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進学

学校

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 あっという間に荼泉とい志綾しあも中学生になった。中学受験と言うものを受けて小学校にいた人達がいないところに通うことになった。
 「良いですか?中学校は簡単には辞めれません。」
 「分かっています。荼泉様もいるので少しだけ安心です。」
 朝早く茅鶴ちづるは志綾に言い聞かせていた。
 「お母様。大丈夫です。」
 心配そうな顔していた茅鶴に言う。小さく微笑んで「朝ご飯にしましょう」と呟いた。
 筒夏つつなかおるが朝ご飯を食べに来た。 
 「おはよう」「おはようございます。」
 「おはようございます。」
 「席について食べましょう。」
 みんな席についていただきますと言ってからご飯を食べ始めた。
 「志綾。ちゃんと寝れたのか?」
 「・・え、えぇ寝れましたよ。」
 「寝れていないんだな。」
 薫が志綾の顔を見て言う。
 「・・・」
 「お母様。そんな悲しそうな顔しないでください。私は大丈夫ですから」
 茅鶴は自分の顔を触って恥ずかしそうに「ですが」と言う。
 「ですが、また、貴方が辛い目に遭ってしまうと」
 「お母様!最初から決めつけないでください。」
 声が大きくなってしまった。
 「ごめんなさい。」
 「いえ、私も、勝手に決めつけてしまってごめんなさい。」


 朝ご飯を食べて制服に着替えた。
 「志綾様。一緒に行きましょう。方向同じなので」
 「筒夏さん・・・はい。来ましょう。」
 薫と茅鶴に見送られて家を出た。
 「志綾様。答えたくなければ答えなくて良いのですが・・・二時前まで何かしていました?寝ているとばかり思っていたのですが・・」 
 「・・・何もしていないですよ。」
 「じゃあ志飛様ですか?」
 「・・・」
 「志飛様?」
 「お前が口を挟むようなことはしていない。それに、お前はもう使いじゃない。だから不思議に思っても何も聞くな。」
 「それは、使いではなくなりましたがそれでも私はつなぎ家の皆さんのお手伝いがしたい。そう思うのはいけないことですか?」
 「・・・・・ただ僕はお前を・・・」
 志飛の言う言葉は小さくて聞こえなかった。
 「志綾」
 「荼泉様。おはようございます」
 「おはよう。筒夏も」
 「ええ、おはようございます。」
 「志飛。中学は男で行けば小学校みたいにならないんじゃないか?」
 「ダメだ。もし、男として過ごしていることがお母様にバレたら・・・それにあの学校は基本着替えることはないみたいだから」
 「・・・わかった。」
 
 それからは誰も喋らずに学校まで着いた。そこで筒夏とも別れ校舎の中に入って行く。
 「さすが有名中学なだけあるな」
 「荼泉様。同じクラスになれると良いですね」
 気軽な口調で言う。
 外にクラス一覧が出ていて人が集まっている。二人とも身長は小さい方なので背伸びをして見ていると遠くから「かなめ様」と言う声が聞こえる。荼泉は振り返りそっぽを向く。クラス一覧表を見ている他生徒も荼泉の方に視線をやる。
 「静かに出来ないのか?」
 「え、あ、ごめんなさい!」
 「で?」
 「これをどうぞ。見えなさそうだなと思い教師の方からもらって来ました、」
 荼泉に白い紙を見せる。それはクラス一覧表だった。
 「良いんですかね?」
 「・・・」
 「同じクラスみたいです。」
 「・・・」
 「僕もだ~」
 「え?」
 「ん?」
 「荼泉様。この方は誰ですか?」
 「・・・」
 「荼泉様?」
 「あ、悪い。こいつは同学年の使いも欲しいと当主様が言って孤児で俺が見つけて引き取った。」
 「はい!僕、要 雪都ゆきとです~。」
 「おはようございます。雪都さん。」
 「おはよう~志綾様。」
 
 少し戸惑いながらも志綾は挨拶をする。

 三人は自分のクラスに入る。

 クラスは受験の時にやった成績で決まる。なので三人ともA組だった。
 それだけではなくAクラスの中でも
 

  志綾 学年一位

  荼泉 同位

  雪都 学年二位
 
 となっていた。

 
 中学生としての生活が始まった。
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