踏切 電車 向こう側

相坂 舞雉

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【1】私

(2)そのこと

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数日後

私は高校の夏に転校することになった。

父と母の離婚でどちらが引き取るかのゴタゴタの最中祖母が私の事を心配してくれて家に来なさいと言ってくれた。

直前までは母と一緒に住んでいたがうつ病と診断され外出するのも
難しい状態になってしまった母を見れば当然だと思う。

父は浮気相手と一旦別れていたけど
母との離婚後穴を埋めるためによりを戻したらしい。

「○○に大変な思いさせてごめんな」
「落ち着いたらお父さんとまた一緒に暮らそう」

そう言って父は浮気相手の元に帰っていった。


母は——-

「またね?」

と、か細い声で私に微笑みながらそう言った。







「○○さんはお家の事情で転校することになりました。」



中学の同級生と一緒に進学した高校は
その一言で終わった。


「○○ちゃん転校してもずっと友達だよ?」


そうだね———

その言葉に意味なんて無いのだろうと思いながらも私は返事をしてみんなに手を振って
『お家』に帰った。
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