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本格的に

捕まっている男の仲間(I)

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 「どこに行くの?」
 れい飛綾とあに着いて行くが飛綾は一言も話す気配がない。本当に黧を空気のように扱う。そんな飛綾を見て黧はふぅっと息を吐いた。
 
 数分して反対側の教室に入った。そこには椅子に縛られている男の人がいる。
 「苦しいか?」
 教室に入り男に声をかけた。
 「え、まぁ」
 「取ろう。」
 そう言って縄を解き、自由にした。
 「あいつが吐くまでの辛抱だ。」
 「吐きますかね・・・」
 「吐くはずだ。お前はあいつの大事な人だからな」
 さくらを誘拐した男の大事な人が飛綾の目の前にいる。
 「まさか、俺があいつの大事な人だとは思いませんでした。」
 「そうなのか?」
 「はい、ただの仕事仲間そう思われていると思っていたので」
 「お前にとっては嬉しいことなのか?」
 「・・・嬉しくはないですね。人質だし、早く家に帰りたいしで、でもまぁあいつが吐くまではここに居ますよ。そう言う協力関係を結んでしまったので」



 


 事の経緯は茅鶴ちづるに怒られた後、使い長と夏輝斗に連れられて部屋に戻った。
 「大丈夫ですか!」
 「だ、大丈夫だ。はぁ。」
 わかりやすく落ち込んでいる志綾しあ息を吐く。
 「・・・・」
 「志飛しと様。」
 「迂闊だった。どうしよう・・・」
 頭を抱える。


 数分間黙ってしまう。
 「今、何時?」
 「あ、えーと」
 「今は22時ですね。」
 「筒夏つつなは?帰って来たか?」
 「そう言えばそうですね。帰って来てないですね。電話してみます・・」
 「僕がする。」
 スマホを取り出して志飛は筒夏にかける。
 「筒夏か?」
 『あ、志飛。どうかしましたか?』
 「どうかしたじゃない!もう22時だ。どこで何をしてる!」
 『えーと・・・』
 「言え、嘘は無しだ」
 『はい・・・捕まってしまって』
 「今は大丈夫なのか?」
 『私は別に捕まえたかった奴じゃないみたいで割と自由です。』
 「誰がお前をつかまえた?」
 そう呟いて事情を聞く。
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