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第十一話「妹発覚のお知らせ」

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「はい、おはこんばんにちは!!あおるんです~!
今回は噂の新キャラを手にいれたいと思っています!」

画面が切り替わり、私がアップになる。
ポーズをバッチリ決めて、出動準備中だ。

「あおるん、ノンテ、出動するの!」

今回は☆6で行くみたいで、少し口調も変化している。
……あんまり私はこのキャラ好きじゃないな。

「じゃあ、出動です!」

コメントでは「前の脱出ゲームは?」という
コメントが多く、結構目立っている。

「あちゃー、そういえばあったね。
そうだ、次回はそれをやるよ。
だからこれは今回だけでクリアします!」

今回も脱出ゲームみたいだが、
謎解き要素はないみたいだ。

画面はまた切り替わり、女の人が写る。
女の人は虚ろな、それでいて綺麗な目でどこかを見据えている。

「二足歩行の生命が誕生した。
私は神にこの世界を見ているよう言われた。
その中には小さな生命も大きな生命も存在した」

「その中のひとつの小さな生命は私を見つけた。
そして私を"アチス天使"と呼んで慕った」

「私はそんなものでないから"アチス天使"ではないと答えた。
生命はそれでも私について回りあまつさえ容姿を誉めた」

そこまで来て、やっと気づいた。
その女性はアリスだった。
驚いて、少し動作が遅くなる。

「ん~?バグかな?
それで、この物語のノンテの立ち居ちって何かな……?」

「胸がいたい。この気持ちはなんと言う気持ちだ?
辛いわけでもない。嬉しいわけでもない。
ただただあの生命を思う気持ちが止まらない」

「生命を区別する名称に"なまえ"というものがあるらしい。
その生命は"こい"というなまえだった。
私はこの気持ちを"こい"というなまえにした。」

あおるんは少し退屈そうだ。
ふだんアクションと脱出ゲームしかしないのは、
ただじっとしているのが嫌なだけだった。

画面は一度暗くなり、そして明るくなる。
次には動けるようになっていた。
あおるんの表情が少し明るくなりなんだか嬉しい。

「お!やっと動ける!!」

テコテコと動かせられる。そこは森のようだった。
一方通行で、それに従いあおるんは歩かせる。
私はたまになにか言葉を発しながら
また、ゆっくりとその道を歩いていくだけだ。

見ると、周りの木に実がなりだした。
それを確認すると、動きが止まりテキストが表示される。

「実の実りがいいとこいは喜んだ。
私もつられて微笑み、こいは笑顔を振り撒いた」

また歩く。今度は木が枯れた。

「木は枯れてしまうものなのだとこいに伝えると、
こいはざんねんそうに落ちた木の実を抱えた」

あおるんは飽きてしまったのか、無言だ。
また歩くと、今度はむき出しの岩の地面になり、木はもうない。
あおるんも少しだけ驚いてる。

「世界は滅んだ。
こいももういない。これで、胸の痛みはきえる。
だから……なにも、悲しむことはない。
そのはずなのに。なんで?……どうして?」


「涙が止まらない」


「そっかぁ……あんまり脱出ゲームっぽくなかったなぁ。
じゃ、これで終わり。皆いいお年を。
……って、新キャラ見てないや。
これをクリアしたら貰えるんだよね。
……えっと、なにこの子?
"ノンテの妹ガーネット"……?ノンテ妹!?」

え!?自分で驚く。
そんなキャラが追加されたのか。
私になにも知らせてない辺りこのゲームらしい。

「ステータスは低いかな?
……あ、そうそうこんな感じ」



ガーネットのステータスなどを見せて実況が終わった。

「いやぁ、にしてもガーネットちゃんか。
可愛いなぁ。ノンテもそろそろ飽きたし、
このこにかえてみようかなぁ……」
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