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そのさんじゅうご
リオデルからのお守り
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先輩、また何か来てましたよとラスは荷物を手に部屋に入ってきた。
リシェと同室だから手渡すのに都合が良かったのだろう。またかと言わんばかりにリシェはそうかと単調に言うと、ラスから荷物を受け取る。
やけに軽さを感じ、上下に上げ下げしながら「何だ?」と眉を寄せた。
「開けてみたらどうですか?」
「うん。…まあ、開けるけど…」
差出人はやはり実家から。
よくまあしょっちゅう何かを送り込んでくるものだと感心する。
箱を開封し、中を覗き込むと黒く小さな物体。
「何だこれ?」
リシェはそれを引っ張り出して確認すると、同時に彼の携帯電話に着信が入った。何だ?と画面を見るなり彼は渋い顔をする。
「先輩、誰からです?」
ラスの問い掛けをスルーし、代わりに電話をスピーカーにしてテーブルに置いた。通話が開始するなり大音響で声が響き渡る。
『届いたでござるかリシェ!!!!』
うわっ、とつい声を上げてしまうラス。
その声は彼の兄のリオデルだった。リシェの嫌そうな表情が、彼に対してどう思っているのかが伺えた。
『その黒いのを肌身離さず持っていなさい!』
電話越しにも関わらず、彼は元気よく叫んでくる。鬱陶しそうな様子を決して崩さぬままの弟は「何だこれは」と至って冷静に聞いた。
ラスはリシェの手にあった黒く小さな物体を手に取ると、ううんとあちこち確認する。
『これは悪いものからお前を守るお守りでござる!!』
お守りだと?とその黒い物体に目を向けた。
どう見ても胡散臭さが半端ないのだが。
『黙っていても俺のリシェは変な輩にくっつかれてしまうからね!!これさえ持っていればもう安心ですぞ、いつどこで何があるか分からないからね!!それがあればいつでもお前の所に』
「先輩」
リオデルの会話を遮るようにして、ラスはリシェに言った。
「これ…GPSですね」
「は?」
リシェは同時に通話を完全に切った。
「普通に本体に書いてますよ…」
「………」
何がお守りなのか。
単に位置情報を知るだけが目的なのではないかとそれを引ったくると、電源はどこだと探し始めた。
「細かく砕いてやらなきゃ気が済まない」
「あっ、そうだ!あれですよ、こないだ送ってくれたドライバーセット!あれ借りてきますね」
こういう時に役に立つとは思わなかった。
ラスの申し出に、リシェは「悪いな」と返す。
電源を切って思い切り分解して、どこか遠くに飛ばしてやろうと苛々しながら思った。
…数分後。
「ラス」
「はい!」
「俺はこれを捨ててくる。出来るだけ遠くに」
「はい!デートですね、先輩!!行きましょう行きましょう」
全く会話が噛み合っていない。
「何一つ俺はデートなんて言ってないんだけどな…まあいいや」
「いいんですよ、結局外出してそれを捨てに行くんでしょ?その後でデートでいいじゃないですかぁ」
ラスはにこにこと嬉しそうに笑いながら、今日が休みで良かったですねえと能天気に準備を始めていた。
リシェと同室だから手渡すのに都合が良かったのだろう。またかと言わんばかりにリシェはそうかと単調に言うと、ラスから荷物を受け取る。
やけに軽さを感じ、上下に上げ下げしながら「何だ?」と眉を寄せた。
「開けてみたらどうですか?」
「うん。…まあ、開けるけど…」
差出人はやはり実家から。
よくまあしょっちゅう何かを送り込んでくるものだと感心する。
箱を開封し、中を覗き込むと黒く小さな物体。
「何だこれ?」
リシェはそれを引っ張り出して確認すると、同時に彼の携帯電話に着信が入った。何だ?と画面を見るなり彼は渋い顔をする。
「先輩、誰からです?」
ラスの問い掛けをスルーし、代わりに電話をスピーカーにしてテーブルに置いた。通話が開始するなり大音響で声が響き渡る。
『届いたでござるかリシェ!!!!』
うわっ、とつい声を上げてしまうラス。
その声は彼の兄のリオデルだった。リシェの嫌そうな表情が、彼に対してどう思っているのかが伺えた。
『その黒いのを肌身離さず持っていなさい!』
電話越しにも関わらず、彼は元気よく叫んでくる。鬱陶しそうな様子を決して崩さぬままの弟は「何だこれは」と至って冷静に聞いた。
ラスはリシェの手にあった黒く小さな物体を手に取ると、ううんとあちこち確認する。
『これは悪いものからお前を守るお守りでござる!!』
お守りだと?とその黒い物体に目を向けた。
どう見ても胡散臭さが半端ないのだが。
『黙っていても俺のリシェは変な輩にくっつかれてしまうからね!!これさえ持っていればもう安心ですぞ、いつどこで何があるか分からないからね!!それがあればいつでもお前の所に』
「先輩」
リオデルの会話を遮るようにして、ラスはリシェに言った。
「これ…GPSですね」
「は?」
リシェは同時に通話を完全に切った。
「普通に本体に書いてますよ…」
「………」
何がお守りなのか。
単に位置情報を知るだけが目的なのではないかとそれを引ったくると、電源はどこだと探し始めた。
「細かく砕いてやらなきゃ気が済まない」
「あっ、そうだ!あれですよ、こないだ送ってくれたドライバーセット!あれ借りてきますね」
こういう時に役に立つとは思わなかった。
ラスの申し出に、リシェは「悪いな」と返す。
電源を切って思い切り分解して、どこか遠くに飛ばしてやろうと苛々しながら思った。
…数分後。
「ラス」
「はい!」
「俺はこれを捨ててくる。出来るだけ遠くに」
「はい!デートですね、先輩!!行きましょう行きましょう」
全く会話が噛み合っていない。
「何一つ俺はデートなんて言ってないんだけどな…まあいいや」
「いいんですよ、結局外出してそれを捨てに行くんでしょ?その後でデートでいいじゃないですかぁ」
ラスはにこにこと嬉しそうに笑いながら、今日が休みで良かったですねえと能天気に準備を始めていた。
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