「国を救って欲しい」って言われたけど、救う力なんってない

綾瑪東暢

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異世界へ!

持ち物はBL本

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友人の家から帰るためバスに乗っていた。バスに乗っていると睡魔に襲われる。イヤホンをつけて、うとうと、眠そうになる。そんな中、耳元で声がする。日本語とは思えない。何を言っているのかわからない、そんな声が聞こえる。バスの中はざわついてるからその中の誰かだろう。曲に耳を傾けてようとしてもその声がずっと耳にまとわりついてくる。うるさくて、目を開けて辺りを見渡すが、静かだった。誰も喋っていない。その瞬間、不思議な光が体に触れた気がする。優しく、温かい光。慌てる暇もなくそのままその、光に包み込まれた。

 何が起こるのかわからなくて、目を閉じていた。一向に何も起きない。閉じていた目を静かに開けると、そこはバスの見慣れた光景ではなかった。座っているのは座席ではなく草原の上。側には持っていたバッグが落ちている。
 「ここ・・どこだ?」
 つい言葉が漏れる。辺りを見渡しても草原と山、それから晴天だけが目に映る。状況の理解ができず、困惑する。
 こういう場合、普通は自分の下に魔法陣があって目の前にフードを被った人達がいて、その人達が「おぉー、成功したぞ」というセリフが来るはず。なのに、魔法陣が書いてある形跡はなくただの草。フードを被った人達はいなく、山々が見えるだけ。当然セリフもない。誰も説明をしてくれる人物がいない。
 夢なのではないかと自分の頬をつねる。
 「痛い・・」
 自分が痛みを伴うだけだった。近くに落ちているバッグの中を見た。バッグの中には、友人から借りた漫画が一冊入っていた。入っているはずの財布とスマホはなかった。ズボンのポケットやパーカーのポケットを見たが、何も特に入っていない。漫画を手にとって、パラパラとめくってみる。タイトルは、『夢だった異世界に!?でも何かが違う。なんで溺愛されてるんだ!俺は一人で静かに暮らしたいだけなのにー』というBL漫画。
 「ここはこの世界なのか・・・?」
 立ち上がって、バッグを肩にかける。深呼吸をする。帰りたい気持ちはあるが、少し楽しみになっている自分がいた。
 「空気が美味しいな」

そう呟いて、草原を歩き出した。
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