デジタル・ワルキューレ

夢月桜

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第二章

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 学校に着き、靴を脱いで上履きに履き替える。
 そして教室に向かう。
 
「おはよー!」

 まっさきに郷美ちゃんがクラスメイトに挨拶をする。
 彼女は私たちのクラスの学級委員長もやってるから人望がある。
 大多数の子は郷美ちゃんに挨拶を返した。

「相変わらず三佐くんは挨拶返してくれないね~」

 と奈々子は言った。
 挨拶を返さなかった男子の名前は三佐千染さんさちそめくん。
 クラスで……いや多分学年で1番モテてる男子だ。
 同い年なはずなのに雰囲気が大人っぽい。
 顔は文句なしのイケメンって呼ばれる部類だけど……告白されても全部断っているらしい。
 「あなたのような人には興味が無い」と告白してきた女子、全員に言っているとかなんとか……。 
 私はよくわからないけど、振った時の冷めた目線もまた良いと言っている子達がチラホラいる。
 誰かと一緒につるんでいるところは見たことも無く、1人でいることが多い。
 今日も彼の周りには何人かの女子が取り巻きでいる。
 あの取り巻きの子たち、なんだか怖くて近づきにくいんだよなぁ……。
 そして私は運悪く、そんな彼の隣の席である。
 かと言って三佐くんに話しかけることは特にしない。
 だって、話しかけるなオーラがすごいんだもん……。
 授業で隣の席の子となにかすることがあれば話すこともあるんだけど…やる気無さげにやられるので空気が重く感じてしまう。
 三佐くんは昼休みになると、フラッとどこかに行くので取り巻きの女子たちは三佐くんを探しにどこかへ行くことが多い。
気まずいけど、出席番号順的に郷美ちゃんや奈々子と近いのが唯一の救いだ。

「三佐くーん?おはよー」

 1回目は無視されちゃったけど郷美ちゃんはめげずに2回目の挨拶をする。
 すると面倒くさそうにこちらにし線を向け会釈をする。

「うーん……、まあ及第点ってとこかな」

 私たちは自分の席に着く。
それから数十分経っただろうか…、担任の安村先生が「おはよう~、席について~」とのんきに言った。
そして、出席確認をする。
彼女は教師歴十数年のベテランの先生だ。
一度先生をやめてOLとして働いていた過去を持っている。
一回先生をやめた理由が、『一度も社会に出たことない教師という存在が社会について教える』ということに違和感を覚えたかららしい。
そんな珍しい経験があってか、3年生の先輩が時折安村先生に進路について相談しに来ているのを見たことがある。
ここまで生徒のことを思っているなんて…なんて素敵な先生なんだろう。
私の尊敬している人間の一人だ。
出席確認中、三佐くんが返事の声が小さくて先生に「昨日より大きな声を出せて偉いわね」と言われて彼はまた少し機嫌を悪くしていた。
声の大きさ、変わってたのか…?となったけど、私はそれを顔に出してしまいそうになるに決まっているのでその気持ちを抑え込むことにした。
出席確認を終えた後に安村先生は今日の連絡事項を言う。
特に変わったことはなさそうだ。
あらかた話すと一時間目開始準備のチャイムが鳴る。
ちょっと気だるいけど、今日も頑張るぞ!
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