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本格的に

幸せに

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 朝、目が覚めて起き上がる。時計を見ると一時だった。
 「はぁ、最近一時間、二時間しか寝れてないな」
 立ち上がって部屋を出る。顔を洗い、鏡を見る。
 疲れた顔をしている自分が写っている。
 顔を横に振って軽く頬を叩く。
 自分の部屋に戻りスマホを見ると年髄ねずいからメールが来ていた。
 『ありがとう。情報収集はこれにて終了だ。また何かあったら頼らせてもらおう。』
 メールを見てすぐにスマホの電源を落とした。

 「・・・・なんだろう。スッキリしない朝は・・・・早く一日が始まればいいのに・・」
 苦しそうに胸を抑える。痛いんじゃない、胸に違和感があるんだ。今まで感じたことのない違和感が
 今日は何故か時間が遅く感じてしまう。
 「早く、早く・・・進んでよ」

 




 宮南瀬みなせは家に帰ったあと志飛しとから貰った紙袋のら中身を取り出してみた。
 丁寧に包まれてある大きな箱と一つの封筒だった。手紙も同封されあり、広げて読んでみる。
 『宮南瀬様。
   この手紙を読んでいる人が宮南瀬父じゃないといいんですけど。それは置いておいて宮南瀬 さち様、お誕生日おめでとうございます。幸様のお誕生日の前日にお父さんを仕事で呼び出してしまってごめんなさい。大きな箱は幸様に封筒は宮南瀬一家に。どうぞ受け取ってください。   つなぎ。』

 「志飛様ッ」
 まさかここまでしてくれるのかと涙を流してしまった。
 妻と娘を起こさないよう声を抑えて泣く。
 でも急に部屋が明るくなったり
 「大丈夫?」
 妻が起きてきた。
 「大丈夫だよ。ごめんね。帰って来るの遅くなって」
 「うんん、それどうしたの?」
 「繋家の娘さんから仕事で呼び出してしまったからって手紙読んでみな」
 そう言って妻に手紙を渡す。
 「本当、英斗えいとの周りには優しい人が多い。」
 「そうだね。俺は恵まれてるな。」
 「封筒確認した?」
 「これから」
 夫婦で封筒の中身を確認する。中に入っていたのは10万。
 「こんな大金・・・貰っていいの?」
 「・・・彼の方らしいお礼だよね」
 「びっくり・・・」
 「明日、幸にこれ渡そう。俺もまだ見てないから楽しみ」
 「うん」
 妻とキスをする。今までのお礼とお詫びを兼ねて

 
 
 ねぇ、幸せになって欲しいから『幸』って言う名前どう?

 幸か、幸せになってね幸。

 違うよ英斗。幸せになるのは家族全員。幸せな家族でいるの。そしたら幸も幸せになるでしょう?

 アハハ、君はいいことを言うね

 当たり前、だって母親になれたんだよ

 俺も君を見て学ばなくては

 ゆっくりでいいからね

 


  
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