19 / 75
真・らぶ・CAL・てっと 十八
しおりを挟む
「正直におっしゃいな?」
佑は尋問されていた。
佑美としては『質問』のつもりであったが、息子はそのように解釈していない。
「何をしたの?」
顔面蒼白になった佑。
何をしたか……そんなことは言える筈がない。
留美だからこそ治とのキスを許してくれたのだ。
しかし、母に知れたらただでは済むまい。
どうただで済まないかは、恐ろしくて考えられない。
そう佑が思っているのを見透かすかのように、佑美は艶やかに微笑み
「北条くんの」
と、息子の口から心臓が飛びだし、町内一周でもするかのような錯覚を覚えかねないことを言った。
更に続けて
「ご両親に」
良心に、と聞こえてしまった佑だ。
一応良心に恥じる事はない筈なのだが、
「絶対にか?」
と念を押されると自信が無くなるタチなのである。
「感謝されるなんて」
「え」
佑には、母の尋問の方向が一気にかわったような気がした。
もちろんそんなことはないのだが、そう思い込んでいたのだからしょうがない。
「か、感謝……?」
ようやっと脳に言葉が染み渡り、母が自分と治の行為を責めているのではないと気づいた佑。
取り越し苦労もいいところであった。
「いったい、何をしたの?」
再び母に尋ねられ、佑はホッと胸を撫で下ろした。
が、次の瞬間、安心している場合ではないことに気がついた。
治が置かれている状況を、いったい、どう説明すればいいのか?
正直に説明しても、信じてもらえるかどうかわからない。
というより、まず信じてもらえまい。
しかしながら、治の両親がお礼に来るのは、そのことが理由に他ならないだろう。
ということは、下手なごまかし方をすると、あとあとバレてしまうのは明らかだ。
色々考えを巡らした佑が意を決し、たとえ信じてもらえなくとも治の病状を改善させているということを白状しようとしたとき
「命の恩人というわけでもないでしょうし」
という佑美の言葉にでばなを挫かれた。 ぱくぱくと口を動かすが何も言葉が出てこない。
「きちんと状況を把握しておかないと、北条さんが見えたときに母さんも父さんも困るでしょう? 違って?」
身を縮こませながら
「そ、そう、違わない、ね」
「だったら」
ぐい、と顔を寄せ美しく微笑みつつ
「何をしたのか、おっしゃいなさいな?」
と尋ねる。
絶世の美人なだけに、迫力はいや増していた。
「そ、その」
進退きわまった佑であった。
予感通り、話がバリバリにややこしくなりそうな兆しがてんこ盛りだ。
しかし、救いの手は思わぬ所からやってきた。
「治くん、体が弱いって言ってたから」
それまでソファにもたれかかっていた冴英が横から口を出したのだ。
「きっと、お兄ちゃんが付き添ってってあげた、とかってことじゃないの?」
佑は、妹に感謝をした。
今日二度目のそれは、もちろん心の中だけではあったのだが。
「そ、そうなんだ」
これなら問題はないだろう、と佑は思った。
ただ、実際には自分ではなく留美がしたことではある。
しかし、彼女はそんなことを吹聴して歩くまい。
それに、治の両親は、佑が行き倒れかけていた息子を家まで送ってくれたのだ、と信じているから大丈夫のはずだった。
「佑くん、そんな大事なことはすぐにおっしゃい!」
結局、怒られた佑なのであった。
佑は尋問されていた。
佑美としては『質問』のつもりであったが、息子はそのように解釈していない。
「何をしたの?」
顔面蒼白になった佑。
何をしたか……そんなことは言える筈がない。
留美だからこそ治とのキスを許してくれたのだ。
しかし、母に知れたらただでは済むまい。
どうただで済まないかは、恐ろしくて考えられない。
そう佑が思っているのを見透かすかのように、佑美は艶やかに微笑み
「北条くんの」
と、息子の口から心臓が飛びだし、町内一周でもするかのような錯覚を覚えかねないことを言った。
更に続けて
「ご両親に」
良心に、と聞こえてしまった佑だ。
一応良心に恥じる事はない筈なのだが、
「絶対にか?」
と念を押されると自信が無くなるタチなのである。
「感謝されるなんて」
「え」
佑には、母の尋問の方向が一気にかわったような気がした。
もちろんそんなことはないのだが、そう思い込んでいたのだからしょうがない。
「か、感謝……?」
ようやっと脳に言葉が染み渡り、母が自分と治の行為を責めているのではないと気づいた佑。
取り越し苦労もいいところであった。
「いったい、何をしたの?」
再び母に尋ねられ、佑はホッと胸を撫で下ろした。
が、次の瞬間、安心している場合ではないことに気がついた。
治が置かれている状況を、いったい、どう説明すればいいのか?
正直に説明しても、信じてもらえるかどうかわからない。
というより、まず信じてもらえまい。
しかしながら、治の両親がお礼に来るのは、そのことが理由に他ならないだろう。
ということは、下手なごまかし方をすると、あとあとバレてしまうのは明らかだ。
色々考えを巡らした佑が意を決し、たとえ信じてもらえなくとも治の病状を改善させているということを白状しようとしたとき
「命の恩人というわけでもないでしょうし」
という佑美の言葉にでばなを挫かれた。 ぱくぱくと口を動かすが何も言葉が出てこない。
「きちんと状況を把握しておかないと、北条さんが見えたときに母さんも父さんも困るでしょう? 違って?」
身を縮こませながら
「そ、そう、違わない、ね」
「だったら」
ぐい、と顔を寄せ美しく微笑みつつ
「何をしたのか、おっしゃいなさいな?」
と尋ねる。
絶世の美人なだけに、迫力はいや増していた。
「そ、その」
進退きわまった佑であった。
予感通り、話がバリバリにややこしくなりそうな兆しがてんこ盛りだ。
しかし、救いの手は思わぬ所からやってきた。
「治くん、体が弱いって言ってたから」
それまでソファにもたれかかっていた冴英が横から口を出したのだ。
「きっと、お兄ちゃんが付き添ってってあげた、とかってことじゃないの?」
佑は、妹に感謝をした。
今日二度目のそれは、もちろん心の中だけではあったのだが。
「そ、そうなんだ」
これなら問題はないだろう、と佑は思った。
ただ、実際には自分ではなく留美がしたことではある。
しかし、彼女はそんなことを吹聴して歩くまい。
それに、治の両親は、佑が行き倒れかけていた息子を家まで送ってくれたのだ、と信じているから大丈夫のはずだった。
「佑くん、そんな大事なことはすぐにおっしゃい!」
結局、怒られた佑なのであった。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
元おっさんの幼馴染育成計画
みずがめ
恋愛
独身貴族のおっさんが逆行転生してしまった。結婚願望がなかったわけじゃない、むしろ強く思っていた。今度こそ人並みのささやかな夢を叶えるために彼女を作るのだ。
だけど結婚どころか彼女すらできたことのないような日陰ものの自分にそんなことができるのだろうか? 軟派なことをできる自信がない。ならば幼馴染の女の子を作ってそのままゴールインすればいい。という考えのもと始まる元おっさんの幼馴染育成計画。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
※【挿絵あり】の話にはいただいたイラストを載せています。表紙はチャーコさんが依頼して、まるぶち銀河さんに描いていただきました。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
月城副社長うっかり結婚する 〜仮面夫婦は背中で泣く〜
白亜凛
恋愛
佐藤弥衣 25歳
yayoi
×
月城尊 29歳
takeru
母が亡くなり、失意の中現れた謎の御曹司
彼は、母が持っていた指輪を探しているという。
指輪を巡る秘密を探し、
私、弥衣は、愛のない結婚をしようと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる