者に用いられることが多い。
そしてもう一つが、大型空晶艇である。中型と同じ空晶艇ではあるものの、殆ど別物と言っても過言ではない。乗客一人ひとりに個室があてがわれ、広々としたラウンジにはカフェやバー、土産物屋も設けられている。ラウンジの壁の一画はガラス製で、屋内からでも青と白に彩られた空の景色を一望できる。
最も特筆すべきは、展望デッキだ。ラウンジから繋がる中央階段を上った先、駆動式の扉から屋外に出ると、心地よい風と共に、広大な空の景色が旅行者を出迎える。頭上一面を覆う透明な空晶は、太陽の光を浴び、地面から仰ぎ見るよりも艶と輝きを帯びて見える。果てなく続く青は、絶景と表現しても尚足りない美しさに満ちている。
間近に迫る空。肌を撫でる涼やかな風。青に溶ける感覚──これこそ、空の旅の醍醐味だとルシェッドは思っている。充実したサービス故に、小型空晶艇よりも少々値は張るが、遠隔地への移動時や、時間と金銭に余裕がある時には、可能な限り大型空晶艇を利用することにしている。
空を漂う数時間。仕事や時間に追われているわけでもない。それならば、壁の内側から手の届かない青色を眺めるだけなんて、勿体ないし、興に欠けるじゃないか。
今日もまた、ルシェッドは数枚の紙幣と引き換えに、空の旅を堪能するのである。

大きな荷物を客室に置き、ルシェッドはラウンジへと続く通路を散歩がてらに歩いていた。
すれ違うのは、単身旅行者と、整った身なりながらも顔色に少々疲労を載せた労働者、と思しき客たちばかりである。少なくとも、和気藹々とした空気を纏う家族連れの旅行客は、殆ど見かけない。
これが他の便ならば、機内も賑わっていたことだろう。殺風景とまでは言わないまでも、普段と比べると、機内はどの場所も閑散としている。ただ、行き先を考えると、それも仕方ないと言える。
到着まで数時間。小窓から見える空は快晴。この後はどうしようか。展望デッキに直行するのも悪くはないが、どうせ時間があるのだから、しばらくラウンジでのんびりと過ごすのも一つの手だ。真昼を跨ぐ移動のため、いずれにせよ、昼食は空晶艇上で取ることになる。
行き先を足に任せてぼうと考えていたところで、ふと、通路脇のドリンクバーが目に入る。
ちょうど、男性客が茶色い液体の入ったカップをカウンターから受け取り、立ち去ろうとしているところだった。「ごゆっくりどうぞ」と爽やかな声で送り出した従業員の青年は、後続の客が居ないのを良いことに、客の後ろ姿が角を曲がるや否や、緩慢にカウンターへ凭れかかる。
ルシェッドがカウンターへと近づくと、青年は慌てて襟元を正し、晴れやかな笑みを此方へと向けた。
「いらっしゃいま……って、ルシェッド?」
マニュアル上の定型句は急に横道へと逸れ、青年は驚いたように目を瞬かせる。が、それも一瞬のことで、カウンターから身を乗り出し、ぱあと表情を輝かせる。
「びっくりした。まさかこんなところで会えるとは思ってもいなかったぜ」
「それはこっちの台詞。前は空港の売店に居ただろ」
「配属先が変わったんだよ。ま、こっちの方が「コレ」も高いし、オレとしては願ったり叶ったりだけど」
人差し指と親指で小さく丸を作り、にいと口元を引き上げる。声色も顔つきも、仕事用から完全にプライベートのそれへと戻っている。
青年の名は、アイムと言う。数年前に仕事で関わりを持って以来、ルシェッドとは懇意の仲である青年だ。空晶艇の出発地である都市メイブよりも南方の街に住んでおり、以前はその街の空港でアルバイトをしていたはずだが、どうやら勤務先が変わったらしい。
通路は相変わらず閑散としている。ドリンクを求める客が来る気配はない。ルシェッドは肘を付いてカウンターに身を預けた。
「どうよ、調子は」
「んー、まあ、ぼちぼち?少なくとも、今日はかなり暇してるぜ」
「今時アルテに旅行しようとするのなんて、物好きか野次馬くらいだもんな」
「成程?じゃあお前は、物好き1名、と」
「なわけねぇだろ、仕事だ仕事」
こいつ分かってて言ってる。ルシェッドの視線も構わず、アイムはからからと笑った。同時に、他の従業員の目を気にし始めたのか、既に綺麗なコップを暇な手で磨き始める。
「あんな情勢のアルテまで、わざわざ出向かねェといけない仕事って。お前また面倒なの引き受けたろ」
「仕方ないだろ。めちゃくちゃ頭下げられるわ、前金も押しつけられるわで……断り切れなかったんだ」
数日前の老婦人とのやりとりを思い出し、ルシェッドは溜息をつく。

それは、彼の元に思いがけず舞い込んだ依頼だった。
フリーの便利屋であるルシェッドは、ギルドには属さず、旅先で仕事とその対価を得て、生計を立てている。メイブに滞在していたのも、直前の仕事先がたまたまそこだったというだけで、仕事の報告を終えて明日からどうするか、一般向けに公開されているリクエストボードでも見に行くかと考えあぐねていたところだった。
そんな折だった。宿屋に、老婦人の付き人がやって来たのは。
近辺の宿屋を総当たりするという気概と、「もしこの外見の客が居たら、然るべき方法で依頼をしたいので一報を」という丁寧と突飛を足して二で割ったような伝言を各宿屋に残していった豪胆さ。近隣に宿泊していると目星を付けていたのなら、ギルドに仲介を頼めば良いはずなのに、それすらしないとは、どれ程強引な客なのだろう。身構えたものの、実際に宿屋を訪れたのは、ジャケットとスラックスで身なりを整えた、物腰柔らかな初老の男性だった。どうやら、便利屋に依頼するという経験が皆無だったようで、ギルドを使うという発想がそもそも無かったらしい。
──昨日貴方をお見かけした主が、仕事を頼みたいと言っている。屋敷まで来てくれないか。付き人の穏やかな語り口とは裏腹に、言葉尻には有無を言わせぬ響きがあり、まあまずは話を聞いてからと付き人の案内の元に屋敷を訪れてみれば、そこはメイブ一と言っても過言ではない立派な館であった。手入れの行き届いた広大な庭園を足下に気をつけながら通り抜け、自分と付き人の足音のみが響く長い廊下を進み、客間に通される。一旦部屋を退出した付き人は、数分後、老婦人と連れだって姿を現した。
付き人が主に似るのか、老婦人もまた、柔らかな雰囲気を纏っていた。しかし、付き人の豪胆さも彼女に似たのか、老婦人が口にした話もまた、単純ながらも大変癖のある内容だった。
依頼の内容自体はまだ良かった。問題は、その仕事先である。
彼女が仕事先として提示したアルバレーノ帝国と言えば、皇室の為政に反発する国民たちが各地で暴動を起こし、たびたび新聞の紙面を賑わせている大国だ。暴動の鎮圧と国民の締付けを図る皇室は、膝元の帝都アルテにおいて特に支配を強めている。
その、帝都アルテでの仕事である。当然、ルシェッドも最初は難色を示した。ただでさえ遠方なのに、荒れた都で仕事をするなんて、自分の身の安全にも関わる上、そもそも依頼を完遂できる保証が無い。
しかし、いくら理由を並べ立てても尚、老婦人は頭を下げ続けた。金額も提示していないのに、袋に詰まった前金を付き人に持ってこさせ、湯気の立ち上るティーカップの隣に差し出した。挙げ句の果てに、「期限も設けない。万が一達成できなくても構わないし、前金の返金も要らない。引き受けて、行ってくれるという気持ちだけで十分」と、依頼の根本を覆す発言が飛び出す始末である。
──結果、ルシェッドは折れた。細枝を手折るが如く、ぽっきりと。
直ぐさま脳内で組み立てた、今後数日の動きとリスク管理。応諾の意を口にした後は速かった。正式に依頼主と被雇用者として契約を交わし、今後のスケジュールや留意点等について説明した。
そして一日半の準備の後、荷物を纏め、空港を訪れ、現在に至る。

厄介な仕事を引き受けた自覚はある。根負けした自らの胆力の無さに、ルシェッドは項垂れる。対するアイムは、グラスを目線の高さまで上げて磨き残しを確認しつつ、小さく笑い声を立てた。
「ま、お前らしいっちゃらしいけどな」
「何それ」
「別に?」
含みのある言い方をするアイムに、何となく腑に落ちない気分になったが、言葉の意を問い詰めることはできなかった。「そういや話は変わるんだけど」と、彼が話題を切り替えたからだ。
アイムは、人目を窺うようにキョロキョロと視線を動かすと、耳を貸せと手招きする。脈絡のない盗人のような素振りを不審に思いつつも、ルシェッドがカウンターに身を乗り出すと、アイムは興奮堪らずといった面持ちでルシェッドの耳に口元を寄せた。
「……オレさ、とうとう手に入れちゃったんだよね」
「何を」
「……小型の、空晶艇……!」
「は!?」
思わずのけぞったルシェッドに、期待通りの反応だと言わんばかりに、アイムはにんまりと満足げな表情を浮かべる。
小型空晶艇。中型よりも機体はさらに小さく、シートの数はおよそ十にも満たない。業務用というよりは、俗に言うプライベートジェットとして用いられる機体だ。しかし、一般人の主要な移動手段は、専ら徒歩や馬車、船を初めとした陸路や海路で、空路だとしても、大抵は空港会社が所有する中型・大型空晶艇である。私用の空晶艇は、人々にとっては過ぎた高級品であり、一般家庭に普及しているとは言い難い。持っていたとしても、余程のマニアか、手段と目的が逆転した金持ちの道楽だろう。
そんな中、空晶艇乗りを目指していることを公言しているアイムは、確かに事あるごとに自分の空晶艇が欲しいと言っていた。
彼の美徳は、ぼんやりと夢物語を描き寝そべるばかりに留まらないところだ。勉強を重ね、実際に彼は小型空晶艇の操縦士免許を取得した。そこまではルシェッドも知っている。次に彼が成すべきは、店頭で札束を突き出すだけのはずだ──無論、数十にも及ぶ札束を、である。
彼が小型用の操縦士免許を取ったのは、正味半年前。ゆくゆくは大型空晶艇の操縦士を目指す彼は、引き続き中型空晶艇操縦士の免許を取るための勉強に励んでいる。つまり、日常生活と、勉強の合間に、アルバイトを詰め込んでいるわけだ。そのような状況下で、機体一つ購入できる程の大枚を、たった半年で稼げるとは到底思えない。
「手に入れたってお前、小型でも数百万ティガルはくだらないだろ」
「そりゃあ自力じゃまだ買えねェよ」
カップを後ろの戸棚にしまったアイムは、今度はカウンターの中をがさごそと漁っている。
「オレの爺ちゃんが昔、空晶艇乗りだったことは知ってるだろ?オレが空晶艇欲しがってるって話聞いて、昔自分が使ってたやつを譲ってくれたんだ。足腰弱って、自分じゃもう操縦できないからってさ」
「へぇ……」
ルシェッドは感嘆と驚きの入り混じった溜息を零す。あまりに出来過ぎた話だが、彼は見栄のために嘘を吐くような人間ではない。
「勿論、いつかは自分の金で空晶艇を買うつもりだよ。だから今の空晶艇は、操縦の練習も兼ねた、それまでの繋ぎ。……けど、一つ問題があってさ」
「問題?」
「旧型だからさ。維持費が余計に掛かるんだよ。燃料代も馬鹿にならないし。学校の受講料も当分掛かるし。要するにオレ、今物入りなわけ」
そう言いつつ、すっとカウンターの上に差し出されたメニュー表。
……買えってことか。唐突な販売促進活動に、ルシェッドは呆れた視線をアイムに向ける。
「お前固定給だろ」
「基本はな。ただ、売上げ良けりゃボーナス出んの。あ、オレのオススメはこれ。期間限定品」
涼しい顔で、太線で囲われたメニューの一画を指し示す。期間限定。そこまでは良い。他の商品と値段の桁が違うのだが。しかも商品名がやたらと長い。商品のラインナップは、コーヒーやフロートといった万人受けしそうなドリンクが中心だ。対して彼の指の先にあるのは、ホイップとカスタードとチョコレート、その他数多の果物がカップの中で一堂に会する、糖質の極みを追求したかのような代物である。
一口飲めば、瞬く間に喉の奥が甘ったるいクリームの沼と化すだろう。ルシェッドは軽く口元を押さえた。
「おれが甘いの得意じゃないの、知ってるだろ」
「ホイップ抜きもできるぞ」
「そういう問題じゃないんだよなぁ……」
メニューに指を滑らせ、「じゃあこれで」と、アイスコーヒーの字の上で指を止める。アイムは口を尖らせながらも、製氷機からカップに氷を入れ始めた。手先の器用さも相まって、手際よくドリンクを仕上げていく。
「はいお待ち。650ティガルな」
程なくして、カウンターに置かれたアイスコーヒー。焦げ茶に染まった透明な液体の中で、細かな氷が鈴のような音を立てる。
小銭袋から代金ぴったりに取り出した硬貨をカウンターに置き、代わりにコーヒーを手に取った。使い捨て容器の表面は、氷と液体に冷やされて結露し始めている。ストローを加えカップの中身を口に含むと、途端、芳醇な味わいが口いっぱいに広がった。爽やかな苦みに仄かに混ざる酸味が、味にいっそうの深みを持たせている。ここのアイスコーヒーは、いつ来ても安定のクオリティだ。
「いいなぁ……オレも喉渇いてきちまった」
「試飲ならいいんじゃないの?よく知らないけどさ」
適当な言葉を返しつつ、ルシェッドは軽く窓の外に視線をやった。
進行方向とは逆の方向に流れていく、真昼前の空の青。空晶艇は出発時刻に遅延もなく、今のところ予定通り運航している。
夕方にはアルテに到着する予定だが、空港で手荷物検査や身体検査に時間を取られ、解放される頃には夜になっているはずだ。つまり、仕事を始められるのは明日以降。
仕事の期限については、アルテの情勢も鑑みて、依頼主の提案に乗ることにした。無期限とは依頼の形として本来的ではないが、確約できない内容に首を縦に振ることはできない。何より、契約を反故にするわけにはいかない。
それでも、早めに依頼の完了を報告するに越したことはない。多く見積もっても五日間。観光に時間を割いたとしても、一週間あればメイブまで戻ることができる。
穏やかな、空の旅。いつもどおりの依頼と仕事。イレギュラーな事態など、起きようもない。
そう、思っていた。

──突如、轟音と共に機体が大きく揺れるまでは。

床が跳ねた。機体全体が撥条にでもなったかのように、激しく上下した。
カウンターから転がり落ちた飲みかけのコーヒーの容器が、蓋が外れて床に焦げ茶色の水溜まりを作る。扉が開け放たれた棚から、ドリンクの容器やストローの束が飛び出して、ばらばらと床に飛び散った。
咄嗟にカウンターにしがみついたルシェッドは、大きな揺れが収まったのを確認すると、ゆっくりと立ち上がった。揺れ自体はほんの数秒で収まったものの、未だふわふわと地面が動いているような感覚を覚える。ついでに、心臓の鼓動は鼓膜を蹂躙し続けている。
「何だ、今の……?」
まるで、地震に見舞われたかのような──しかし、ここは地面ではなく、空の上。地の揺れなど伝ってきようもない。じゃあこの機体自体が揺れたのか。天高くを覆う空晶以外、障害一つないはずのこの空の上で?通路の先のラウンジも騒がしい。そうだ、添乗員なら何か知っているのでは──と、目の前の彼も冷静に考えれば、アルバイトとはいえ添乗員の一人である。
と、脳が落ち着かないままカウンターの方を見てみれば、アイムの姿がない。まさか頭でも打って倒れているのか。慌ててカウンターの中を覗き込むと、アイムは屈んだまま、何やら耳に手を当てている。
「大丈夫か、アイ──」
声をかけ終わる前に、アイムはすくっと立ち上がった。五体満足。傷を作った様子もない。しかし、普段陽気な彼の顔面が、蒼白に染まっている。
「……ヤバいことになった」
震える声。それだけで、ただならぬ事態を想像させる。
「……展望デッキに、魔物が落ちてきた……!!」

人気のないラウンジを駆け抜ける。普段ならば人々の憩いの場であるはずのそこは、人気がない代わりに機体の備品や客の手荷物が散乱しており、人々の動揺が見て取れる。
「魔物が落ちてきたって、どういうことだよ!」
後方を走るアイムに、ルシェッドは背中越しに声を飛ばす。確かに空を飛行する魔物もいる。しかし、そうした魔物と接触しないよう、空晶艇は通常、魔物の生息域よりも相当高い位置で運行しているはずだ。
息が上がりつつも、アイムも負けじと声を張った。
「どうも、高い場所を飛びすぎたドジな魔物だったらしくてさ。勢いよく空晶にぶつかって、そのままこの空晶艇に落下してきたんだと」
「防護壁は?こういう時のためのモンだろ」
「……な!ホントにな!これ下手したら新聞沙汰なんだよなぁ!」
吐き捨てるように苦笑するアイム。偶然起きた不具合か、形骸化したメンテナンスの皺寄せか。どうやら、有事に展開されるはずの防護壁は、作動しなかったらしい。
理由と被害によっては、紙面の隅に掲載されるに留まらず、新聞の一面に躍り出て世間を賑わすことになってもおかしくはない。そうなれば、空港会社の上層部の人間が矢面に立つことになるが、無論、緊急事態の最中に居るルシェッドたちにとっては、どうでも良い問題である。
ラウンジから続く中央階段を駆け上がると、階段の出口、即ち展望デッキの入口に人だかりができていた。後部甲板への避難誘導に当たろうとするスタッフ。彼らの制止も聞かず、展望デッキの様子を覗き込もうとしている、客と書く野次馬たち。騒ぎ立てる客たちの頭で、デッキの様子は全く見えない。ルシェッドたちは客の間を分け入り、何とかデッキの様子を覗き込んだ。
デッキの中央に、人ではない何かが、うつ伏せに倒れていた。
それは、巨大な鳥のような、もしくは人食い蝙蝠のような。大人一人を容易に覆い隠せそうな程、大きな翼。光沢を帯びた濃紺の肢体。餌を啄むための嘴は、太く鋭い。
「……ガルーダだな」以前、仕事の最中に遭遇したことがある。彼らが生息しているのはもっと地上に近い場所のはずなので、アイムが「ドジ」と表していたのも、強ち間違いではないのかもしれない。
「ねえ、あれ死んでるよね?」
「すげぇ……あんな魔物初めて見た……」
「何あれこっえぇ!羽とか馬鹿デカすぎんでしょ!」
「ここは危険です!離れてください!」
翼をだらりと床に投げ出し、動く気配のないガルーダを前に、ざわざわとさざめく客たちと、それを制する添乗員。普段ならば恐怖の対象である存在が間も無くして絶命せんとする姿に、皆不安よりも興味が勝っているらしい。
──畏怖して逃げ惑うばかりで、その生態を間近で目にしたこともない人々が、魔物の生死の境を見極めることなどできようか。
刹那、勢いよく上半身を起こした魔物が、翼を大きく広げ、叫声を上げる。甲高い声は、デッキを揺らし、鼓膜を激しく震わせる。入口に集まった人々は、耳を塞いでその場に蹲る。
好奇は、一瞬にして混乱と化した。魔物が生きていると分かるや否や、階段を転がり落ちる勢いで逃げ出す者。助けを求め、側にいる者に縋り付く者。腰を抜かしてその場から動けない者。
「離れてください!」スタッフの声もいっそう危機感を帯びる。しかし、混乱に満ちた状況の中で、耳を貸す者はいない。
怒れるガルーダが、奇声と共に身を捩る。羽が起こした旋風が、デッキの柵をびりびりと震わせる。
このままでは、空晶艇に被害が及ぶ。空高く飛ぶ機体が激しく損傷した後に辿る運命など、考えたくもない。
ルシェッドは、ぐるりと周りを見回した。足元で尻餅をついているのは企業勤めと思しき芯の細い男。向こうで慌てふためいているのは、露出の多い揃いの服を着た若い男女。魔物とは無縁の一般人ばかりに見える。
休暇中の国の騎士とかが交ざっていりゃ良かったのになぁ。それか、民間の自警団。
「……アイム、ちょっとこれ持ってて」
「えっ、おい、ルシェッド!?」
頭の中でぼやいたところで、状況は変わらない。ルシェッドは貴重品を詰めた荷物をアイムに投げ渡すと、添乗員の小脇を擦り抜けて、展望デッキへと飛び込んだ。
──屋外へと出た瞬間、冷涼な風が顔面に吹き付け、一纏めにしたルシェッドの長い後ろ髪を舞い上げる。澄んだ空気で、一気に肺が満たされる。視界を埋め尽くす一帯の青の中に、景観を損なう異物が一つ。
蟲のような球体の目と、ルシェッドの金色の瞳が、ばちりとぶつかった。
「おいで。遊んでやるよ」

両手に握りしめた赤黒い棍を、目印だと言わんばかりに振り上げる。ガルーダの単純な脳には、それが挑発と映ったらしい。叫び声を上げながら一直線に此方へ突進してきたガルーダの頭を、ルシェッドは棍を軽く手で一回転させ、真横から殴りつける。
打ち返されたボールの如く魔物が吹き飛んだ瞬間、背後の添乗員と乗客たちの中で、どよめきが起こった。観客よろしく眺めている暇があるならば、早く逃げてほしいのだが。恨み節は胸の中に留め置き、追い打ちをかけんとルシェッドはデッキの床を蹴る。
思いの外復活が早かったガルーダは、飛び込んできた敵に、再び頭突きする。左方に転がってそれを避けたルシェッドは、敵を捉えんと今しがた自分が居た方向を振り返る。
「……うっわ」
思わず口元を引き攣らせたのは、まるで銃弾でも貫通したかのような穴が、床に空いていたからである。悠然と此方を見下ろすガルーダの嘴から、パラパラと木片が溢れる。背筋に冷や汗が流れた。あれにだけは当たりたくない。
此方の恐怖心を感じ取ったのか、ガルーダはルシェッドの胸元目掛けて嘴を飛ばしてきた。飛び退いてそれを躱し、今度は棍の先で喉を突く。耳をつんざく呻き声に顔を顰めつつ、暴れた拍子に此方に飛んできた脚を、棍で受け止める。
「すげぇ……あんな魔物と渡り合ってる……」
もはや乗客どころか添乗員までもが、ただの観客と化していた。感嘆の声を上げる彼らの中で、アイムが誇らしげに胸を張る。
「あたぼうよ!あいつが潜り抜けてきた死線は数知れず!手負の鳥公なんかに遅れをとるワケがねェんだよ」
「あいつは一体……?」
「気になったんなら目に焼きつけろ!」
両隣にいた見ず知らずの客の肩に手を回し、アイムは声高らかに言い放つ。
「こなした仕事は星の数!物探しから討伐まで何でもござれ!金糸金眼の美青年、ルシェッド・ユーリベルテとはアイツのことよ!あ、専属契約はしてないんで、御用命あればお近くのギルドまで」
「囃し立てんな!」
かああと顔が赤く染まり、思わず入口に向かって叫ぶ。
「いいんだよ、こういう時こそ名前売っとけ」
対するアイムは、此方の気も知らず笑うばかりだ。
物探しも討伐の仕事も受けるが、何でも快く引き受けるわけではない。凶暴な魔物の討伐などは専門の便利屋が引き受けるべきであって、ルシェッドが手を出すところではない。当然、美青年など言われたこともない。
調子のいい彼は、事あるごとに友人の仕事ぶりを喧伝せんとするのだが、小さな事実を仰々しく宣うきらいがある。恥ずかしいからやめてほしい。
そして再びさざめく観客たち。本当にやめてほしい。
とにかく小っ恥ずかしくて仕方ない。さっさと終わらせよう。そしてほとぼりが冷めるまで客室に引き篭もろう。ルシェッドは腕に力を籠め、棍を鷲掴む脚ごと、ガルーダを床に組み敷く。
呼吸に窮した怪鳥。大量の小さな羽が埃のように舞い上がる。その顔面に向けて、思い切り棍を振り下ろした。
鈍く宙に響くは、硬い物が折れた音。床に転がる嘴の欠片。一際大きな奇声を上げ、全身を震わせたガルーダは、ぷつりと糸が切れたように床に倒れた。
後に残されたのは、風が運ぶ静寂のみ。
全身に張り巡らせていた緊張を喉の奥から吐き出した途端、背後から歓声が上がり、再び心臓が飛び跳ねた。
「すごい……本当に倒しちゃった……」
「さっすがルシェッド!な、オレが言った通りだろ?」
添乗員にも関わらず乗客に気安い態度を取るあの男は、後で上からお叱りを受けることはないのだろうか。今回の一件で、上層部もそれどころではないのかもしれないが。
今度こそ安堵の息を吐いて、ルシェッドは棍の先でガルーダの羽を数度つつく。が、羽と肉に包まれた骨が床を転がるだけで、起き上がる気配は無い。遺骸が空気中の魔力に溶けるのも時間の問題だろう。
だが、安堵は、長くは続かなかった。
突如として、視界が傾いた。一瞬機体が大きく揺れ、捕まる場所もなく、ルシェッドはデッキを滑って柵に叩きつけられる。
「っ、今度は何!」
顔を上げた先で目に入ったのは、先程怪鳥の嘴が開けた穴だ。ぽっかりと空いた小さな穴から、火花が散る。運の悪いことに、空晶艇の電気系統を刺激してしまったらしい。
これは、何処かの空港に緊急着陸せざるを得ないかもしれない──と、立ち上がろうとしたのも束の間、ゆらりと、床に大きな影が降りる。
思わず、口元がひくついた。倒れ伏していたはずの怪鳥が、息絶え絶えに自分のことを見下ろしていたからだ。
へし折れた嘴からは赤黒い液体が溢れ、歪んだ頭は縁の方が既に消え、空気中の魔力に同化しかけている。それでも尚、敵意を捨てない。どうやら、かなり粘着質な魔物と相対してしまったらしい。ルシェッドは自分の運の無さに舌打ちをした。
「……この死に損ないめ!」 
棍を手に取った瞬間、再び地面が揺れた。体勢を崩したのと、ガルーダが翼を広げたのはほぼ同時だった。
床に足をつけたまま、怪鳥は大きく羽ばたく。巻き起こったのは、激しい旋風。脳が危険信号を発した時にはもう遅く、全身に暴風を浴びる。
思わず腕で顔を覆った次の瞬間、胃がふっと浮くような、不思議な感覚が全身を包む。風に揉まれた身体は、瞬く間に宙に放り出される──展望デッキの、柵の外側へ。
「……げ」
ヤバい、と思った時には、既に身体が宙を浮いていた。手は虚空を掻き、棍を引っ掛ける場所も無い。掴めるのは、冷たい空気のみ。
逆光で影を帯びたガルーダが、今度こそ力尽き、風に乗って消えていく。さらさらと流れていく塵の動きが、波でも揺蕩っているように遅く見えて、自らの身に危険が及んでいる時に、世界がスローモーションに見えるって本当なんだなぁ、などと、頭が現実逃避に走ろうとぼんやり呟いた。
「うわあぁっ!?」
「ルシェッド!!」
慌てて駆けつけたアイムが、柵から身を乗り出して手を伸ばした。受け取らんとした手は、呆気なく空気を掴む。いつも賑やかな友人の顔を蒼白に染めてしまったことに、一抹の申し訳なさを覚える。
そうしている間にも、友人の向こう側に広がる水晶は──空は、遠くなっていく。
──まるで、雲から零れ落ちた雨粒のように。
ルシェッドの身体は、重力と風に包まれ、薄青い景色の中に落ちていった。

*****

──ミニトマトにトウモロコシ。瑞々しい青葉から露を滴らせるのは、リーフレタス。
籠いっぱいに載せられているのは、今し方収穫されたばかりの野菜たちだ。陽の光を浴びていっそう艶めいたトマトは、今にでも口に入れたくなるほど味覚を刺激する。粒の大きなトウモロコシは言わずもがな、レタスも今年は例年と比して出来が良い。これならば、青菜特有の苦みに口を覆う子どもたちの手も、葉を千切るのが止まらなくなるに違いない。
数ヶ月前から、丹精込めて世話をしてきた甲斐があった。収穫のためにずっと腰を屈めていたがために、足は疲労に震えているが、これも所謂勲章である。
井戸の傍の切り株に腰を下ろし、先程配られたカップの中身を一気に飲み干す。冷たい水が喉を通る感覚が気持ち良い。
爽やかな心持ちで、カップを持っている手とは反対の手で、ピンクブラウンの前髪ごと額の汗を拭う。
腕が退いた先。視界の遠くに広がる、空晶に覆われた真っ青な空。
──そんな何の変哲も無い空から、黒い影が落ちてきた。ような、気がした。
驚く間もなく、黒い塊は、村の外の森に落下する。
……何だろ、今の。余りにも遠すぎて、輪郭をはっきりと捉えることはできなかった。強い日差しが見せた幻覚かと一瞬思ったが、自分の両目に焼き付いた記憶は、確かにあれはまやかしでは無かったと告げている。
それじゃあ、あれは一体。脳内に響く、時計の針の音。記憶と常識を無心で捏ね、一つの推測を練り上げる。そして、
「……大きな、鳥?」
少女は、栗色の瞳を瞬かせた。
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